エロゲ世界のモブに転生したオレの一生のお願い!

たまむし

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3.モブと愉快な仲間たち、東へ

3-3.触手の後始末 ※R

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 言葉通りカレルはすぐに戻ってきた。自分は上半身裸のまま、火の付いた小さいランプと着替え一式、気の利いたことに水筒も持って来てくれていた。借り物のシャツに包まって震えていたオレは、すぐに分厚いマントにくるまり、水筒の水で口をゆすぐ。何度もうがいして吐いたものの味が消えると、ようやく人心地ついた。

「ありがとう……たすかった……」
「どうして一人で外へ出た? オレが気付かなかったらあのまま死んでたんだぞ」
 抑えた声だけど確実にカレルは怒っていた。
「ごめん……まさかあんなのがいるとは思わなくて…… !? ひっ!」
 彼の顔を見られないままズボンを履きかけていたオレは、尻の中で何かが動き出すのを感じて全身を硬直させた。
 入り込んでいた触手の断片が中に残っているっぽいのだ。逃げようとしているのか、触手は中で闇雲にうごめいている。

「ギャッ! きもちわるっ!」
 
「まだ残ってるのか!? どこだ?」
 マントをはねのけられて草の上に仰向けに押し倒される。オレは慌てて腹這いになり、何もついていない股間を隠すために猫のように丸くなった。
「いや、ダイジョウブ! 自分で取れるから……うぅっ!」
 尻穴の中の二本は、断末魔の痙攣のように小刻みに震え出す。オレは慌てて尻に手を伸ばした。でも前を隠すために丸まってる体勢だから、穴の中に入っちゃったモノを取り出すには手がちょっと届かない。
「馬鹿! 今更恥じてどうする。 急がないと腐りだすぞ」
「く、腐るの!? ヤダッ!」
 ケツの穴の中で触手の断片が腐るとか、考えただけで恐ろしい。

 ジタバタしていると、すぐ側でカレルが思いっきり溜息をつくのが聞こえた。
「……ジッとしてろ」
 低い声がして、尻に自分のじゃない手が触れる。拭きそびれて粘液で濡れたままだった尻穴の回りを指でじわりとなぞられて、オレはびっくりして顔を後ろに向けた。
「えっ、えっ……や、いいって……そんなとこ触らないでよ!」
「大人しくしとけ。すぐ済む」
 地面に置かれた小さなランプの明かりだけでは、後ろに膝をついているカレルの表情までは見えない。

「ヤダって……っ、んぐっ……!」
 つぷ、と入り口……いや出口か?の*のとこを、触手より硬い指先が通り抜け、ゆっくりと奥へと入ってきた。
 中でくねる触手が外敵の侵入に驚いたようにますます暴れる。
「ひっ……うぁあ……っ、あ……」
 気持ち悪すぎる。逃げようとして腰を下げると、カレルの手で強引に引き戻されて片方の尻を外へ押し広げられた。当然、無理矢理指を突っ込まれている穴も横に引き伸ばされる。
「ギャー! やめ、やめて……」

「もうちょっとだから……」
 押し殺した声が聞こえ、指が一際奥へと押し込まれた。カレルの指は器用に動いて、暴れ回る触手の欠片を押さえつけることに成功したっぽい。けど、指が中で曲がるとその分オレのはらわたが押されるわけで、身体を内側から触られる異様な感覚に吐き気がしてくる。
「は、はっ……はっ……うぅ……」
 文句を言う元気もなくなって、オレはひたすら短い息を吐き出しながら耐えるしかない。
 カレルの指は捕まえた異物を逃さないよう、尻穴の内側へと押しつけながら外へと引きずり出していく。
「ぅあ……や……」
「痛いか? もう少し我慢してくれ」
 潰れた触手から漏れた粘液のせいか、強くされても痛くはない。
「や、ぃ、いたくは……ないけど……あっ!」
 ズルリと指と共に触手の残りを引き抜かれる瞬間、思わず上ずった声が漏れ、腰が跳ねた。

「はぁ~~……あぅ……」
 ようやく解放されるかと思ったのもつかの間、ケツ穴に残ったもう一本が、仲間が排除されたのを察知したのか、ますます中で暴れ出してオレは悲鳴を上げた。
「ひっ……! ま、まだいる! まだ残ってるっ……!」
「チッ!」
 もう一度指が入ってくる。触手がさっきのより奥に入り込んでいるのか、穴の縁を押し広げるようにされて、恥ずかしさで死にたくなった。
「ぅ~~~ううぅ~~~」
「もう少し……」
 呟きと共に指がもう一本入ってきた。
「ムリ! ムリだって! 裂けちゃう~~~」
「馬鹿、締めるな。力を抜け」
 オレは必死で息を吐き、ケツに入った力を抜こうとする。カレルも焦っているのか息が荒い。
「は……はやくして……」
「クッ……よし、取れた!」
「ぁひっ!」
 勢いよく指を引き抜かれて変な声が出た。オレは体中の力が抜けて、ヘニャリと頬を地面につけた。草がチクチクするけど、起き上がる気力もない。

 そのまま放心していると再び穴の縁を触られて、オレは仰天して後ろを振り返った。
「何すんだよ!? もう取れたって!」
「残ってないか確認する」
 カレルの声が死刑宣告に聞こえた。

 節のある長い指がゆっくり中に入ってくる。さっきまでは中にいる触手に気を取られて気持ち悪さしかなかったのに、指だけになると腹の中がすごく変な感じ。あんまり考えたくないけど、若干気持ちいい……というか……その……

───オレは考えるのを止めた。

 カレルは掌が尻に触れるまで指を入れると、手首を返して中をくまなく探ってくる。
「あ……あ……へ、変な感じ……」
「……まだ残ってるのか?」
「ちが……ぅって……ゆ、ゆび、やだ……」
 イヤだと伝えても、返事はないまま。長い指は奥から手前までゆっくり出入りする。中に残っていた粘液が掻き出されて、ぬちゃくちゃと粘った水音を立てている。
「はっ……はっ……あぅ……」
 むず痒くて、もどかしくてたまらない。
 ちんちんついてなくて良かった。付いてたら多分立ってる。いや、良かったのか? 良くなかったのか? 未知の感覚過ぎてわけが分からない。
「も、もうヤダよお~……」
 自分の指を噛んでえぐえぐ泣いていたら、ようやく指が出て行って、肌に残った粘液を乾いた布で拭かれた。
「お、終わり?」
 後ろを振り返ると、無表情に手を拭いていたカレルは頷いて
「……手を洗ってくる」
 ムスッと言ってすぐ側の流れへと足を向けた。

 オレは剥ぎ取られたマントをもう一度身体に巻き付け、膝を抱えて小さくなった。
───怒ってる……
 馬鹿で情けなくて恥ずかしいとこ見られたし、ケツの穴に指を突っ込むなんてことをさせてしまった……。
 それに、ちんちん付いてない股間も見られたかも。
 オレの願いが『ちんちんを取り戻す』なんて、しょうもないことだって気付かれて、そんなもんに付き合わされるのはゴメンだって言われたら、どうしよう……


 膝に顔を埋めて静かに打ちひしがれていたら、戻ってきたカレルが着替えを差し出してくれた。オレは彼の顔を見られないまま後ろを向いて服を着る。
「夜は危険だ。あの程度の魔物で済んだから良かったが、出会ったら即死するような相手もいるんだぞ。一人で、しかも丸腰で出歩くなんて、狂気の沙汰だ。アキオが死んだらオレもルチアーノも希望を失う。お前はそれを分かっているのか?」
 カレルの声は穏やかだったけど、確実に怒りが滲んでいた。静かな言葉が怒鳴られるよりも耳に痛い。
「ごめん……」
「謝って欲しいわけじゃない。絶対に夜は一人になるな。どうしても用があるならオレかルチアーノに声をかけろ。少なくともお前よりはこの国の夜に慣れている」
「うん、これからはそうする。ホントにごめん。反省してる」
「大いに反省してくれ。毎回オレが間に合うとは限らないからな」
 疲れたような溜息をつくカレルにクシャクシャと髪をかき混ぜられ、オレは安堵と情けなさで涙が出そうだった。

「で、夜の川に何の用があったんだ?」
「あー……えっと、今日ずっと馬に乗ってたじゃん? それでお尻が痛くなって、薬草を採りに行こうと思って……」
 カレルは再び長い溜息をついて回りを見回し、そこら辺に生えていた薬草の葉っぱをちぎり取った。
「これか。そんな事くらい、最初から言ってくれ。お前が馬に乗るのに慣れていないのは皆分かっている。慣れないウチは尻が痛くなるのは当然なんだから、言ってくれたら配慮する。誰もお前をさげすんだりしない。少なくとも、オレのことはもっと信頼して欲しい」
「うん……ホントごめん……もう二度とやらない」
 オレは心底反省して頭を下げた。

「本当にな。さっきは肝が冷えた。それで、尻はもう良いのか?」
「あ、そうだった! まだ痛いからその葉っぱくれる?」
 オレが手を出すと、カレルは萌黄色の瞳に悪戯っぽい光を浮かべ、 
「貼ってやる」
 とオレの履いたばっかりのズボンのウェストに手をかけてきた。
「いいよ! 自分でできるし!」
「お前の尻はさっき嫌というほど見たから気にしなくて良い」
「いや、気にするって!」
 カレルは笑いながら手を伸ばしてくる。

───いや、そっちは男同士の楽しいじゃれ合い気分かも知れないけども!

 オレとしては正面から股を見られるわけにはいかない。本気で抵抗していると、意地悪く口の端を上げたカレルに押し倒され、無理矢理下着ごとズボンを引き下ろされた。

「わぁ~っ!」
 瞬時に両手で股間を隠したけど、一瞬の隙にカレルは見てしまったようで、ポカンとした顔でオレを見下ろしていた。
「……アキオ? 女だったのか?」
「違うよっ。付いてないだけで男だから!」
「付いてない……何故? 生まれつきか?」
「知らねーよ! 気がついたらこうだったのっ! おい、見るなってば!」
 カレルは隠している俺の手を強引に引きはがし、まじまじと股の間を覗き込んできた。デリカシーのないヤツ!
「ないな……どっちも……」
「見たら分かるじゃん! 触るなよっ」
 ちょっとだけ毛の生えた丘と何にもない足の間をそーっと撫でられ、顔がカッと熱くなった。
「悪かった。誰にも言わない」
 カレルはオレの手に薬草を押しつけ、立ち上がって後ろを向いた。

───そこは見ない配慮をするのかよ。気を遣えるんだか遣えないんだか良く分からないやつだな!

 オレはさっさと薬草を尻に張り付け、元通りにズボンを引き上げて紐を縛った。小屋に戻るため歩き出すと、カレルはじっと黙ったまま隣に並ぶ。わずかに眉を寄せているのに気がついて、オレは
「……気持ち悪い?」
 と恐る恐る聞いてみた。
「何が?」
「オレの身体……」
「いいや? 何故気持ち悪い?」
「だって、普通と違うし……」
「それならオレだって普通・・とは違う。アキオのそれは恥じることではないと思うが、男として隠したいという気持ちも分かる。ふざけて見て悪かった」
 カレルは静かに言って小屋の戸口を潜った。
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