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case 鬼 ⑦

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「貞光は、どんな国を創りたかったんだろう」
私は疑問を口にする。

「まぁ、あいつは阿保だったからな、とにかく争いを無くしたい。それだけでがむしゃらにやっておった。それは茨木童子も同じじゃ。2人はとにかく気が合った。貞光に賛同する人間も多く、少しずつ国の形が出来てきた」

「兵六さんも、手伝ったの?」

「わしには、争いの無い国などどうでも良かったがな。貞光が見てみたいと言う景色には興味があった。わしがする事と言えば、妖怪どもを纏める事ぐらいじゃ。まぁ、妖怪が人間に紛れて暮らすようになるには、時間がかかった。それに、鬼達は…それには賛同せんかったしな」

「鬼は…人間に化ける事が苦手よね?」

「そうじゃな。それが大前提にあるからなぁ。あの見た目じゃ、人間となかなか相容れない。貞光の炎を持ってしても形の変わらなかった『鬼切安綱』の事もあったしな」

「そうそう。その『安綱』はどうやって封印されたの?」

「炎による浄化が出来んかった『安綱』はある地に封印される事になった。それが『ONIGASIMA』じゃ。鬼達は『安綱』の封印が解かれぬよう『ONIGASIMA』の地でその封印を守る事にしたんじゃ。
2度と邪な力を持った者の手に渡らぬようにな。
しかし、貞光は死ぬ間際にわしに言い残した。『自分の力が及ばなくなる時が来るかもしれん』とな」

「それは…どうして?」

「貞光が死んでもう随分と経つ。流石に貞光の力も永遠ではない…という事じゃ」

「じゃあ、時間が経って封印が解かれたって事?」

「それだけじゃない。少し前に…『茨木童子』が亡くなった。それも大きい。
あいつは封印の力を強めておったからな。
貞光はわしに『長い年月が経てば、封印の力は弱まるかもしれん。しかし、あの刀を扱えるのは邪な力を持った者だけだ。
あの地から持ち出す事はそう容易ではないだろう。兵六、お前には童子とともにこの国の行く末を見守って欲しい。俺の子孫が愚かでない事を祈るよ』とな。厄介な約束をさせられたんじゃ」

「そうだったの…」

「わしは、貞光が亡くなった後、源や渡辺が使っていた力について調べた。その時にはもう童子はONIGASIMAで封印を守っておったからな、わしに協力してくれたのが、大蔵 久遠…八雲の祖父じゃ」

「じゃあ、今回、封印が解かれたかもというのは…」

「童子の弟子から、封印の様子がおかしいと連絡があったが、その後連絡が取れなくなってしまった。何かがあの島で起こっておるかもしれん。八雲にそれを調べてもらいたかったんじゃ。まぁ、依頼というより…八雲の使命じゃからな」

「所長の使命?」

「あぁ。あいつは久遠から直々に『鬼切に何かあった場合はその力を使え」と言われとる」

「所長の力?」

「あぁ。八雲は貞光に似た力『邪な気を払う』力を持っておる。普段は使わんようにしとるがな」

「じゃあ…所長は…」

「あぁ、『鬼切安綱』を再度封印出来る力を持っとるんじゃよ」


…知らなかった…。
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