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8.レムリの宿
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翌日、オティアンは遠慮のないノックの音で眠りから覚めた。重い瞼をこじ開けると、天蓋から垂れた薄布越しに、眩しい光が目に飛び込んでくる。疲れが癒えた気が全くしない。忌々しく舌打ちして起き上がり、重い体を引きずってドアを開けた。
「ハディ、よく眠れたか?」
薄暗い廊下に立っていたのはレムリだった。
「そう見えるか……? 夜っぴて騒ぎやがって……」
「すぐ慣れるさ。うるさいのが苦手なら、昼間に眠れば良い。女達はそうしてる」
オティアンが滞在する娼館街は、日が沈んでから明け方までが稼ぎ時だ。窓の外では夜っぴて客引きや、流しの楽士が奏でる様々な楽器の音、それに合わせて歌い騒ぎぐ酔客達の声が騒がしく、オティアンは完全に寝不足だった。
「飯は食えそう? 今から階下の広間で朝食なんだけど。無理ならここに運ばせる。別料金がかかるがな」
「……下で食う。服はこのままで良いのか?」
身につけているのは昨夜風呂上がりに貸してもらった寝間着だけだ。一枚の長い布を半分に折って頭の部分に穴を開け、脇を紐で綴じただけの簡素な服は、人前に出るには相応しくない気がする。
「構わない。どうせ皆裸みたいなもんだから」
レムリはそう言うが、自分はきちんと長衣とズボンを身につけ、短い上着まで羽織っていた。
「オレが昨日着てた服は?」
「ありゃウムトのだ。今頃は洗濯されて水浸しだろうな」
憮然となったオティアンは、せめてもの身だしなみに縺れた髪を手櫛で梳いてから、レムリについて部屋を出た。
狭い廊下には窓がない。天井から吊り下げられた透かし彫りの金属ランプは、夜の間は煌びやかな光を放っていたが、今は全て火が消されている。廊下に並ぶドアは所々開けっぱなしになっていて、乱れた部屋の様子が見えていた。
そのうちの一室で、疲れた様子の女がベッドに腰掛けて、口にくわえた管から白い煙を吐き出している。身につけた薄いガウンの下は素裸で、肌の色が透けていた。
「ハディ、アイシェ! 朝飯だぞ」
レムリが戸口から声をかけると、女はボンヤリと振り返り、
「レムリ……レムリぃ……アタシ捨てられちゃった……! あの人が最後の旦那様だと思ってたのに……妻にするって言ってくれてたのに!」
と駆け寄って勢いよく抱きついた。ガウンははだけて胸が丸見えになったが、レムリは全く動じず女の背を抱いてやり、
「お~、可哀想に。大丈夫、アイシェならすぐ新しい旦那様が見つかるさ。さあ、まずは飯だ。煙ばっか吸ってても気が滅入るばっかりだろ?」
と、なだめるように言う。
「わぁ~ん!」
女は大げさに泣きながら廊下出てきたが、オティアンに気付いた途端、ケロッとした顔で目を瞬かせた。
「誰? 男の新人? それとも誰かの客?」
「店の客じゃなくて、オレの個人的な客人。しばらくここに滞在する」
「へえ……、レムリもとうとう男を雇うつもりになったのかと思っちゃった。ハディ、アタシはアイシェよ」
さっきまで泣いていた女は、ニコリと笑ってオティアンに頬を押しつけてくる。オティアンは昨日覚えたばかりの挨拶をアイシェに返した。
「ハディ、わたし は、オティアン」
「なまってるわね。どこの地方出身?」
「アイシェ、その客人は言葉がわかんねえんだ。優しくしてやってくれ」
「あら、それは大変! 困ったことがあったらいつでも頼ってね」
アイシェは親しげにオティアンの肩を叩いて、先に階段を下りていく。
「君は店の女達からずいぶん慕われているんだな」
オティアンがからかうように言うと、
「みんな大事な従業員だからな」
と、レムリは神妙に頷いた。
階下には美しい広間があった。壁は幾何学模様のタイルで飾られ、分厚い毛織りの絨毯で覆われた石の床には、低い寝椅子がいくつか置いてあった。夜は客達をもてなす場所だが、今は色とりどりのクッションの上に身支度前の女達が座り、めいめい自由に皿を持って食事をしている。女達は、レムリに気付くと口々に話し始めた。
「ハディ、レムリ! 今週の売上はどうなってる? 私かなり頑張ったわよ! ボーナス付くんじゃないかな?」
「レムリ、布地屋が来るのはいつだっけ? わたし新しい衣装を作りたいんだけど」
「ネックレスが壊れちゃった。修理したいから、店に連れて行ってもらえない?」
「わたし、今晩は休暇が欲しい。頭痛がするわ……」
「ねえ、レムリ! またあの客が来たのよ。乱暴だし、金払い悪いし、もう出入り禁止にして欲しいんだけど!」
レムリはそのいちいちに頷いて答えてやりながら、ついでにオティアンを紹介した。
「コイツはオティアン。オレの個人的な知り合いで、しばらくここに滞在する。金は持ってないんで接待はしなくて良いが、言葉がわからないから優しくしてやってくれ」
女達は興味津々の様子で口々に何か言ってきたが、レムリが
「質問は飯の後にしてくれ!」
と両手を打ち鳴らすと、二人を遠巻きにして食事に戻った。
広間の奥には食べ物の載った広いテーブルがあった。色とりどりの果物や、薄焼きのパン、炒り卵、乳製品、塩漬け肉と山盛りの野菜が載った大皿が並べられ、大きな壺にはスープらしきものが入っている。レムリは金属製の皿を二枚取って一枚をオティアンに渡した。
「好きなもん取って食いな」
オティアンはパンを一枚とスープ、昨日ウムトと食べた果実を一つ皿に載せる。
「何、そんだけ? 無料なのは朝飯だけだぞ。もっと食った方が良い」
「急に沢山食べたら腹を壊す。どこに座れば良いんだ?」
「どこでも良いよ。椅子はないから、床に座ってくれ」
レムリはそう言って壁際に置かれたクッションに腰を下ろし、山盛りの肉をモリモリと食べ始めた。オティアンはその横にあぐらをかいて、薄っぺらいパンを黄色いスープに浸して口に入れ、目を白黒させた。塩味を想像していたのに、スープは酸味と辛味が利いていて、食べたことのない味がしたのだ。
「変わった味だな……」
「酸っぱい果物の汁と唐辛子が入ってるんだよ。チェファタルじゃ基本の味付けだから、慣れるしかないな」
レムリに言われ、オティアンは慎重にスープを味わう。チビチビ食べるオティアンの横で、早々に皿を空にしたレムリは、一度衝立の向こうへ姿を消し、古びた紙の束を持ってきてバサリと床に投げ出した。
「これは?」
「アマジヤ語とファタリタ語の対照表。オレは忙しいから、ずっとアンタに付いて言葉を教えてやるわけにはいかない。最低限の単語と文法はここに書いてあるから、自力でなんとか覚えてくれ」
紙束をめくると、ファタリタの日常文字と見知らぬ文字が几帳面な字で延々と並べて書いてあった。オティアンは驚いて目を丸くする。
「これは君が作ったのか?」
「そう。オレみたいにファタリタから流されたヤツと出会ったら、渡してやろうと思って準備してた。そんなのには今まで一人も出会わなかったが、ようやく役に立つ日が来たってわけだ」
「助かるよ」
オティアンが有り難く紙束を受け取ると、レムリは得意げに鼻の下を指でこすり、
「アマジヤ語はファタリタ語と語順が似てるから、覚え始めたら早いぜ。あと、これは当座の小遣い。近所の飯屋なら大概は銀貨一つで足りる」
と小さな革袋をオティアンの膝に乗せた。
「ありがとう」
オティアンは食べかけの皿を床に置いて、革袋の中を検める。小さな銀貨が二十枚ほど入っていた。
「礼は要らない。ウムトの金だ。もう分かってると思うが、アイツに深入りするなよ」
「翼持ちだとはバレないように気をつける」
神妙に答えると、レムリは軽く頷いて
「じゃあオレは出かける。日暮れには戻るから、それまでアンタは大人しく言葉の練習でもしててくれ」
と皿を片付けて広間を出て行った。
レムリの姿が見えなくなった途端、オティアンの周りにはワッと女達が押し寄せる。
「ハディ、オティアン! あなたはどこの出身?」
「その傷はどうしたの? 兵士だったの?」
「こっちおいでよ。髪をとかしてあげる!」
「アナタのその部屋着、最悪よ。前の旦那様が置いていったキレイなのがあるから、貸してあげる。あとで私の部屋に来て!」
「その実より、こっちのほうが熟れてるわ。交換してあげる」
四方から一斉に話しかけられて目が回る。何を話かけれれているかまるで分からないから、オティアンは曖昧に微笑むことしかできない。。
「一斉にしゃべらない! そもそも彼は言葉がわかんないんだから!」
一喝したのはハリファだった。ハリファは皆から一目置かれているらしく、女達は文句を言いつつも離れていく。ホッとして礼を言うと、ハリファは早く行けとばかりに階段を指さした。
二階に引き上げると、部屋は日射しに温められて暑くなっていた。ノルポルならそろそろ雪の降り始める初秋だが、ここは未だに夏のままのようだ。窓の外では、遠くに見える海がキラキラと輝いている。窓を開けると、涼しい風が吹き込んできた。
オティアンはベッドに寝転がって単語リスト取り出し、ボンヤリと眺めた。
右に日常ファタリタ語、左にアマジヤ語が並んでいるが、文字だけではどう発音するかが分からない。教師がいてくれないとお手上げだが、レムリはそこまで考えていなかったようだ。
意味の分からない文字を指でなぞっていると、昨夜眠れなかったせいもあって、段々眠くなってくる。重い瞼が下がってくるまま、オティアンは微睡みに身を任せた。
「ハディ、よく眠れたか?」
薄暗い廊下に立っていたのはレムリだった。
「そう見えるか……? 夜っぴて騒ぎやがって……」
「すぐ慣れるさ。うるさいのが苦手なら、昼間に眠れば良い。女達はそうしてる」
オティアンが滞在する娼館街は、日が沈んでから明け方までが稼ぎ時だ。窓の外では夜っぴて客引きや、流しの楽士が奏でる様々な楽器の音、それに合わせて歌い騒ぎぐ酔客達の声が騒がしく、オティアンは完全に寝不足だった。
「飯は食えそう? 今から階下の広間で朝食なんだけど。無理ならここに運ばせる。別料金がかかるがな」
「……下で食う。服はこのままで良いのか?」
身につけているのは昨夜風呂上がりに貸してもらった寝間着だけだ。一枚の長い布を半分に折って頭の部分に穴を開け、脇を紐で綴じただけの簡素な服は、人前に出るには相応しくない気がする。
「構わない。どうせ皆裸みたいなもんだから」
レムリはそう言うが、自分はきちんと長衣とズボンを身につけ、短い上着まで羽織っていた。
「オレが昨日着てた服は?」
「ありゃウムトのだ。今頃は洗濯されて水浸しだろうな」
憮然となったオティアンは、せめてもの身だしなみに縺れた髪を手櫛で梳いてから、レムリについて部屋を出た。
狭い廊下には窓がない。天井から吊り下げられた透かし彫りの金属ランプは、夜の間は煌びやかな光を放っていたが、今は全て火が消されている。廊下に並ぶドアは所々開けっぱなしになっていて、乱れた部屋の様子が見えていた。
そのうちの一室で、疲れた様子の女がベッドに腰掛けて、口にくわえた管から白い煙を吐き出している。身につけた薄いガウンの下は素裸で、肌の色が透けていた。
「ハディ、アイシェ! 朝飯だぞ」
レムリが戸口から声をかけると、女はボンヤリと振り返り、
「レムリ……レムリぃ……アタシ捨てられちゃった……! あの人が最後の旦那様だと思ってたのに……妻にするって言ってくれてたのに!」
と駆け寄って勢いよく抱きついた。ガウンははだけて胸が丸見えになったが、レムリは全く動じず女の背を抱いてやり、
「お~、可哀想に。大丈夫、アイシェならすぐ新しい旦那様が見つかるさ。さあ、まずは飯だ。煙ばっか吸ってても気が滅入るばっかりだろ?」
と、なだめるように言う。
「わぁ~ん!」
女は大げさに泣きながら廊下出てきたが、オティアンに気付いた途端、ケロッとした顔で目を瞬かせた。
「誰? 男の新人? それとも誰かの客?」
「店の客じゃなくて、オレの個人的な客人。しばらくここに滞在する」
「へえ……、レムリもとうとう男を雇うつもりになったのかと思っちゃった。ハディ、アタシはアイシェよ」
さっきまで泣いていた女は、ニコリと笑ってオティアンに頬を押しつけてくる。オティアンは昨日覚えたばかりの挨拶をアイシェに返した。
「ハディ、わたし は、オティアン」
「なまってるわね。どこの地方出身?」
「アイシェ、その客人は言葉がわかんねえんだ。優しくしてやってくれ」
「あら、それは大変! 困ったことがあったらいつでも頼ってね」
アイシェは親しげにオティアンの肩を叩いて、先に階段を下りていく。
「君は店の女達からずいぶん慕われているんだな」
オティアンがからかうように言うと、
「みんな大事な従業員だからな」
と、レムリは神妙に頷いた。
階下には美しい広間があった。壁は幾何学模様のタイルで飾られ、分厚い毛織りの絨毯で覆われた石の床には、低い寝椅子がいくつか置いてあった。夜は客達をもてなす場所だが、今は色とりどりのクッションの上に身支度前の女達が座り、めいめい自由に皿を持って食事をしている。女達は、レムリに気付くと口々に話し始めた。
「ハディ、レムリ! 今週の売上はどうなってる? 私かなり頑張ったわよ! ボーナス付くんじゃないかな?」
「レムリ、布地屋が来るのはいつだっけ? わたし新しい衣装を作りたいんだけど」
「ネックレスが壊れちゃった。修理したいから、店に連れて行ってもらえない?」
「わたし、今晩は休暇が欲しい。頭痛がするわ……」
「ねえ、レムリ! またあの客が来たのよ。乱暴だし、金払い悪いし、もう出入り禁止にして欲しいんだけど!」
レムリはそのいちいちに頷いて答えてやりながら、ついでにオティアンを紹介した。
「コイツはオティアン。オレの個人的な知り合いで、しばらくここに滞在する。金は持ってないんで接待はしなくて良いが、言葉がわからないから優しくしてやってくれ」
女達は興味津々の様子で口々に何か言ってきたが、レムリが
「質問は飯の後にしてくれ!」
と両手を打ち鳴らすと、二人を遠巻きにして食事に戻った。
広間の奥には食べ物の載った広いテーブルがあった。色とりどりの果物や、薄焼きのパン、炒り卵、乳製品、塩漬け肉と山盛りの野菜が載った大皿が並べられ、大きな壺にはスープらしきものが入っている。レムリは金属製の皿を二枚取って一枚をオティアンに渡した。
「好きなもん取って食いな」
オティアンはパンを一枚とスープ、昨日ウムトと食べた果実を一つ皿に載せる。
「何、そんだけ? 無料なのは朝飯だけだぞ。もっと食った方が良い」
「急に沢山食べたら腹を壊す。どこに座れば良いんだ?」
「どこでも良いよ。椅子はないから、床に座ってくれ」
レムリはそう言って壁際に置かれたクッションに腰を下ろし、山盛りの肉をモリモリと食べ始めた。オティアンはその横にあぐらをかいて、薄っぺらいパンを黄色いスープに浸して口に入れ、目を白黒させた。塩味を想像していたのに、スープは酸味と辛味が利いていて、食べたことのない味がしたのだ。
「変わった味だな……」
「酸っぱい果物の汁と唐辛子が入ってるんだよ。チェファタルじゃ基本の味付けだから、慣れるしかないな」
レムリに言われ、オティアンは慎重にスープを味わう。チビチビ食べるオティアンの横で、早々に皿を空にしたレムリは、一度衝立の向こうへ姿を消し、古びた紙の束を持ってきてバサリと床に投げ出した。
「これは?」
「アマジヤ語とファタリタ語の対照表。オレは忙しいから、ずっとアンタに付いて言葉を教えてやるわけにはいかない。最低限の単語と文法はここに書いてあるから、自力でなんとか覚えてくれ」
紙束をめくると、ファタリタの日常文字と見知らぬ文字が几帳面な字で延々と並べて書いてあった。オティアンは驚いて目を丸くする。
「これは君が作ったのか?」
「そう。オレみたいにファタリタから流されたヤツと出会ったら、渡してやろうと思って準備してた。そんなのには今まで一人も出会わなかったが、ようやく役に立つ日が来たってわけだ」
「助かるよ」
オティアンが有り難く紙束を受け取ると、レムリは得意げに鼻の下を指でこすり、
「アマジヤ語はファタリタ語と語順が似てるから、覚え始めたら早いぜ。あと、これは当座の小遣い。近所の飯屋なら大概は銀貨一つで足りる」
と小さな革袋をオティアンの膝に乗せた。
「ありがとう」
オティアンは食べかけの皿を床に置いて、革袋の中を検める。小さな銀貨が二十枚ほど入っていた。
「礼は要らない。ウムトの金だ。もう分かってると思うが、アイツに深入りするなよ」
「翼持ちだとはバレないように気をつける」
神妙に答えると、レムリは軽く頷いて
「じゃあオレは出かける。日暮れには戻るから、それまでアンタは大人しく言葉の練習でもしててくれ」
と皿を片付けて広間を出て行った。
レムリの姿が見えなくなった途端、オティアンの周りにはワッと女達が押し寄せる。
「ハディ、オティアン! あなたはどこの出身?」
「その傷はどうしたの? 兵士だったの?」
「こっちおいでよ。髪をとかしてあげる!」
「アナタのその部屋着、最悪よ。前の旦那様が置いていったキレイなのがあるから、貸してあげる。あとで私の部屋に来て!」
「その実より、こっちのほうが熟れてるわ。交換してあげる」
四方から一斉に話しかけられて目が回る。何を話かけれれているかまるで分からないから、オティアンは曖昧に微笑むことしかできない。。
「一斉にしゃべらない! そもそも彼は言葉がわかんないんだから!」
一喝したのはハリファだった。ハリファは皆から一目置かれているらしく、女達は文句を言いつつも離れていく。ホッとして礼を言うと、ハリファは早く行けとばかりに階段を指さした。
二階に引き上げると、部屋は日射しに温められて暑くなっていた。ノルポルならそろそろ雪の降り始める初秋だが、ここは未だに夏のままのようだ。窓の外では、遠くに見える海がキラキラと輝いている。窓を開けると、涼しい風が吹き込んできた。
オティアンはベッドに寝転がって単語リスト取り出し、ボンヤリと眺めた。
右に日常ファタリタ語、左にアマジヤ語が並んでいるが、文字だけではどう発音するかが分からない。教師がいてくれないとお手上げだが、レムリはそこまで考えていなかったようだ。
意味の分からない文字を指でなぞっていると、昨夜眠れなかったせいもあって、段々眠くなってくる。重い瞼が下がってくるまま、オティアンは微睡みに身を任せた。
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★☆★毎週金曜20時前後と火曜20時前後に投稿予定★☆★
前作「エロゲ世界のモブに転生したオレの一生のお願い!」はAmazon Kindle(Unlimited対象)でもお読み頂けます!加筆修正完全版で描き下ろし多数ありますので、どうぞよろしく~
上巻 ・ 下巻 ・ 番外編
紙の文庫本上下巻
改稿前のものはwebでも読めます
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