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case 雪女 ③〈最終話〉
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そんな私を見て、所長は、
「今、結論を出さなくても良いんじゃないか?お前だって、まだ体が完全に回復した訳じゃない。ゆっくり考えろ」
それを聞いた養父も、
「そうだ。こんな時に色々と話してしまって悪かったな。今はまだゆっくり休め」
そう言って養父は立ち上がると、部屋を出て行った。
それから数日後。
私は母がいるという屋敷の前に居た。
母に会うかどうか、あれからずっと考えて、考えて…でもきっと、会わなければ一生考え続ける。その方がなんだか嫌だった。自分の思考の大半を母が占めている事が不快だった。
私が母に会う事を決めたのはそんな理由だ。
私は養父と、所長と共に、この屋敷を訪れた。
ここは妖狐である、『翠月』のお屋敷だ。
私達は翠月に仕える狐達に案内され、ある部屋を訪れた。
この襖の向こうに母が居ると思うと、どうしても勇気が出ない。
所長は、私の手をぎゅっと握って、
「大丈夫だ」
と微笑んだ。
私は思いきって、その襖を開ける、
そこには、私に良く似た女性が、布団に横になっていた。近くの椅子に座っている老婆が翠月だろう。
ゆっくりとその女性は私達に目を向ける
「凛…。ごめんなさい」
その女性…私の母はそう言うと、涙を一粒流した。
私は直ぐに悟った。ああ、母はもうすぐ死ぬのだと。それほどまでに弱々しい母の姿だった。
私は母の側に行き、腰を下ろした。
「お母さん…?」
母は側に来た私の顔に手を伸ばす。私はその震える手をそっと握って、自分の頬に押し当てた。
「凛。ごめんなさい。本当にごめんなさい」
「…捨てられたのだと…思ってた」
私がそう言うと母はポロポロと涙を溢して、
「そう思われても良かったの。側に居る事が叶わないなら、恨まれた方がマシだと思ってた。ごめんなさい」
「謝らないで…。お父さんは、お母さんの事を悪く言った事は1度もなかった。でも、夜になると、たまに泣いてたの『朧…』って」
「ふっ……うっ……うっ…」
母は堪えられずに嗚咽を漏らした。
「お母さんも、お父さんを愛してたのね」
「うっ…愛してた…誰よりも…雪女なんかに好かれてしまって可哀想な人だって…そう思っても……」
私もいつの間にか泣いていた。
心のわだかまりはその涙と一緒に溶けて流れていくようだった。
母が亡くなったと聞いたのは、それから約2週間後の事だ。
私には日常が戻って来た。
「所長。今日は団三郎のおっちゃんの所に行って…その後は…」
「所長って呼ぶなって言っただろ?名前で呼べ、名前で」
「もう、所長って言うのに慣れちゃって…ってか、どっちでも良いじゃないですか」
「良くない!それに…いつ結婚してくれるんだよ…給料の未払いを精算したら考えてくれるって言ったじゃないか…」
「少なくとも、母の喪が明けてからですよ。じゃ、私は仕事に行って来ます!」
と、私が言うと、
「相変わらずじゃのう。凛ちゃんも」
と笑う声が聞こえた。
私は振り返って、
「だから、兵六さん!勝手に入ってきて、勝手にお茶を飲まないで!」
と呑気にお茶をすすっている兵六さんを睨んだ。
兵六さんはあの後、紫電と鬼道丸の間を取り持って、2人を和解させた。和解といっても性格は合わないので、敵対しない…といったぐらいだが。
人間と鬼との関係は変わりつつある。
人間に変化出来る鬼は島から出ても良い事になった。守総はそれを新たな鬼との契約に加えた。鬼道丸の意思が尊重された形だ。
ONIGASIMAは変わらず鬼達を守っている。
桜雅様は、暗示が解けると、桜華の記憶の全てを失っていた。
紫苑さんが、桜雅様を育てると言っているらしい。
あの後紫苑さんからは、
『守総には置いて逝かれてしまうけれど、これからずっと、私が上ノ神を見守っていきます。それが私の生きる意味なのだと思うから』
という手紙を頂いた。
私は、
「所長も仕事、してくださいよ!じゃあ、私は行ってきます!」
と言って勢い良く事務所の扉を開けるとそこには、ニコニコした一路が立っていた。
「何?一路。なんか依頼?」
「いや…凛ちゃんに会いに来ただけ。今から仕事?じゃあ送って行くよ。私もこれからお店に出勤なんだ。その前に凛ちゃんの顔が見たいなって思って」
それを聞いた所長は、
「おい!一路!凛は俺の婚約者だと言っただろ!手を出すな!」
「うるさい男だな。まだ結婚してないんだし、チャンスはあるんだから、私は諦めないよ。じゃあ、凛ちゃん行こうか」
と言って一路は私と共に歩き出す。私は、
「じゃあ行ってきますね~」
と言って事務所を後にした。
後ろでなんか、所長がごちゃごちゃ言ってるけど、私には仕事が待っている。
ここ〈よろず屋〉は、皆様のお悩み解決いたします。
ただし、お客様は妖怪の方に限らせていただきます。
~完~
*****************
これにて、「なんでも相談所〈よろず屋〉で御座います!~ただしお客様は妖怪に限る~」
は完結です。
最後まで読んで下さいました皆様、また投票をして下さいました皆様に、御礼申し上げます。
何とか完走する事が出来ました。
本当にありがとうございました。
皆様へ心からの感謝を込めて。 君影草
「今、結論を出さなくても良いんじゃないか?お前だって、まだ体が完全に回復した訳じゃない。ゆっくり考えろ」
それを聞いた養父も、
「そうだ。こんな時に色々と話してしまって悪かったな。今はまだゆっくり休め」
そう言って養父は立ち上がると、部屋を出て行った。
それから数日後。
私は母がいるという屋敷の前に居た。
母に会うかどうか、あれからずっと考えて、考えて…でもきっと、会わなければ一生考え続ける。その方がなんだか嫌だった。自分の思考の大半を母が占めている事が不快だった。
私が母に会う事を決めたのはそんな理由だ。
私は養父と、所長と共に、この屋敷を訪れた。
ここは妖狐である、『翠月』のお屋敷だ。
私達は翠月に仕える狐達に案内され、ある部屋を訪れた。
この襖の向こうに母が居ると思うと、どうしても勇気が出ない。
所長は、私の手をぎゅっと握って、
「大丈夫だ」
と微笑んだ。
私は思いきって、その襖を開ける、
そこには、私に良く似た女性が、布団に横になっていた。近くの椅子に座っている老婆が翠月だろう。
ゆっくりとその女性は私達に目を向ける
「凛…。ごめんなさい」
その女性…私の母はそう言うと、涙を一粒流した。
私は直ぐに悟った。ああ、母はもうすぐ死ぬのだと。それほどまでに弱々しい母の姿だった。
私は母の側に行き、腰を下ろした。
「お母さん…?」
母は側に来た私の顔に手を伸ばす。私はその震える手をそっと握って、自分の頬に押し当てた。
「凛。ごめんなさい。本当にごめんなさい」
「…捨てられたのだと…思ってた」
私がそう言うと母はポロポロと涙を溢して、
「そう思われても良かったの。側に居る事が叶わないなら、恨まれた方がマシだと思ってた。ごめんなさい」
「謝らないで…。お父さんは、お母さんの事を悪く言った事は1度もなかった。でも、夜になると、たまに泣いてたの『朧…』って」
「ふっ……うっ……うっ…」
母は堪えられずに嗚咽を漏らした。
「お母さんも、お父さんを愛してたのね」
「うっ…愛してた…誰よりも…雪女なんかに好かれてしまって可哀想な人だって…そう思っても……」
私もいつの間にか泣いていた。
心のわだかまりはその涙と一緒に溶けて流れていくようだった。
母が亡くなったと聞いたのは、それから約2週間後の事だ。
私には日常が戻って来た。
「所長。今日は団三郎のおっちゃんの所に行って…その後は…」
「所長って呼ぶなって言っただろ?名前で呼べ、名前で」
「もう、所長って言うのに慣れちゃって…ってか、どっちでも良いじゃないですか」
「良くない!それに…いつ結婚してくれるんだよ…給料の未払いを精算したら考えてくれるって言ったじゃないか…」
「少なくとも、母の喪が明けてからですよ。じゃ、私は仕事に行って来ます!」
と、私が言うと、
「相変わらずじゃのう。凛ちゃんも」
と笑う声が聞こえた。
私は振り返って、
「だから、兵六さん!勝手に入ってきて、勝手にお茶を飲まないで!」
と呑気にお茶をすすっている兵六さんを睨んだ。
兵六さんはあの後、紫電と鬼道丸の間を取り持って、2人を和解させた。和解といっても性格は合わないので、敵対しない…といったぐらいだが。
人間と鬼との関係は変わりつつある。
人間に変化出来る鬼は島から出ても良い事になった。守総はそれを新たな鬼との契約に加えた。鬼道丸の意思が尊重された形だ。
ONIGASIMAは変わらず鬼達を守っている。
桜雅様は、暗示が解けると、桜華の記憶の全てを失っていた。
紫苑さんが、桜雅様を育てると言っているらしい。
あの後紫苑さんからは、
『守総には置いて逝かれてしまうけれど、これからずっと、私が上ノ神を見守っていきます。それが私の生きる意味なのだと思うから』
という手紙を頂いた。
私は、
「所長も仕事、してくださいよ!じゃあ、私は行ってきます!」
と言って勢い良く事務所の扉を開けるとそこには、ニコニコした一路が立っていた。
「何?一路。なんか依頼?」
「いや…凛ちゃんに会いに来ただけ。今から仕事?じゃあ送って行くよ。私もこれからお店に出勤なんだ。その前に凛ちゃんの顔が見たいなって思って」
それを聞いた所長は、
「おい!一路!凛は俺の婚約者だと言っただろ!手を出すな!」
「うるさい男だな。まだ結婚してないんだし、チャンスはあるんだから、私は諦めないよ。じゃあ、凛ちゃん行こうか」
と言って一路は私と共に歩き出す。私は、
「じゃあ行ってきますね~」
と言って事務所を後にした。
後ろでなんか、所長がごちゃごちゃ言ってるけど、私には仕事が待っている。
ここ〈よろず屋〉は、皆様のお悩み解決いたします。
ただし、お客様は妖怪の方に限らせていただきます。
~完~
*****************
これにて、「なんでも相談所〈よろず屋〉で御座います!~ただしお客様は妖怪に限る~」
は完結です。
最後まで読んで下さいました皆様、また投票をして下さいました皆様に、御礼申し上げます。
何とか完走する事が出来ました。
本当にありがとうございました。
皆様へ心からの感謝を込めて。 君影草
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