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第25話
しおりを挟む「旦那様…今…何時でしょう?」
「この状況で、1番最初の質問がそれなのか?」
旦那様は踞ったまま、私を睨むとズズッと鼻を啜った。
「すみません…では…何故、私は裸なのでしょうか?」
「お前だけでなく、僕もだがな」
…なるほど。旦那様がシーツにくるまっているのは、私と同じ理由と言う事ですね。
「私達…2人とも裸…」
私は必死に記憶を辿るも思い出せずに頭を捻る。その私を見て、
「お、覚えてないのか?」
と旦那様は驚いているようだ。
覚えていたら訊ねないと思うのだが、今それを口に出す勇気はない。
何故なら、旦那様がプルプルし始めたからだ。寒い…という訳では無さそう。
「………申し訳ありません…。何となく旦那様を寝台の方へ引っ張って行ったような気がするのですが…」
私は素直に思い出した最後の記憶を告げると、旦那様は驚愕したように、目を見開いた。
…おや?さっきから、旦那様の前髪が見当たらない。いや…無くなった訳ではないが、今は目がちゃんと見えているのだ。
道理でさっき、睨まれた事もきちんとわかった訳だ。
しかし、今それを突っ込む勇気もない。
「酒に酔っていたのかもしれないが…お前が僕を襲ったんだ!嫌がる僕を…無理矢理…」
と言うと、旦那様はまたしくしくと泣き始めた。
はっきり言って、旦那様って泣き虫じゃないかと思う。
…今、それを口に出す勇気はもちろんない。
それに旦那様から衝撃的な事実を聞いてしまった。襲った?私が?
「それは………申し訳ありません」
襲った…という事は、私は知らぬうちに、目標を達成したという事だろうか?
私はすすり泣く旦那様を放って、急いで寝台に戻ってみる。そこには確かに血の跡があった。
…初めてだと血が出ると聞いた。…という事は…目標達成?
寝台を見つめる私の背後に、
「全く覚えていないんだな…。酷い…」
という呟きが聞こえてくるが、それについては申し訳ないとしか言いようがない。しかし…
私は隅っこに踞る旦那様の前に行き、しゃがみ込んだ。
旦那様は近付いた私を警戒したのか、距離をとろうと後ろに下がろうとするも、それ以上後ろはない。壁があるだけだ。
ますます隅っこで固まる旦那様に、
「実は…お酒を飲むのも初めてで…酔って記憶を無くしたようです。
しかし…私、旦那様を襲った事については後悔しておりません!
記憶がないのは残念ですが、私のお役目は子作りです。
今回で妊娠していれば、旦那様を解放して差し上げる事が出来ますが、もし今回だけで無理なのであれば、例え旦那様が泣いて嫌がっても、こらからも子作りに協力して頂きます!」
…と大きな声で宣言したのは良いが…頭が痛い。
自分の声が頭に響いて、私は思わず頭を抱えて踞った。
すると、
「大丈夫か?どこか悪いのか?」
と泣くのも忘れて旦那様は私を気遣ってくれた。
…意外と優しい。
それに、チラリと顔を見てみたのだが…何故旦那様は顔を隠していたのだろう?
コンプレックスがあるとメイナードが言っていたが…私にはそれがどの部分なのか、全くわからなかった。
ーーーーーーーーーーーーーーーー
今回、こちらの作品のタイトルを一部変更させて頂きました。
突然の事で申し訳ありません。
内容に変更は御座いませんので、今後ともお付き合い頂けると嬉しいです。
よろしくお願いいたします。
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