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番外編
番外編・その48
しおりを挟む私はマルコ様の胸に頭を預けたまま、
「私ね……前世の記憶があるの」
と今まで誰にも話した事がなかった秘密を口に出した。少し怖い。
「前世?……なるほど。そうか」
と言ってマルコ様は私の頭を撫でた。
私は少し頭を起こしてマルコ様と目を合わせる。
「信じるの?」
「逆に信じない理由があるのか?」
とマルコ様は優しく微笑んだ。
「だって……こんな話、普通信じないでしょう?」
「クロエじゃない奴が言ったなら、信じなかったかもな」
「……ロッテン子爵夫人とか?」
「あぁ。そんな事もあったな。あの時は全く信じてなかったよ。ちょっとおかしな奴だと思っただけだ」
「私の事をおかしいとは思わない?」
「思わないよ。思う訳がない。それに前世の記憶があったって、クロエはクロエだ。俺の大切な人に変わりはない」
そう言ってまたマルコ様は私を抱き締めた。
「この事は誰にも言うつもりなかったの。前世の記憶なんて…荒唐無稽な話でしょう?」
「だが、それならクロエの得意料理が聞いたこともない物なのは納得できる。それだけでも信用に値する話だよ。まぁ、俺はクロエが言う事ならなんでも信じるけどな」
とマルコ様は笑った。
「前世の記憶があっても、私は私。自分でもそう思っていたの。でもそのお陰で出来た事もあるし、私としては得だったな……って今は思うわ」
「そうか。確かにクロエのアイデアには驚かせされる事も多々あったが……。でもそれはクロエがこの国を良くしたいと思っての事だ。君はそれを悪用した事はないし、自分の為だけに使った訳でもない。それは君の為人だろう。この話を聞いた所で俺は何も変わる事はないよ。いや……ますます君を好きになっただけかな」
私はマルコ様の胸に頭を預け、彼の声が胸に響いて聞こえるのをまるで子守唄のように聞いていた。そのうち私の瞼は重くなる。
「眠って良いよ。今日は疲れたろ?」
というマルコ様の声がとても遠く聞こえた。
大きな秘密を誰かに…いや世界で1番大切な人に打ち明けた事で、私は少し胸が軽くなったような気がした。
あぁ。私はこれを誰かと共有したかったのかもしれない。それが推しなんて願ったり叶ったりだ。
確かに今日は1日色々ありすぎて疲れてしまった。
明日からもやらなければならない事は山積みだ。
このまま甘えて良いかしら?
私は少し頷いて、そのまま深い眠りについた。
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大変長い間、投稿せず申し訳ありませんでした。
これからも投稿頻度は少し落ちるかもしれませんが、最後までお付き合いいただけると嬉しいです。
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