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第13話

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「…公爵様が、今だにイメルダ様の事を忘れられないのは、十分に理解いたしました。
それと、私の事情もお話しした通りです。それを踏まえてなのですが…本当に私で良いのでしょうか?」

私としては、公爵様の気持ちが心配な所だ。
このまま結婚しても本当に良いのだろうか?

「お坊ちゃまも、本当はご自分の役割を十分理解しているのです。
アメリア様にとって酷なお願いである事は重々承知しておりますが、このままお坊ちゃまと結婚して頂けませんか?…というか…もうアメリア様しか頼れる人はおりませんので」

メイナードさんは、私の表情を伺っている。よほど切羽詰まっているのだろう事が有り有りとわかってしまった。

私としては、別に愛のない結婚であっても、あの家に居るよりマシだ。

それに、イメルダ様の秘密を聞いてしまっては…断るに、断れない。

「私はここに結婚する気で参りましたので、私は構いません。
しかし…イメルダ様は…本当は生きていらっしゃるのですよね?
あの…重婚になりません?」

ちょっと心配になったのだ。公爵様はたった数日でも一応イメルダ様と結婚していた筈。
そこは大丈夫なのだろうか?

「一応、死亡認定された時に、結婚無効とされております。それに結婚したと言っても書類上の事。ご心配なさらずに。
…まぁ、無効にする事をお坊ちゃまは抵抗されていましたがね」

…イメルダ様が死んでいても尚、公爵様は夫で居たかったのだろうな…と思うと切なくなる。

しかし、そこまで公爵様がイメルダ様を諦めきれない理由は何なのだろう?

私は興味から、

「あの…公爵様はイメルダ様のどのような所をお好きだったんでしょうか?
もし、私に真似できる所があるならば…」
と訊ねてみようとしたのだが、それに被せるように、

「顔ですよ」
と、ユージーン様が言い切った。

「か、顔?」

「そうです。一目惚れなんて、容姿がメインでしょうけど…ウィル様がイメルダ嬢に惚れたのは、10割『顔』です」

……顔かぁ…。それでは、真似できる所はなさそうだ。

「イメルダ様は余程お美しい容姿をされていらっしゃったんですね」

「まぁ…確かに。美人というより、可愛らしいといった感じですが、すれ違えば、殆んどの男性が振り返るでしょうね」

…あぁ。そりゃあ、太刀打ち出来ないな。

私は早々に、公爵様からの好意を諦める事にした。
諦める事には慣れている。今までも、そうやって生きてきたのだから。
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