43 / 55
case 鬼 22
しおりを挟む
「何かわかったか?」
と訊ねる守総に、
「まだ、わからない事だらけだが…1つだけ事実がある。それはONIGASIMAの『鬼切安綱』の封印が解け、それが島から持ち出された事だ」
所長の答えに、守総は、
「持ち出された?見張りは何をしていた?それに…あの島には結界が…」
と驚いたように私達に質問した。
「持ち出されたのは封印が解けた後。見張りの一瞬の隙をついて、誰かが持ち去った。
ここからは俺達の想像でしかないが…安綱を祠から持ち去ったのは、お前の鷹である可能性がある。鷹を確認させて欲しい」
「私の?まさか、私を疑っているのか?私はそんな事はしていない!安綱をあの島から持ち出すなど…そんな愚かな事。それは、鬼との契約違反だ!」
「違う。お前を疑っている訳じゃない。とにかく、まずは鷹を確認してからだ。安綱の封印が解かれている今、安綱は邪な気を纏っている筈。
鷹にその気配が残っているか確かめたい。凛ならそれを確認できる。
持ち去られたのは、もう3ヶ月も前だ、早くしなければ、その気配はどんどんと薄まってしまう」
そう所長が言うと、
「わかった。付いてこい」
と頷いて、守総は部屋を出ていく。
私達もそれを追って部屋を出た。
「こいつが、今の連絡用の鷹だ」
見せて貰った鷹はかなり大きく、力もありそうだ。その隣にはまだ子どもと思われる鷹がいた。
「この子は?」
私が訊ねると、
「これは、息子の桜雅に使わせる為、今訓練をしている。こいつの子どもだが、まだ実際にあの島へ飛ばす事は出来ない。私が帝の位を桜雅に譲る頃には一人前になっているだろう」
私はそっと、守総の鷹に近寄る。目を閉じて、気配を探る。
もしこの鷹が安綱に触れていたとしても、もう3ヶ月も前だ。
私は神経を研ぎ澄ませて安綱に込められた邪な気を必死に手繰り寄せる……あった!
「あった。この鷹にほんの僅かだけど、安綱の気を感じる」
「間違いないか?祠では何も感じなかっただろう?」
「祠では、ここまでじっくり探ってなかったもん!」
と私は所長に言い返した。
私達2人のやり取りに、
「では、私の鷹が安綱を持ち出したと言うのか?だが、私にはそれをする理由はない」
守総の顔には、私達への不信感が現れている。
しかし、私達はもう1つ確認しなくてはいけない事がある。
「さっきも言ったがお前を疑ってなどいない。…だが、これを扱える者がもう1人…居るんじゃないのか?」
「!まさか…桜雅を疑っているのか?確かに…私以外でこの鷹に命令できるのは…桜雅だけだが。理由は何だ?」
「それは…本人に確認しなければわからない事でしょう…。桜雅様に会えますか?」
と私は守総の答えを待った。
と訊ねる守総に、
「まだ、わからない事だらけだが…1つだけ事実がある。それはONIGASIMAの『鬼切安綱』の封印が解け、それが島から持ち出された事だ」
所長の答えに、守総は、
「持ち出された?見張りは何をしていた?それに…あの島には結界が…」
と驚いたように私達に質問した。
「持ち出されたのは封印が解けた後。見張りの一瞬の隙をついて、誰かが持ち去った。
ここからは俺達の想像でしかないが…安綱を祠から持ち去ったのは、お前の鷹である可能性がある。鷹を確認させて欲しい」
「私の?まさか、私を疑っているのか?私はそんな事はしていない!安綱をあの島から持ち出すなど…そんな愚かな事。それは、鬼との契約違反だ!」
「違う。お前を疑っている訳じゃない。とにかく、まずは鷹を確認してからだ。安綱の封印が解かれている今、安綱は邪な気を纏っている筈。
鷹にその気配が残っているか確かめたい。凛ならそれを確認できる。
持ち去られたのは、もう3ヶ月も前だ、早くしなければ、その気配はどんどんと薄まってしまう」
そう所長が言うと、
「わかった。付いてこい」
と頷いて、守総は部屋を出ていく。
私達もそれを追って部屋を出た。
「こいつが、今の連絡用の鷹だ」
見せて貰った鷹はかなり大きく、力もありそうだ。その隣にはまだ子どもと思われる鷹がいた。
「この子は?」
私が訊ねると、
「これは、息子の桜雅に使わせる為、今訓練をしている。こいつの子どもだが、まだ実際にあの島へ飛ばす事は出来ない。私が帝の位を桜雅に譲る頃には一人前になっているだろう」
私はそっと、守総の鷹に近寄る。目を閉じて、気配を探る。
もしこの鷹が安綱に触れていたとしても、もう3ヶ月も前だ。
私は神経を研ぎ澄ませて安綱に込められた邪な気を必死に手繰り寄せる……あった!
「あった。この鷹にほんの僅かだけど、安綱の気を感じる」
「間違いないか?祠では何も感じなかっただろう?」
「祠では、ここまでじっくり探ってなかったもん!」
と私は所長に言い返した。
私達2人のやり取りに、
「では、私の鷹が安綱を持ち出したと言うのか?だが、私にはそれをする理由はない」
守総の顔には、私達への不信感が現れている。
しかし、私達はもう1つ確認しなくてはいけない事がある。
「さっきも言ったがお前を疑ってなどいない。…だが、これを扱える者がもう1人…居るんじゃないのか?」
「!まさか…桜雅を疑っているのか?確かに…私以外でこの鷹に命令できるのは…桜雅だけだが。理由は何だ?」
「それは…本人に確認しなければわからない事でしょう…。桜雅様に会えますか?」
と私は守総の答えを待った。
0
お気に入りに追加
79
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。

魅了が解けた貴男から私へ
砂礫レキ
ファンタジー
貴族学園に通う一人の男爵令嬢が第一王子ダレルに魅了の術をかけた。
彼女に操られたダレルは婚約者のコルネリアを憎み罵り続ける。
そして卒業パーティーでとうとう婚約破棄を宣言した。
しかし魅了の術はその場に運良く居た宮廷魔術師に見破られる。
男爵令嬢は処刑されダレルは正気に戻った。
元凶は裁かれコルネリアへの愛を取り戻したダレル。
しかしそんな彼に半年後、今度はコルネリアが婚約破棄を告げた。
三話完結です。

【完結】兄の事を皆が期待していたので僕は離れます
まりぃべる
ファンタジー
一つ年上の兄は、国の為にと言われて意気揚々と村を離れた。お伽話にある、奇跡の聖人だと幼き頃より誰からも言われていた為、それは必然だと。
貧しい村で育った弟は、小さな頃より家の事を兄の分までせねばならず、兄は素晴らしい人物で対して自分は凡人であると思い込まされ、自分は必要ないのだからと弟は村を離れる事にした。
そんな弟が、自分を必要としてくれる人に会い、幸せを掴むお話。
☆まりぃべるの世界観です。緩い設定で、現実世界とは違う部分も多々ありますがそこをあえて楽しんでいただけると幸いです。
☆現実世界にも同じような名前、地名、言葉などがありますが、関係ありません。

【一話完結】断罪が予定されている卒業パーティーに欠席したら、みんな死んでしまいました
ツカノ
ファンタジー
とある国の王太子が、卒業パーティーの日に最愛のスワロー・アーチェリー男爵令嬢を虐げた婚約者のロビン・クック公爵令嬢を断罪し婚約破棄をしようとしたが、何故か公爵令嬢は現れない。これでは断罪どころか婚約破棄ができないと王太子が焦り始めた時、招かれざる客が現れる。そして、招かれざる客の登場により、彼らの運命は転がる石のように急転直下し、恐怖が始まったのだった。さて彼らの運命は、如何。
おにぎり屋さんの裏稼業 〜お祓い請け賜わります〜
瀬崎由美
キャラ文芸
高校2年生の八神美琴は、幼い頃に両親を亡くしてからは祖母の真知子と、親戚のツバキと一緒に暮らしている。
大学通りにある屋敷の片隅で営んでいるオニギリ屋さん『おにひめ』は、気まぐれの営業ながらも学生達に人気のお店だ。でも、真知子の本業は人ならざるものを対処するお祓い屋。霊やあやかしにまつわる相談に訪れて来る人が後を絶たない。
そんなある日、祓いの仕事から戻って来た真知子が家の中で倒れてしまう。加齢による力の限界を感じた祖母から、美琴は祓いの力の継承を受ける。と、美琴はこれまで視えなかったモノが視えるようになり……。
第8回キャラ文芸大賞にて奨励賞をいただきました。
【完結】もう…我慢しなくても良いですよね?
アノマロカリス
ファンタジー
マーテルリア・フローレンス公爵令嬢は、幼い頃から自国の第一王子との婚約が決まっていて幼少の頃から厳しい教育を施されていた。
泣き言は許されず、笑みを浮かべる事も許されず、お茶会にすら参加させて貰えずに常に完璧な淑女を求められて教育をされて来た。
16歳の成人の義を過ぎてから王子との婚約発表の場で、事あろうことか王子は聖女に選ばれたという男爵令嬢を連れて来て私との婚約を破棄して、男爵令嬢と婚約する事を選んだ。
マーテルリアの幼少からの血の滲むような努力は、一瞬で崩壊してしまった。
あぁ、今迄の苦労は一体なんの為に…
もう…我慢しなくても良いですよね?
この物語は、「虐げられる生活を曽祖母の秘術でざまぁして差し上げますわ!」の続編です。
前作の登場人物達も多数登場する予定です。
マーテルリアのイラストを変更致しました。

【完結】捨て去られた王妃は王宮で働く
ここ
ファンタジー
たしかに私は王妃になった。
5歳の頃に婚約が決まり、逃げようがなかった。完全なる政略結婚。
夫である国王陛下は、ハーレムで浮かれている。政務は王妃が行っていいらしい。私は仕事は得意だ。家臣たちが追いつけないほど、理解が早く、正確らしい。家臣たちは、王妃がいないと困るようになった。何とかしなければ…

英雄一家は国を去る【一話完結】
青緑
ファンタジー
婚約者との舞踏会中、火急の知らせにより領地へ帰り、3年かけて魔物大発生を収めたテレジア。3年振りに王都へ戻ったが、国の一大事から護った一家へ言い渡されたのは、テレジアの婚約破棄だった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる