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共同生活⑷
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職員会議が長引いてしまい、急いで校舎を出る。今日は真野の腕のギプスが外れて、久しぶりにまんぷく屋でご飯を食べようということになり待ち合わせをしていた。時計を見ると、どんなに急いでも約束していた時間に間に合いそうもなく、軽くため息をついて、遅くなることと先にご飯を食べててとメッセージを送る。
半ば強引に、真野を家に連れてきて2日が過ぎようとしていた。真野には悪いけど、怪我のお陰で一緒にいる時間が増えたのは少し嬉しい。
初日はお互いソファーで寝ることを譲らず、からかい半分で一緒に寝ることを提案して、怒って返されるかと思ったけど、思いのほか神妙な顔をさせてしまい申し訳なくなった。そして、良かったのか悪かったのか、成り行き上ベットで一緒に寝ることになってしまった。
幸いベットはセミダブルで、大人2人で寝るにはやや手狭ではあるが、そこまで密着しなくても寝ることができる。手を出さないと宣言した手前、オレは自分の気持ちを押し殺すのに苦労するが、疲れていたのか真野はすぐに寝息をたて始めた。そんな真野の寝顔を見ながら、軽く髪を撫でていると、先程の宣言が完遂できるか不安になった。
実際、炒飯を食べさせようとして、慌てている真野を見て楽しんでいたはずなのに、口を近づけてスプーンを咥えた真野の顔に引き込まれてしまった自分がいた。ふざけたり、からかってないと余裕がなくなるのも事実だった。
真野には、怪我が治るまで何もしないと言ったけど、我慢できるだろうか……
付き合う前から、真野に対して独占欲は感じられ、付き合ったら落ち着くかと思ったけど、病院に行った時に、知らない男と楽しそうに話している姿を見て、余裕がなくなっている自分がいて大人気なく思う。そんなオレの気持ちも気づかれて、真野にはさり気なく弁解され本当に情けない……
そんなことを考えながら、まんぷく屋に急ぎ、着く頃にはもう8時を過ぎていて、お客さんもほとんどいない状態だった。
「いらっしゃ……あ、春人くん。おかえり~」
カウンターで真野と話していた夕花里が、オレに気づいて声をかける。
「先生、おかえりなさい。お疲れ様です」
「あぁ。ただいま……遅くなって悪かったな」
「いえいえ。大丈夫です。泰輔さんと夕花里さんと話してたんで」
「そうそう。2人の甘い同棲生活の話しを聞かせてもらったよ~」
泰輔がニヤニヤしながら話に入ってくるが、真野を見ると慌てて首を大きく振っている。
「その手には乗らん!」
「ちぇっ。真野くんに聞いても何にも教えてくれないんだもん」
泰輔は、憎まれ口を叩きながらもニヤニヤしていて、何となく腹立たしい。
「はいはい。オレは腹ペコなんだよ。今日の日替わりで」
「あ、ボクも日替わりで」
「あれ?食べてなかったの?」
「先生と食べようと思って……」
「こりゃ、聞かなくても甘々の同棲をしているのが、想像できちゃうね」
そう言うと、泰輔は厨房に戻り2人分の日替わり定食を用意し始めた。
まんぷく屋を出て、家路に向かう。真野と一緒に同じ家に帰れるのは、少しこそばゆくも嬉しくて、このままずっと続けばいいのにと思ってしまう。
半ば強引に、真野を家に連れてきて2日が過ぎようとしていた。真野には悪いけど、怪我のお陰で一緒にいる時間が増えたのは少し嬉しい。
初日はお互いソファーで寝ることを譲らず、からかい半分で一緒に寝ることを提案して、怒って返されるかと思ったけど、思いのほか神妙な顔をさせてしまい申し訳なくなった。そして、良かったのか悪かったのか、成り行き上ベットで一緒に寝ることになってしまった。
幸いベットはセミダブルで、大人2人で寝るにはやや手狭ではあるが、そこまで密着しなくても寝ることができる。手を出さないと宣言した手前、オレは自分の気持ちを押し殺すのに苦労するが、疲れていたのか真野はすぐに寝息をたて始めた。そんな真野の寝顔を見ながら、軽く髪を撫でていると、先程の宣言が完遂できるか不安になった。
実際、炒飯を食べさせようとして、慌てている真野を見て楽しんでいたはずなのに、口を近づけてスプーンを咥えた真野の顔に引き込まれてしまった自分がいた。ふざけたり、からかってないと余裕がなくなるのも事実だった。
真野には、怪我が治るまで何もしないと言ったけど、我慢できるだろうか……
付き合う前から、真野に対して独占欲は感じられ、付き合ったら落ち着くかと思ったけど、病院に行った時に、知らない男と楽しそうに話している姿を見て、余裕がなくなっている自分がいて大人気なく思う。そんなオレの気持ちも気づかれて、真野にはさり気なく弁解され本当に情けない……
そんなことを考えながら、まんぷく屋に急ぎ、着く頃にはもう8時を過ぎていて、お客さんもほとんどいない状態だった。
「いらっしゃ……あ、春人くん。おかえり~」
カウンターで真野と話していた夕花里が、オレに気づいて声をかける。
「先生、おかえりなさい。お疲れ様です」
「あぁ。ただいま……遅くなって悪かったな」
「いえいえ。大丈夫です。泰輔さんと夕花里さんと話してたんで」
「そうそう。2人の甘い同棲生活の話しを聞かせてもらったよ~」
泰輔がニヤニヤしながら話に入ってくるが、真野を見ると慌てて首を大きく振っている。
「その手には乗らん!」
「ちぇっ。真野くんに聞いても何にも教えてくれないんだもん」
泰輔は、憎まれ口を叩きながらもニヤニヤしていて、何となく腹立たしい。
「はいはい。オレは腹ペコなんだよ。今日の日替わりで」
「あ、ボクも日替わりで」
「あれ?食べてなかったの?」
「先生と食べようと思って……」
「こりゃ、聞かなくても甘々の同棲をしているのが、想像できちゃうね」
そう言うと、泰輔は厨房に戻り2人分の日替わり定食を用意し始めた。
まんぷく屋を出て、家路に向かう。真野と一緒に同じ家に帰れるのは、少しこそばゆくも嬉しくて、このままずっと続けばいいのにと思ってしまう。
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