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第17話

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我が国には結婚の儀というものがある。

教会の司祭様の前で、結婚の誓約書にサインをし、お互いの左手の人差し指にお揃いのリングをはめるのだ。
縁結びの意味が込められているらしいのだが、詳しい事は知らない。

異国には結婚式と言うものがあるらしく、白いドレスを着たり、誓いの口づけとやらをする風習なのだそうだ。

私は今、心の底から、自分が生まれたのがその国で無かったことに感謝した。…何故なら、

「だから!嫌だと言っているだろう!この指輪は外さない!」

「何を言っているんですか!これからアメリア様との結婚の儀が行われるのですよ?!指輪を2つ着けるつもりですか?!」

…揉めている。公爵様とユージーン様が揉めている。その声が私の控え室にまで届いている。教会の司祭様にもきっと聞こえている事だろう…。

イメルダ様との結婚の儀で着けた指輪を外す事を、公爵様は、兎に角嫌がっていらっしゃるようだ。
指輪を外すだけで、これだけ揉めるのだ。…誓いの口づけなんて風習があったら、公爵様は暴れるのではないだろうか?


「アメリア様…申し訳ありません」
とローラさんが、小さくなって私に詫びた。…ローラさんのせいでは全くないので、気にしないで欲しい。

「いえ。公爵様がイメルダ様を今だに想っていらっしゃるのはわかってますから。その…指輪って左手じゃなきゃダメなんですか?」

なんなら右手の人差し指に私との指輪をはめたら良いのではないか?私はそう思ったのだが…

「両方の人差し指に指輪をはめているのは…側室を持っている方だけです…。アメリア様は歴とした正妻なのですよ?そんなのとんでもございません!」

…そっか…ダメか。

「なら、私との指輪はペンダントトップみたいに鎖に通して首に掛けたらいかがでしょう?それなら、公爵様も納得されるのではないですか?…司祭様もお待ちでしょうし…これ以上お時間を取らせるのは…」

…私は指輪になんか拘らないから、早く結婚の儀を済ませて、この場から立ち去りたい気持ちで一杯だ。
指輪1つで揉めるなんて、恥ずかしすぎる。

ローラさんは渋い顔をしたが、これ以上ここで揉めるのは得策でないと判断したようで、公爵様の控え室へと小走りで走って行った。私の提案を飲んでくれたら良いのだが。


ーーーーーーーーーーーーーーーーー

〈お詫び〉

数話、ヒロインの名前を「アリシエ」と間違って記載してしまいました。
ヒロインの名前を間違えるなんて…と自分で自分に呆れております。

訂正致しましたが、既に読まれていらっしゃる読者の皆さまを混乱させてしまいました事をお詫び申し上げます。

これに懲りずにお付き合いいただけると嬉しいです。よろしくお願いいたします。
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