上 下
66 / 86
番外編

番外編・その31

しおりを挟む

セドリックの結婚が無事に済んだかと思えば、今度はジュリエッタの挙式の準備だ。

「何だか時間が経つのがアッと言う間だわ」

私が思わず言うと、目の前で私と共にジュリエッタのウェディングドレスのデザインを選んでいたナラが、

「クロエ様が忙し過ぎるせいですよ。
ジュリエッタ様の結婚式ぐらい、私に任せて頂いても良いんですよ?」

義理の親子になったとはいえ、ナラは私を『クロエ様』と呼ぶ。ジュリエッタの事も同じく。

「これは昔からね。どうしても人に任せる事が上手く出来ないの。
もちろん他人を信頼出来ないとか、ナラを信用してないとかじゃないのよ?
ただ、色々と説明するのが面倒くさくなっちゃったりするのよね…悪い癖ね」
と私が笑うと、ナラは、

「わかってますよ。クロエ様は王妃だった頃から、よくそうやって反省されてましたね。
周りの者も何度か仕事のし過ぎだと苦言を呈していましたしねぇ。
しかし…クロエ様はなんだか仕事している時がイキイキしていらっしゃるんですもの」
と苦笑した。

マルコ様にも、くれぐれも体調には気を付けるように言われているが『仕事を取り上げるのはクロエの生き甲斐を取り上げるようで心苦しいからな』と言われている。
今のナラと同じような苦笑と共に。

「そう言えばクロエ様…今朝はあまり朝食を召し上がっていらっしゃらなかったようですが、どうかされました?」

そうなのだ。昨日ぐらいから少し、食欲がない。
マルコ様が隣国へ出張に行ってて寂しいのが原因からかしら?

「なんだか少し食欲がないのよね~」
と私が言えば、

「マルコが居ないのが原因ですかね?」
とナラも私が考えている事と同じ事を言った。
心を読まれてるのかしら。

「それは冗談としても…」
とナラは少し真面目な顔になった。

…冗談だったんだ…。

「食べる事に貪欲なクロエ様の食欲がないなんて、一大事ですね。
1度ユニ先生の診察を受けてはいかがですか?」

私は王族を抜けたにも関わらず、何故かユニ先生の診察を受ける事が許可されている。…特別待遇だ。

「そうね~。時間がある時に診察を受けるわ。ほんの少し食欲がないだけなのよ?
他は特にどこにも不調はないの。…疲れが出てるのかしらね?」
と私が言えば、

「クロエ様、時にはゆっくり休む事も大切ですわ」
とナラも大きく頷いた。

結局、私がユニ先生の診察を受けたのは 、この話をした約10日後だったのだが。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

夫の色のドレスを着るのをやめた結果、夫が我慢をやめてしまいました

氷雨そら
恋愛
夫の色のドレスは私には似合わない。 ある夜会、夫と一緒にいたのは夫の愛人だという噂が流れている令嬢だった。彼女は夫の瞳の色のドレスを私とは違い完璧に着こなしていた。噂が事実なのだと確信した私は、もう夫の色のドレスは着ないことに決めた。 小説家になろう様にも掲載中です

私が死んで満足ですか?

マチバリ
恋愛
王太子に婚約破棄を告げられた伯爵令嬢ロロナが死んだ。 ある者は面倒な婚約破棄の手続きをせずに済んだと安堵し、ある者はずっと欲しかった物が手に入ると喜んだ。 全てが上手くおさまると思っていた彼らだったが、ロロナの死が与えた影響はあまりに大きかった。 書籍化にともない本編を引き下げいたしました

初夜に「俺がお前を抱く事は無い!」と叫んだら長年の婚約者だった新妻に「気持ち悪い」と言われた上に父にも予想外の事を言われた男とその浮気女の話

ラララキヲ
恋愛
 長年の婚約者を欺いて平民女と浮気していた侯爵家長男。3年後の白い結婚での離婚を浮気女に約束して、新妻の寝室へと向かう。  初夜に「俺がお前を抱く事は無い!」と愛する夫から宣言された無様な女を嘲笑う為だけに。  しかし寝室に居た妻は……  希望通りの白い結婚と愛人との未来輝く生活の筈が……全てを周りに知られていた上に自分の父親である侯爵家当主から言われた言葉は──  一人の女性を蹴落として掴んだ彼らの未来は……── <【ざまぁ編】【イリーナ編】【コザック第二の人生編(ザマァ有)】となりました> ◇テンプレ浮気クソ男女。 ◇軽い触れ合い表現があるのでR15に ◇ふんわり世界観。ゆるふわ設定。 ◇ご都合展開。矛盾は察して下さい… ◇なろうにも上げてます。 ※HOTランキング入り(1位)!?[恋愛::3位]ありがとうございます!恐縮です!期待に添えればよいのですがッ!!(;><)

私は心を捨てました 〜「お前なんかどうでもいい」と言ったあなた、どうして今更なのですか?〜

月橋りら
恋愛
私に婚約の打診をしてきたのは、ルイス・フォン・ラグリー侯爵子息。 だが、彼には幼い頃から大切に想う少女がいたーー。 「お前なんかどうでもいい」 そうあなたが言ったから。 私は心を捨てたのに。 あなたはいきなり許しを乞うてきた。 そして優しくしてくるようになった。 ーー私が想いを捨てた後で。 どうして今更なのですかーー。 *この小説はカクヨム様、エブリスタ様でも連載しております。

王が気づいたのはあれから十年後

基本二度寝
恋愛
王太子は妃の肩を抱き、反対の手には息子の手を握る。 妃はまだ小さい娘を抱えて、夫に寄り添っていた。 仲睦まじいその王族家族の姿は、国民にも評判がよかった。 側室を取ることもなく、子に恵まれた王家。 王太子は妃を優しく見つめ、妃も王太子を愛しく見つめ返す。 王太子は今日、父から王の座を譲り受けた。 新たな国王の誕生だった。

挙式後すぐに離婚届を手渡された私は、この結婚は予め捨てられることが確定していた事実を知らされました

結城芙由奈 
恋愛
【結婚した日に、「君にこれを預けておく」と離婚届を手渡されました】 今日、私は子供の頃からずっと大好きだった人と結婚した。しかし、式の後に絶望的な事を彼に言われた。 「ごめん、本当は君とは結婚したくなかったんだ。これを預けておくから、その気になったら提出してくれ」 そう言って手渡されたのは何と離婚届けだった。 そしてどこまでも冷たい態度の夫の行動に傷つけられていく私。 けれどその裏には私の知らない、ある深い事情が隠されていた。 その真意を知った時、私は―。 ※暫く鬱展開が続きます ※他サイトでも投稿中

余命宣告を受けたので私を顧みない家族と婚約者に執着するのをやめることにしました

結城芙由奈 
恋愛
【余命半年―未練を残さず生きようと決めた。】 私には血の繋がらない父と母に妹、そして婚約者がいる。しかしあの人達は私の存在を無視し、空気の様に扱う。唯一の希望であるはずの婚約者も愛らしい妹と恋愛関係にあった。皆に気に入られる為に努力し続けたが、誰も私を気に掛けてはくれない。そんな時、突然下された余命宣告。全てを諦めた私は穏やかな死を迎える為に、家族と婚約者に執着するのをやめる事にした―。 2021年9月26日:小説部門、HOTランキング部門1位になりました。ありがとうございます *「カクヨム」「小説家になろう」にも投稿しています ※2023年8月 書籍化

殿下、側妃とお幸せに! 正妃をやめたら溺愛されました

まるねこ
恋愛
旧題:お飾り妃になってしまいました 第15回アルファポリス恋愛大賞で奨励賞を頂きました⭐︎読者の皆様お読み頂きありがとうございます! 結婚式1月前に突然告白される。相手は男爵令嬢ですか、婚約破棄ですね。分かりました。えっ?違うの?嫌です。お飾り妃なんてなりたくありません。

処理中です...
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
番外編を閲覧することが出来ません。
過去1ヶ月以内にレジーナの小説・漫画を1話以上レンタルしている と、レジーナのすべての番外編を読むことができます。

このユーザをミュートしますか?

※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。