40 / 50
勇と幸司⑷
しおりを挟む
先にお風呂をいただき、幸也が入れ替わりにお風呂へと行く。リビングには、幸也の叔母さんである里子さんがいて、冷たいお茶を入れてくれた。今日は、里子さんの旦那さんの智さんは出張でいなかった。
「ありがとうございます」
「幸司くんもちょっと見ないうちに、大きくなったねー」
ここ2年くらいは幸也の家に、ちょこちょこ行ってたけど、仕事をしている里子さんとは、会うことはなかった。最後に会ったのは、小学生の頃だったろうか…。
小学生の頃は、お互いに泊まりに行きあっていたけど、中学生になってからは、クラスも3年間違い、オレは部活に入っていて、幸也は生徒会に入っていて、気づかないうちに疎遠になっていた。去年同じ高校で、同じクラスになると、また以前のような関係が復活できたのだ。
「最近また、幸司くんに仲良くしてもらって、私も嬉しいよ」
「あ、オレもです。中学の頃は、幸也と疎遠になっちゃって、ちょっと寂しかったんで」
「あの子は、幸司くんに迷惑かけてなきゃいいけど……」
「そんなことは、全然ないです。むしろ幸也にはいつも助けられてます」
里子さんと話している間に、幸也はお風呂から出てきていた。
「2人で何、話してたんだよ。ほら、幸司いこ」
「なによ、幸~。妬いちゃって~」
「あーもう、里姉うるさい」
幸也は、半分照れ隠しのように悪態をついて、部屋を出て行く。
「じゃあ、おやすみなさい」幸也に続いて、オレも部屋を出る。
幸也の部屋に行ってもまだ寝るには早く、ゲームをして過ごす。それぞれのゲームのキャラクターを戦わせる、大乱闘ゲームだ。ある程度やったところで、幸也が「ちょっとトイレ~」と部屋を出て行く。
幸也が部屋に戻ってくると、手にはお茶の入ったグラスを持っていて、1つ受け取る。オレはお茶を飲みながら、幸也に声をかけた。
「幸也……篠田先生覚えてる?小学校のときの学校医の……」
「あー、懐かしいな。篠田先生には、だいぶお世話になったなぁ……」
ズボンを濡らしてお世話になっていたこともあり、幸也はややバツの悪そうに笑う。
「篠田先生がどうかしたの?」
「少し前に、熱を出した勇を迎えに小学校に行ったんだけどさ、その時、篠田先生に会って……また、何かあったら連絡してって言われたんだ……」
5年ぶりに保健室で再会した日、篠田先生から名刺を貰って、そのように言われていた。だけど、なんとなく連絡しそびれて今に至ってる。
「篠田先生は、一応オレの主治医でもあったから……今の状態とか母さんのこととか話してみようかと思って……」
小学生の頃、体調を崩しやすくなって、お漏らしが続いた時に、篠田先生の大学病院を受診して、診てもらっていた。
「それで……幸也も一緒に来て欲しいんだけど……」
「でも、お母さんの話とかもするんだろ。僕はいない方がいいんじゃ……」
「いや……幸也には一緒に聞いて欲しい……」
「僕でいいの?」
「うん。幸也がいい」
「わかった」
篠田先生は尊敬できて、大好きな先生だったけど、あの時のしんどい気持ちも思い出されて、会うと何とも言えない気持ちになった。そんな状態で、冷静に話ができるとは思えなかったし、何よりも幸也には、全部わかっていてほしいという気持ちもあった。
「ありがとうございます」
「幸司くんもちょっと見ないうちに、大きくなったねー」
ここ2年くらいは幸也の家に、ちょこちょこ行ってたけど、仕事をしている里子さんとは、会うことはなかった。最後に会ったのは、小学生の頃だったろうか…。
小学生の頃は、お互いに泊まりに行きあっていたけど、中学生になってからは、クラスも3年間違い、オレは部活に入っていて、幸也は生徒会に入っていて、気づかないうちに疎遠になっていた。去年同じ高校で、同じクラスになると、また以前のような関係が復活できたのだ。
「最近また、幸司くんに仲良くしてもらって、私も嬉しいよ」
「あ、オレもです。中学の頃は、幸也と疎遠になっちゃって、ちょっと寂しかったんで」
「あの子は、幸司くんに迷惑かけてなきゃいいけど……」
「そんなことは、全然ないです。むしろ幸也にはいつも助けられてます」
里子さんと話している間に、幸也はお風呂から出てきていた。
「2人で何、話してたんだよ。ほら、幸司いこ」
「なによ、幸~。妬いちゃって~」
「あーもう、里姉うるさい」
幸也は、半分照れ隠しのように悪態をついて、部屋を出て行く。
「じゃあ、おやすみなさい」幸也に続いて、オレも部屋を出る。
幸也の部屋に行ってもまだ寝るには早く、ゲームをして過ごす。それぞれのゲームのキャラクターを戦わせる、大乱闘ゲームだ。ある程度やったところで、幸也が「ちょっとトイレ~」と部屋を出て行く。
幸也が部屋に戻ってくると、手にはお茶の入ったグラスを持っていて、1つ受け取る。オレはお茶を飲みながら、幸也に声をかけた。
「幸也……篠田先生覚えてる?小学校のときの学校医の……」
「あー、懐かしいな。篠田先生には、だいぶお世話になったなぁ……」
ズボンを濡らしてお世話になっていたこともあり、幸也はややバツの悪そうに笑う。
「篠田先生がどうかしたの?」
「少し前に、熱を出した勇を迎えに小学校に行ったんだけどさ、その時、篠田先生に会って……また、何かあったら連絡してって言われたんだ……」
5年ぶりに保健室で再会した日、篠田先生から名刺を貰って、そのように言われていた。だけど、なんとなく連絡しそびれて今に至ってる。
「篠田先生は、一応オレの主治医でもあったから……今の状態とか母さんのこととか話してみようかと思って……」
小学生の頃、体調を崩しやすくなって、お漏らしが続いた時に、篠田先生の大学病院を受診して、診てもらっていた。
「それで……幸也も一緒に来て欲しいんだけど……」
「でも、お母さんの話とかもするんだろ。僕はいない方がいいんじゃ……」
「いや……幸也には一緒に聞いて欲しい……」
「僕でいいの?」
「うん。幸也がいい」
「わかった」
篠田先生は尊敬できて、大好きな先生だったけど、あの時のしんどい気持ちも思い出されて、会うと何とも言えない気持ちになった。そんな状態で、冷静に話ができるとは思えなかったし、何よりも幸也には、全部わかっていてほしいという気持ちもあった。
0
お気に入りに追加
23
あなたにおすすめの小説
小さなことから〜露出〜えみ〜
サイコロ
恋愛
私の露出…
毎日更新していこうと思います
よろしくおねがいします
感想等お待ちしております
取り入れて欲しい内容なども
書いてくださいね
よりみなさんにお近く
考えやすく
お兄ちゃんはお医者さん!?
すず。
恋愛
持病持ちの高校1年生の女の子。
如月 陽菜(きさらぎ ひな)
病院が苦手。
如月 陽菜の主治医。25歳。
高橋 翔平(たかはし しょうへい)
内科医の医師。
※このお話に出てくるものは
現実とは何の関係もございません。
※治療法、病名など
ほぼ知識なしで書かせて頂きました。
お楽しみください♪♪
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
ママと中学生の僕
キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる