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第11話

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「うちのお坊っちゃまは、生まれつき魔力が多く、小さな頃から天才と言われる程、魔法に長けた子どもでした。
前公爵を遥かに凌ぐその力は、この国に必要な物です。
結婚し子を成す事。これは義務といっても間違いはないでしょう。
その為、お坊っちゃまには10歳になる頃から、婚約者が居ました。それが、イメルダ様です。
イメルダ様は身分こそ子爵令嬢でしたが、お坊っちゃま自身がどうしてもと望まれたお相手だったのです」

「バルト公爵様にとって、とても大切な方でしたのね…」
それが前の奥様という方だろうか?

でもさっきローラさんは『認めていない』と言っていたが…。

「お坊ちゃまは、小さな頃から、周りと馴れ合う事が苦手で、1人、魔法の研究に没頭するような子どもでしたから、当然、お友達もおりませんでした。
しかしある日、王都に前公爵様から連れて行かれた時に偶然出会ったのがイメルダ様です。
イメルダ様に一目惚れしたお坊ちゃまは、どうしても彼女が良いと言って聞かず、前公爵様は仕方なく、イメルダ様を婚約者に据えましたが…彼女は大層お坊ちゃまを嫌っておいででした。
それはお坊ちゃまの容姿も関係していると思います」

「すみません。私、実はバルト公爵様のお姿を拝見した事がなくて…」

「あぁ…そうでしたか。お坊っちゃまは顔に…その…コンプレックスがおありで、それを隠すようにしておいでです。
彼女には、その姿が不気味に映ったのでしょう。
しかし、イメルダ様のお父上は、公爵家と縁が出来る事を喜び、イメルダ様のお気持ちを無視して、婚約を決めました。その事がますますイメルダ様の気持ちを頑ななものにしてしまったのかもしれません。
お坊っちゃまとイメルダ様は偶々同じ歳。
結婚は、お互いが成人を果たしてからと決められましたが、最後の最後までイメルダ様は結婚を嫌がっておいでのようでした。
きっと、このバルト公爵領も嫌だったんでしょうな。彼女は華やかな場がお好きで、王都から離れる事も嘆いていらっしゃいましたから。
しかし、彼女はお坊っちゃまと結婚したその数日後に…亡くなってしまいました」

「…!それは…?」

「結婚の儀を終え、王都からこの領地に向かっている途中、彼女の乗った馬車が盗賊に襲われ、谷底で発見されました。
川の流れも早く、彼女の遺体は結局見つかりませんでしたが、亡くなった…という事に………しているのです」

…ん?している…とは?

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