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3.モブと愉快な仲間たち、東へ
3-6.廃鉱山のピンチ
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翌朝はどんよりと雲の多い冷たい朝だった。
町を出て東へと進んでいくと、廃屋が目につくようになってきた。
行く先々に無人の建物があるのは旅人としては便利だけど、ファタリタの人口が減っていることを思うとあまりいいことでは無いんだろう。
途中いくつか経由した小さな町は、どこも寂れた空気が漂っていた。
半月ほどひたすら東へ進み続けると、段々と地面の起伏が激しくなり、空気が冷たくなってきて、山岳地帯に近づいているのが肌で感じられ始めた。
廃都・イールンは辺りでも一際高い峰の頂上近くにあったらしい。街を中心に、山を貫くように縦横に坑道が掘られていたという。坑道に残されている滅石を回収するのがオレたちの目的だ。
長年手入れをされていない山は、倒木や無秩序に伸びた灌木が絡み合ってていて、道を見つけるのも一苦労だった。
空気は冷え切って太陽が見えることは稀になり、厚い雲に覆われた空からは雪が降り始めている。とにかく寒くて暗くて、毎朝目が覚める度に気が滅入った。
「今日はここまでだな」
ルチアーノが歩みを止めたのは、巨石が良い感じに被さって風よけになってくれる窪地だった。
早速火をおこしたら、後はゆっくり休憩……と行きたいところだけど、食料調達という大仕事がまだ残っていた。手持ちの保存食の量は限られているから、できるだけ現地で食料を得なきゃいけないのだ。
マイアリーノは火の番に残り、ルチアーノとカレルは獣を狙うために林の方へ、オレは水汲みのために川を探す。
幸いほとんど探さずに湧き水が流れ出している場所が見つかった。桶で水を受けながら、ボンヤリと足元の水たまりを見ていると、そこに映る顔に何か違和感があるのに気がついた。
暗色の髪、丸っこい焦げ茶の目、低めの鼻に目立たない顎……。
前に見たときより断然元の湯島秋央の顔に似ている。
──え、なんで?
オレはもとからこの世界にいた誰かの身体に入り込んだはずなのに……
もっとよく見ようと近寄ると、空から鳥が降りてきて水面を乱す。鳩を二回りくらい大きくした焦げ茶の鳥は、飛沫を上げて水浴びを始めた。
「もー、邪魔すんなよな~」
追い払おうと手を伸ばすと、鳥は飛び上がってオレの手に乗り、人なつっこくくちばしを手の甲に擦り付けてくる。
「わっ! なんだよ」
可愛らしい仕草に思わず笑ってしまう。
小さな灰色の頭をなでてやろうと指を伸ばすと、思い切り噛みつかれた。
「イテェ!」
慌てて振り払うと、鳥はけたたましい声で鳴いて飛び上がる。噛まれた箇所は結構深くえぐれ、血が滴った。
「マジかよ。またルチアーノに怒られる」
オレは傷口を押さえて野営地に戻ろうと歩き出したけど、一歩踏み出した先にさっきの鳥が舞い降りた。
「退かないと、蹴っちゃうぞ」
軽くキックすると、羽ばたいて少し後ろに下がる。そこへもう一羽が飛び降りてきた。
その横にもう一羽、また一羽、さらに一羽……
鳥はどんどん増えてくる。
「なんだコレ!?」
ギャアギャアという鳴き声と共に羽が散り、あっという間に鳥の群れに囲まれた。囲まれただけではなく、容赦なくくちばしでつつかれる。
オレは水桶を振り回してそれを追い払いながら、マントを全身に巻き付けて木々の間に走り込んだ。
鳥は一斉に飛び立って、オレを追ってくる。
「イテッ! このヤロッ!」
短剣を抜いて振り回すと一旦離れるけど、すぐまた戻ってきて死角からつついてくる。数が多いし怯まない。いくら追い払ってもキリがなかった。
上を振り仰ぐと、高い木の梢までびっしり鳥が止まっている。
その先の曇り空には、さらに大量の鳥の影が見えた。
一羽一羽は大したことがないけど、こんなに密集してると不気味と言う他はない。まるでホラー映画だ。
隠れる場所を探して走り回っていると、
「アキオ、伏せろ!」
というカレルの声がして、オレの頭の上を何かが掠めていった。
ドサッと音がして、足元に矢のささった鳥が落ちてくる。
「ひぃぃ~っ!」
オレは情けない悲鳴を上げながら慌てて地面に伏せた。
すぐ側まで走ってきたカレルが、弓から剣に武器を持ち替えて、ウジャウジャ飛んでくる鳥を薙ぎ払いながら、
「荷物を回収して逃げろ! 林の奥に坑道の入り口がある!」
と叫ぶ。
オレは声も上げられずに何度も必死で頷き、身を屈めたまま全力で走りだした。
*****
「マイアリーノ、林の奥へ逃げろ!」
オレは走りながら、野営地の回りで野草を摘んでいたマイアリーノに声を掛ける。
すぐに頭上の鳥の群れに気付いたマイアリーノは、自分の荷ををひっつかんで駆けだした。オレも三人分の荷物を拾い上げ、全力で走り出す。クッソ重いけど、これを放り出すわけにはいかない。馬はとりあえず置いて行くしかなかった。
窪地を抜け出し、密集する樹木の間へ飛び込むと急に目の前に岩壁が立ちはだかった。
壁の一部に明らかに人の手が加えられた横穴がある。朽ちかけて傾いた木の扉の隙間から中へと飛び込むと、中は真っ暗だった。
手探りで荷物の中からランタンを取りだす。マイアリーノが、いつも持ち歩いている火打ち石で素早く火をともしてくれた。
黄色い光がボンヤリと辺りを照らす。
横穴は二人が並んで通れるくらいの幅があり、天井はオレより頭一つ分くらい高かった。多分ルチアーノでギリギリ、カレルならちょっと膝を屈めないと通れないだろう。
多分、ここはイールンの廃坑道の一部だ。
道はずっと奥まで続いているようで、ランタンをかざしても果てが見えない。扉のすぐ側には、採掘に使われていたのだろう道具類が打ち棄てられてあった。
耳を澄ますと、外からはまだ鳥の騒ぐ声がしている。
「普通、鳥ってあんな風に襲ってこないよね……?」
オレが尋ねると、マイアリーノは怯えた様子で頷いた。
「カレル、大丈夫かな……? 広範囲に一気に攻撃できる方法があればいいんだけど」
追いかけてきていた鳥の群れは相当数が多かった。矢の数には限りがあるし、剣で切るのにも限界があるだろう。
オレは捨ててある道具の山へランタンの光を向け、使えそうなモノを探した。
ファンタジー設定エロゲのくせに、ここには魔法がないから、物理でなんとかするしかない。
見つかるのは、スコップ、シャベル、ツルハシ、桶やバケツ、車軸の折れた荷車に、ボロボロになった布、空の木箱に中身の不明な木箱、木箱の山……
「デカい網とかあれば良いんだけど」
一生懸命探していたら、後ろからツンツンと足首をつつかれた。
「ちょっと待ってって……」
振り返ると、マイアリーノは離れた場所でオレに背を向けて古道具を漁っていた。
つまり、オレの足首を突いたのは彼女じゃない。
目を下に落とすと、奥の暗がりから這い出てきた触手がオレの足に絡みつくところだった。
「ギャーッ!」
見覚えのありすぎるソイツにオレは悲鳴を上げ、咄嗟に腰から剣を抜いて突き刺す。アッサリ切れた触手は、ブチュブチュと粘液をまき散らしながら暗闇へと戻っていった。
「アキオ、どうしたの?」
「しょ、触手が出たっ! ここも安全じゃないよっ!」
オレはランタンをかざして奥を照らした。
見える範囲に触手の根元は見つからない。粘液の跡だけが、乏しい光に照らされて不吉に光っている。
一歩踏み出すと、粘液を踏んでしまって靴底にねばっとする感触がくっついてくる。オレはふと良いことを思いついた。
「マイアリーノ、ちょっとそれ貸して!」
マイアリーノが古道具の中から見つけて抱えていたボロ布をひったくり、大きさを確認する。穴だらけだけど、広げれば二メートル四方はありそうだ。
「何するの?」
「この布に触手の粘液を塗りつけたら、鳥もちみたいに使えるかもしれない!」
「トリモチ?」
オレは千切れた触手の先っちょを拾って布の上に塗りつけた。良い感じにネバネバが広がる。
「ほら、コレねちょねちょするだろ? 飛んでる鳥に被せたら、翼がくっついて動けなくなる。一気に数を減らせるから、逃げる隙を作れるかも」
意図を理解したマイアリーノも手伝ってくれて、あっという間に即席の鳥もち網が出来上がった。布の両端に壊れたシャベルの柄をくくりつけ、幕のようにする。
「二人で端っこを持って走って、3,2,1,で布を上げる。 いい?」
うなずき合ったオレたちは、布を持って外へと走り出た。
外に出るとすぐにカレルの姿を見つけることができた。鳥を追い払いつつ坑道の入り口へと近づいてきていたようだ。
「カレル! 下がって!」
振り返ったカレルは、すぐに身を翻して駆けてくる。その後を鳥の群れが追いかけてくる。
オレとマイアリーノは獣道の両端にしゃがんでタイミングをはかった。
「もうちょっと……3,2,1、上げて!」
呼吸を合わせて布を持ち上げると、行く手をふさがれた鳥の群れがぶつかってきて見事に粘液に絡め取られていく。くっついた鳥で重くなった布を渾身の力で投げつけると、見える範囲にいる鳥は一斉に捕獲できた。
空から次の群れが下りてくる前に、オレとマイアリーノは猛ダッシュで坑道に戻る。入り口で待っていたカレルが、傾いた扉を力任せに引っ張って閉じた。
町を出て東へと進んでいくと、廃屋が目につくようになってきた。
行く先々に無人の建物があるのは旅人としては便利だけど、ファタリタの人口が減っていることを思うとあまりいいことでは無いんだろう。
途中いくつか経由した小さな町は、どこも寂れた空気が漂っていた。
半月ほどひたすら東へ進み続けると、段々と地面の起伏が激しくなり、空気が冷たくなってきて、山岳地帯に近づいているのが肌で感じられ始めた。
廃都・イールンは辺りでも一際高い峰の頂上近くにあったらしい。街を中心に、山を貫くように縦横に坑道が掘られていたという。坑道に残されている滅石を回収するのがオレたちの目的だ。
長年手入れをされていない山は、倒木や無秩序に伸びた灌木が絡み合ってていて、道を見つけるのも一苦労だった。
空気は冷え切って太陽が見えることは稀になり、厚い雲に覆われた空からは雪が降り始めている。とにかく寒くて暗くて、毎朝目が覚める度に気が滅入った。
「今日はここまでだな」
ルチアーノが歩みを止めたのは、巨石が良い感じに被さって風よけになってくれる窪地だった。
早速火をおこしたら、後はゆっくり休憩……と行きたいところだけど、食料調達という大仕事がまだ残っていた。手持ちの保存食の量は限られているから、できるだけ現地で食料を得なきゃいけないのだ。
マイアリーノは火の番に残り、ルチアーノとカレルは獣を狙うために林の方へ、オレは水汲みのために川を探す。
幸いほとんど探さずに湧き水が流れ出している場所が見つかった。桶で水を受けながら、ボンヤリと足元の水たまりを見ていると、そこに映る顔に何か違和感があるのに気がついた。
暗色の髪、丸っこい焦げ茶の目、低めの鼻に目立たない顎……。
前に見たときより断然元の湯島秋央の顔に似ている。
──え、なんで?
オレはもとからこの世界にいた誰かの身体に入り込んだはずなのに……
もっとよく見ようと近寄ると、空から鳥が降りてきて水面を乱す。鳩を二回りくらい大きくした焦げ茶の鳥は、飛沫を上げて水浴びを始めた。
「もー、邪魔すんなよな~」
追い払おうと手を伸ばすと、鳥は飛び上がってオレの手に乗り、人なつっこくくちばしを手の甲に擦り付けてくる。
「わっ! なんだよ」
可愛らしい仕草に思わず笑ってしまう。
小さな灰色の頭をなでてやろうと指を伸ばすと、思い切り噛みつかれた。
「イテェ!」
慌てて振り払うと、鳥はけたたましい声で鳴いて飛び上がる。噛まれた箇所は結構深くえぐれ、血が滴った。
「マジかよ。またルチアーノに怒られる」
オレは傷口を押さえて野営地に戻ろうと歩き出したけど、一歩踏み出した先にさっきの鳥が舞い降りた。
「退かないと、蹴っちゃうぞ」
軽くキックすると、羽ばたいて少し後ろに下がる。そこへもう一羽が飛び降りてきた。
その横にもう一羽、また一羽、さらに一羽……
鳥はどんどん増えてくる。
「なんだコレ!?」
ギャアギャアという鳴き声と共に羽が散り、あっという間に鳥の群れに囲まれた。囲まれただけではなく、容赦なくくちばしでつつかれる。
オレは水桶を振り回してそれを追い払いながら、マントを全身に巻き付けて木々の間に走り込んだ。
鳥は一斉に飛び立って、オレを追ってくる。
「イテッ! このヤロッ!」
短剣を抜いて振り回すと一旦離れるけど、すぐまた戻ってきて死角からつついてくる。数が多いし怯まない。いくら追い払ってもキリがなかった。
上を振り仰ぐと、高い木の梢までびっしり鳥が止まっている。
その先の曇り空には、さらに大量の鳥の影が見えた。
一羽一羽は大したことがないけど、こんなに密集してると不気味と言う他はない。まるでホラー映画だ。
隠れる場所を探して走り回っていると、
「アキオ、伏せろ!」
というカレルの声がして、オレの頭の上を何かが掠めていった。
ドサッと音がして、足元に矢のささった鳥が落ちてくる。
「ひぃぃ~っ!」
オレは情けない悲鳴を上げながら慌てて地面に伏せた。
すぐ側まで走ってきたカレルが、弓から剣に武器を持ち替えて、ウジャウジャ飛んでくる鳥を薙ぎ払いながら、
「荷物を回収して逃げろ! 林の奥に坑道の入り口がある!」
と叫ぶ。
オレは声も上げられずに何度も必死で頷き、身を屈めたまま全力で走りだした。
*****
「マイアリーノ、林の奥へ逃げろ!」
オレは走りながら、野営地の回りで野草を摘んでいたマイアリーノに声を掛ける。
すぐに頭上の鳥の群れに気付いたマイアリーノは、自分の荷ををひっつかんで駆けだした。オレも三人分の荷物を拾い上げ、全力で走り出す。クッソ重いけど、これを放り出すわけにはいかない。馬はとりあえず置いて行くしかなかった。
窪地を抜け出し、密集する樹木の間へ飛び込むと急に目の前に岩壁が立ちはだかった。
壁の一部に明らかに人の手が加えられた横穴がある。朽ちかけて傾いた木の扉の隙間から中へと飛び込むと、中は真っ暗だった。
手探りで荷物の中からランタンを取りだす。マイアリーノが、いつも持ち歩いている火打ち石で素早く火をともしてくれた。
黄色い光がボンヤリと辺りを照らす。
横穴は二人が並んで通れるくらいの幅があり、天井はオレより頭一つ分くらい高かった。多分ルチアーノでギリギリ、カレルならちょっと膝を屈めないと通れないだろう。
多分、ここはイールンの廃坑道の一部だ。
道はずっと奥まで続いているようで、ランタンをかざしても果てが見えない。扉のすぐ側には、採掘に使われていたのだろう道具類が打ち棄てられてあった。
耳を澄ますと、外からはまだ鳥の騒ぐ声がしている。
「普通、鳥ってあんな風に襲ってこないよね……?」
オレが尋ねると、マイアリーノは怯えた様子で頷いた。
「カレル、大丈夫かな……? 広範囲に一気に攻撃できる方法があればいいんだけど」
追いかけてきていた鳥の群れは相当数が多かった。矢の数には限りがあるし、剣で切るのにも限界があるだろう。
オレは捨ててある道具の山へランタンの光を向け、使えそうなモノを探した。
ファンタジー設定エロゲのくせに、ここには魔法がないから、物理でなんとかするしかない。
見つかるのは、スコップ、シャベル、ツルハシ、桶やバケツ、車軸の折れた荷車に、ボロボロになった布、空の木箱に中身の不明な木箱、木箱の山……
「デカい網とかあれば良いんだけど」
一生懸命探していたら、後ろからツンツンと足首をつつかれた。
「ちょっと待ってって……」
振り返ると、マイアリーノは離れた場所でオレに背を向けて古道具を漁っていた。
つまり、オレの足首を突いたのは彼女じゃない。
目を下に落とすと、奥の暗がりから這い出てきた触手がオレの足に絡みつくところだった。
「ギャーッ!」
見覚えのありすぎるソイツにオレは悲鳴を上げ、咄嗟に腰から剣を抜いて突き刺す。アッサリ切れた触手は、ブチュブチュと粘液をまき散らしながら暗闇へと戻っていった。
「アキオ、どうしたの?」
「しょ、触手が出たっ! ここも安全じゃないよっ!」
オレはランタンをかざして奥を照らした。
見える範囲に触手の根元は見つからない。粘液の跡だけが、乏しい光に照らされて不吉に光っている。
一歩踏み出すと、粘液を踏んでしまって靴底にねばっとする感触がくっついてくる。オレはふと良いことを思いついた。
「マイアリーノ、ちょっとそれ貸して!」
マイアリーノが古道具の中から見つけて抱えていたボロ布をひったくり、大きさを確認する。穴だらけだけど、広げれば二メートル四方はありそうだ。
「何するの?」
「この布に触手の粘液を塗りつけたら、鳥もちみたいに使えるかもしれない!」
「トリモチ?」
オレは千切れた触手の先っちょを拾って布の上に塗りつけた。良い感じにネバネバが広がる。
「ほら、コレねちょねちょするだろ? 飛んでる鳥に被せたら、翼がくっついて動けなくなる。一気に数を減らせるから、逃げる隙を作れるかも」
意図を理解したマイアリーノも手伝ってくれて、あっという間に即席の鳥もち網が出来上がった。布の両端に壊れたシャベルの柄をくくりつけ、幕のようにする。
「二人で端っこを持って走って、3,2,1,で布を上げる。 いい?」
うなずき合ったオレたちは、布を持って外へと走り出た。
外に出るとすぐにカレルの姿を見つけることができた。鳥を追い払いつつ坑道の入り口へと近づいてきていたようだ。
「カレル! 下がって!」
振り返ったカレルは、すぐに身を翻して駆けてくる。その後を鳥の群れが追いかけてくる。
オレとマイアリーノは獣道の両端にしゃがんでタイミングをはかった。
「もうちょっと……3,2,1、上げて!」
呼吸を合わせて布を持ち上げると、行く手をふさがれた鳥の群れがぶつかってきて見事に粘液に絡め取られていく。くっついた鳥で重くなった布を渾身の力で投げつけると、見える範囲にいる鳥は一斉に捕獲できた。
空から次の群れが下りてくる前に、オレとマイアリーノは猛ダッシュで坑道に戻る。入り口で待っていたカレルが、傾いた扉を力任せに引っ張って閉じた。
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♥続編「翼の統べる国」毎週金曜20時前後と火曜20時前後に投稿中♥
応援して頂けましたら幸いです!
加筆修正完全版「エロゲ世界のモブに転生したオレの一生のお願い!」はAmazon Kindle(Unlimited対象)でもお読み頂けます!書き下ろし多数ありますので、どうぞよろしく~
上巻 ・ 下巻 ・ 番外編
紙の文庫本上下巻
◆ユーザー登録無しで反応を送れるフォームもあります。選択式なのでお気軽に~。
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◆二次もやってます
◇二次創作(BL)
ピクブラ
◇二次創作(健全・オリジナルBL)
Pixiv
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