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第94話
しおりを挟む応接室で私の目の前に居る男…私の生物学的父、ワーカー伯爵と生物学的に全く赤の他人の継母が座っている。
「ちょっと!どうにかしなさいよ!」
第一声が継母の金切り声とか…もう辛い。
「何をどうしろと?きちんと説明していただかなければわかりません」
私は至極冷静に返したつもりなのだが、
「何なのその態度!貴女を育ててあげた恩を忘れたの?!」
…貴女に育てられた覚えはないが…。恩って何?
父はそんな継母の手を握り、
「まぁ、まぁ。落ち着くんだ。
こいつが可愛げがないのは昔からじゃないか」
と継母を宥める。
っていうか、可愛げがないって言われてる?私。
私の後ろのメグと、扉の近くのロバートから怒りのオーラを感じる。
「そもそも。どんなお話かわからないから訊ねているのですけど?
内容がわからない事にはお答え出来ません」
「お前、ロックハート公爵に何を吹き込んだんだ?
夫人から直々に我が家へ抗議文が届いた。ロックハート夫人に睨まれたら、ローズにも良い縁談が来なくなるじゃないか!どうにかしろ?!」
ローズって…まだ婚約者決まってなかったのか…年齢的に厳しくない?
「私は何も…。この前のロックハート公爵夫人主催のお茶会でのライラックの振る舞いが酷かった事が原因では?」
と私が言えば、
「お前、そのお茶会でライラックに不利になる事を言ったんだってな?!ライラックが泣きながら話してくれた。
しかも、お前はバルト公爵と結婚しているくせに、王太子殿下にも色目を使っていたそうじゃないか?!
ライラックの邪魔をするのがそんなに楽しいのか!!!」
と、父の声が段々と大きくなっていく。
…はぁ~みっともない。
すると、その態度を見かねたロバートが、
「先ほどから奥様に『お前』だの何だのと…。既に奥様はワーカー家から籍を抜いております故、あなた様方とは何の関係もないのです。奥様は公爵夫人ですよ?いい加減になさい!」
と注意するも、この2人に正論など通用しない。
「はぁ?関係ない訳ないじゃない!この子を育てるのに、私がどれだけ苦労したか!
それにお金だって掛かってるんです。
関係ないと言うなら、この子を育てる為に使った費用、耳を揃えて払って頂戴!」
とますます金切り声を上げる継母。
私は自分の耳を疑った。え?この人何を?
私、ただ働きの使用人だっただけですけど?
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「旦那様は転生者!」という作品の新連載を開始いたしました。
よろしければ、そちらも覗いていただけると、嬉しいです。
よろしくお願いいたします。
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