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第4話
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その後、何故公爵家が我が家なんぞに結婚の話しを持ち込んだのか、理由がわかってきた。
バルト公爵当主、ウィリアム・バルト(25歳)は類いまれなる魔法の才能はあるが、とにもかくにも変人である事で有名なんだそうだ。
変人とは?という問いに、はっきりと答えられる者はいない。
まぁ、聞いた話しを纏めると、貴族であるのに、社交界には殆んど顔を出さず、立ち振舞いも貴族のそれとは全く異なるらしい。
それなら、私も変人に当てはまる事になるな…と私は思った。
しかし、彼は魔法使い。そう、この国では重要な役職に付き、国防を担っているのだ。
そんな彼なら例え変人でも、花嫁になりたい令嬢など五万と居ると思うのだが…。
やはり、それには彼の容姿がネックとなっているようだ。
魔法使いの証でもあるローブをいつも身に纏い、顔を隠している事も噂に拍車をかけているのだろうが、真実は闇の中だ。
そして、彼には国防の他にもう1つ大切な役目がある。…そう後継を残すことだ。
これは魔法使いに課せられた義務でもある。
しかし、彼は『嫌われ者の魔法使い』
その上、バルト公爵にも結婚したくない理由があった。
公爵は亡くなった奥様を今も愛しているらしい。
彼は奥様以外の女性を娶る気持ちにはなれないと、ずっと再婚を拒絶しているとの事だった。
しかし、彼は魔法使い。そんな事を国王がお許しになる筈がなかった。
ならば、王命で、どこぞの令嬢を嫁がせれば良いのだが、流石に嫌われ者の魔法使いを誰かに押し付けるのに王命を下すのは憚られたらしい。
そこで…伯爵家以上の婚約者の居ないご令嬢を持つ家に『こんな男だけど、結婚してくれる人、いませんか~?』というお触れを出した。
そう…挙手制にした訳だ。
そして、手を挙げたのが我がワーカー家。
もちろん父は可愛い姉達をそんな男に嫁がせる気はない。
最初から私を厄介払いするつもりで手を挙げたのだった。
バルト公爵当主、ウィリアム・バルト(25歳)は類いまれなる魔法の才能はあるが、とにもかくにも変人である事で有名なんだそうだ。
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それなら、私も変人に当てはまる事になるな…と私は思った。
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そんな彼なら例え変人でも、花嫁になりたい令嬢など五万と居ると思うのだが…。
やはり、それには彼の容姿がネックとなっているようだ。
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そして、彼には国防の他にもう1つ大切な役目がある。…そう後継を残すことだ。
これは魔法使いに課せられた義務でもある。
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しかし、彼は魔法使い。そんな事を国王がお許しになる筈がなかった。
ならば、王命で、どこぞの令嬢を嫁がせれば良いのだが、流石に嫌われ者の魔法使いを誰かに押し付けるのに王命を下すのは憚られたらしい。
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そう…挙手制にした訳だ。
そして、手を挙げたのが我がワーカー家。
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