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第19話
しおりを挟む一応無事(?)に結婚の儀を終えた私達は屋敷へと戻って来た。
公爵様改め旦那様は、何故自分はメイドと結婚させられたのかとメイナードさんに抗議していた。
「あ、あの~。今朝は申し訳ありませんでした。改めまして、私、アメリアと申します。
今朝は…あんな格好でしたので、こうしゃ…いえ旦那様がお間違えになったのは最もです。全て私の責任です」
と旦那様とメイナード様の間に割って入ると、私は今朝の事を謝った。
すると、旦那様は少し私から距離を取るように離れると、
「メ、メイドではなかったという事…だな?では何故あんな格好を?」
と私に責める様に訊ねたかと思えば、
「いや…別にお前の事情など、どうでも良い。
僕は今から仕事をする。この家の事はメイナードに訊くように」
と私の答えを待たずに、言いたいことを言うと、執務室へと戻って行った。
私はその背中をポカーンと見つめる。
…結婚の当日も仕事なんだ…。
自分の父親が仕事している姿を殆んど見た事がない私は、逆に感心してしまった。
メイナードさんは私に向き直ると、
「アメリア様、申し訳ありません。お坊っちゃまが…」
と謝罪する。
「いえ。…出ていけと言われませんでしたので、ここに居ても良いと言う事ですよね?安心しました。
これから、よろしくお願いいたします」
私はもっと旦那様に嫌悪感を持たれるかと思っていたが、それはなさそうだと安心していた。
ここで暮らす事は許可されたようだし。
「も、もちろんで御座います!必要な物など御座いましたら、何なりとお申し付け下さい。
ここにはメイドも料理人も必要最低限しかおりませんが、アメリア様…いえ、奥様には不自由のないように、努めさせていただきます」
とメイナードさんに改めて頭を下げられた。
奥様かぁ…結婚したんだな…あんまり実感はないけど。
ローラさんに手伝って貰いながらドレスからワンピースに着替える。
「今朝は私がお茶を頼んでしまったので、メイドだと勘違いさせてしまいましたね…申し訳ありません」
とローラさんに謝られるが、悪いのはお仕着せを着ていた私だ。
「いえ!私があんな格好をしていたのが悪いんです。ここにあるお洋服はどれも…素敵過ぎて…。自分の手持ちがあの服と着てきたワンピースしかなくて。
あ、裁縫道具ありがとう御座いました。お陰であのワンピースを直す事が出来ました」
と私はローラさんに裁縫道具を返した。
「奥様。ここのドレスもワンピースも全て奥様の物です。どうぞご遠慮なく。
…でも、奥様は小柄でいらっしゃいますので、大半はサイズ直しが必要かもしれませんね。1度サイズを測らせて下さいませ。それと…あのお仕着せは…もう必要ありませんよね?」
ローラさんはそう言って微笑んでくれた。
…そうね、もう必要はなさそう…よね?
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