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第96話
しおりを挟む「旦那様、ワーカー伯爵夫妻は私に助けを求めて来ただけです」
「助け?」
「はい。この前のロックハート夫人のお茶会で、ライラックの振る舞いが殿下や夫人の目に余ったようで…抗議が届いたようです。
あの場に私も居たので、私の責任だと…」
「はぁ?アメリアは全く関係ないだろ?!」
「まぁ…関係ないと言うか…あの場で絡まれたので…その時の態度でライラックがお茶会からつまみ出される事になってしまって…」
「どうせ、デイプ殿下絡みだろ?」
殿下の事を出すと、旦那様は途端に機嫌が悪くなった。
「まぁ…そんな感じです。
それと…今まで育てた恩返しに養育に掛かった費用を払え…と言われました。
この前の夜会でも、お茶会でも…ライラックのドレスは見覚えのある物でしたので…新しいドレスを購入する事も難しいくらいに、ワーカー伯爵家は困窮しているのではないかと思うのです。結局お金が欲しかったのでしょう」
という私の言葉を聞いて、
「……ロバート、直ぐにワーカー伯爵の元へと抗議の手紙を届けろ。
ユージーン、あの家が借金している相手から全ての借金をうちで買い取れ。ワーカー伯爵家を潰す」
そう低い声で命令した旦那様に、
「畏まりました。2度とこの家に近付かないようにと」
「畏まりました。直ぐに調査に着手いたします」
と2人は返事をして、直ぐに部屋を出ていった。
『潰す』って言った?言ったよね?そんな事出来るの?
「旦那様…」
と不安げな私に、
「公爵…。体調の悪いアメリア様の前でするお話じゃないでしょう。さぁ、アメリア様、少し休んで下さい。公爵は私が連れ出しますので」
とモーリス先生は笑顔で頷いた。
「そうだ!おい、モーリス!アメリアの具合はどうなんだ!どこが悪いんだ!」
と旦那様はモーリス先生に掴みかからんばかりの勢いで訊ねる。
モーリス先生は私の顔を見て、少し困った様な顔をした。
…しょうがない。言うしかない…か。
「旦那様、私の体調が悪いのは…妊娠の可能性があるからです」
と決心した私が言うと、旦那様は、
「………妊娠?アメリアが?……そうか」
と旦那様は黙り込んでしまった。
…え?旦那様…喜んでくれないの?
私は旦那様の予想外の態度に驚きを隠せなかった。
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