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第81話

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「嫌だ!やっと会えたんだ。彼女以外は僕の妻に相応しくない!
バルト公爵。本当に申し訳ないのだが…彼女と離縁してくれ。どうせ政略結婚なのだろう?」
というデイブ殿下に、慌てたのはライオネル殿下だ。

「お前は馬鹿か!そんな事出来るわけないだろうが!この結婚は王家主体で行われたものだ。それを王家の都合で覆すなど、あってはならない」
と言うライオネル殿下に、

「王家主体?どういう事です」
とデイブ殿下は詰め寄った。

ライオネル殿下は私と旦那様の結婚について簡潔にデイブ殿下に説明すると、

「な?分かっただろう?お前が初恋の少女が忘れられず、そのせいで婚約者を決めなかった事は私も十分理解している。だがな?もうアメリア嬢は既婚者だ。バルト公爵夫人なんだ。…諦めろ」
と隣のデイブ殿下の肩に手を置いた。

しかし、デイブ殿下はその手をそっと退けると、

「今の話でよーくわかりました。2人の結婚が間違いだった事を」
と目を輝かせた。

「間違い?」
と旦那様の声が今まで聞いたことのない程の低さになっている事に戦いていると、

「はい!アメリア嬢はバルト公爵に嫁ぎたい訳ではなかったんですよね?だって 前の女性を忘れられないような伴侶なんて普通、嫌でしょう?」
とデイブ殿下は笑顔になった。

旦那様は痛い所を突かれたのか、言葉に詰まっている。

「いえ…あの…確かに最初は父から…」
『突然嫁がされる事になりましたが、今は旦那様と結婚して幸せだ』と言いたかったのだが、私が言葉を言い終わるより先に、

「ほら!王家の横暴以外の何ものでもないじゃないですか!」
とデイブ殿下はしたり顔で声を上げた。

…私に『離縁して自分と結婚しろ』と言うのも十分王家の横暴なのではないか…と私は思うのだが?

ライオネル殿下は、

「確かに王家はこのバルト公爵の血を絶やさぬ為、お節介ながら手を貸した。それはバルト公爵の意思もアメリア嬢の意思も無視した…言わば王家による政略結婚だ。
しかしな?2人はちゃんと将来を誓い合って夫婦になったんだ。それを壊す権利はお前にはない」
と諭すようにデイブ殿下に言うと、

「私は初めて夜会でローブ姿でないウィリアムを見たよ。お前を変えたのは間違いなくアメリアちゃんだ。2人はお似合いだよ」
と旦那様にも声を掛けた。

旦那様は、

「ローブではエスコート出来ないからな」
とボソッと答えた。

一方の私は『お似合い』という言葉にすっかり舞い上がっていた。超嬉しい。

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