なんでも相談所〈よろず屋〉で御座います！～ただしお客様は妖怪に限る～

初瀬叶

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case 桂男 ④

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私は翌日、八重乃さんに柊が見付かった事を報告した。

八重乃さんは、今までの2人と同じように柊（一路）に会いたいと言う。しかし、今までと違うのは、

「やっぱりお金は返して頂きたいんです。もちろんお金を返して頂ければ、警察には被害届は出しません」

「今直ぐに全額返金とは難しいかもしれません。被害額もかなりの大金なので…」

「…あまり時間が掛かるのは困りますが…返して頂けるなら、分割でも構いません」

と八重乃さんが譲歩してくれたので、私はその事を柊（一路）と話し合う事に決めた。

「では…返金は分割になるかもしれませんが…精一杯させて頂きます。それと…柊さんに会うのならば、こちらの事務所に柊さんを呼びますが…」

「では…全てのお金が返金された時に、彼に会わせて貰えますか？」
と八重乃さんはそう言うと、今日は予定があるので…と帰って行った。

八重乃さんを見送った私は、所長に、

「さて…どうしますかね。今までの被害者は一路に会うだけで納得してくれましたけど…」

「あの依頼人、ヤバい所から借金したみたいだな」

「え？じゃあ一路に渡したお金は…」

「あぁ。借金して作った金らしい」

「それで、どうしてもお金を返して欲しかったんですね。でも、ヤバい所だと、利子凄そうですけど？」

「それは、もう手を打った。だが、あの女には言う必要はないがな」

「…団三郎さんの所ですか？」

「そうだ。オッサンの所から一括で借りて、ヤバい所には返しておいた。安心安全の団三郎狸から借りた方がマシだろう？」

「でも…よく、八重乃さんの事を調べましたね？」
と私が所長の働きに驚いていると、

「それを教えたのは、ワシじゃよ」
と背後から声が聞こえた。

さっきまで八重乃さんが座っていたソファーに座って勝手にお茶を飲んでいるのは、

「兵六さん。また、勝手に入って、勝手にお茶を飲まないで下さい！」
と私が怒ると、

「凛ちゃん。そんな怒ると可愛い顔が台無しじゃよ？」
と呑気にお茶をすすっているのは、ぬらりひょんの兵六さんだ。

ぬらりひょんって妖怪の親玉みたいに人間に思われてるらしい。

私は兵六さんしか、ぬらりひょんを知らないが、人が忙しくしている時に勝手に家に入って来て、勝手にお茶を飲んだり、煙草を吸ったりする図々しい爺さんというイメージしかない。
まず、強そうな見た目でもないし。

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