6 / 76
1.異世界のモブ、牢から逃げる
1-6.モブの牢仲間は化け物?
しおりを挟む
どれ位時間が経っただろうか。
換気窓から差し込んだ光に目元を照らされ、オレはハッと気付いて顔を上げた。
カレルが心配で眠れないと思ったけれど、いつの間にか意識が飛んでたみたいだ。硬く冷たい床で膝を抱えて座ったままだったから、体中が強ばっている。首を動かしただけで背骨がメキメキと音を立てた。
昨夜は倒れていたはずのカレルがいないことに気付いて慌てて牢の中を見回すと、男は立ち上がって壁際に寄り、用心深そうに空気穴から外を覗いていた。
「良かった……死んでなかった」
思わず漏らすと、カレルはオレを振り向き苦笑した。髭と髪で半ば以上隠れた顔は、思ったよりも元気そうだ。
「言っただろう。あの程度では死なない。しかし薬草は助かった。あれが無ければ今日一日は立ち上がれないところだった。礼を言う」
「そんな……役に立てて良かったよ」
丁寧に頭を下げられて、オレはくすぐったくなって頭を掻いた。
「しかし、オレは特別丈夫な身体だからあの程度では死なないが、お前はそうじゃないだろう。尋問を切り抜ける手は考えたのか」
そう問いかけられ、全身の血の気が引いた。
目の前のいかにも屈強そうな大男ですら、一日立ち上がれなくなるような拷問を、自分が受けたら確実に一発で死ねる。でも、無実を主張したところで通る見込みはないだろう。
「ここから逃げるしか……」
そう呟いてみたが、どうやって逃げるかは見当も付かない。
「逃げる気ならば、協力する」
低く抑えたカレルの声に、オレは驚いて跳び上がった。
「牢を見張る兵は二人だ。あいつらはオレが回復しているとは思っていないだろうから、油断しているだろう。おまけに今日は命願祭の初日だ。大聖堂には多くの人が集まる。騎士団も衛兵もそちらにかかりきりになっているはずだ。今日ならば、牢から出るだけなら何とかなる。オレが何とかする」
カレルの目が朝日を跳ね返し、ギラギラと輝いている。
「アキオ、お前はここで働いていたんだろう。大聖堂の敷地から逃げる道の一つや二つ、覚えていないのか」
「逃げる道……」
オレはじっと目を閉じてゲーム内の地図を頭の中に思い描いた。
「えっと……この牢は北の湖に面してる。湖には祭りの最後に使うためのボートがあるんだ。湖は神聖視されてるから、騎士団は水に入るのをためらうはずだよ。その隙に沖まで出てしまえば、なんとかなるかも……」
「それは確かか」
「うん。地上で逃げても、馬に乗った騎士団から逃げるのは難しいよ。湖が一番可能性があると思う」
オレが言うと、カレルは瞳を輝かせて力強く頷いた。
「分かった。お前に賭けよう。これ以上ここにいても得られるものはない」
「でもどうやって牢を破るんだよ?」
鉄格子と南京錠を見てオレが言うと、カレルは不敵に笑い
「下がってろ」
と片手でオレを壁際に避けさせて前に出た。
スウ……と大きく息を吸う音が聞こえ、オレの前に立つ男の身体が倍ほどに膨れ上がる。
「えっ!?」
驚くオレの目の前でカレルは片手を振り上げ、金属の鍵の付いた格子戸を一撃で破壊した。
バキバキ、メキッ!
すごい音を立てて格子戸が通路に向かって外れ、鉄で出来た錠前が石の床に落ちて甲高い派手な音が響く。
「何だ!? 何があった!?」
すぐに廊下の向こうで衛兵の声がして、こちらへ向かってくる足音が聞こえた。
『やはり二人だな……舐められたもんだ』
グルルと獰猛な唸り声の間に愉快そうな太い声が混じる。オレは信じられない思いで前に立つ生き物を見つめた。
それはさっきまでのカレルではなく、どう見ても熊だった。
後ろ足で立ち上がると天井に頭がつくほどの大きな黒い熊。
前足一本がオレの胴くらいの太さで、その掌の先には稲刈り鎌みたいな鋭い爪が付いている。
衛兵が廊下の角を曲がって姿を見せた途端、カレルだった熊は恐ろしい咆吼を上げ、そちらへ向かって四つ足で突進した。衛兵は咄嗟に持っていた松明を投げつけてきたが、熊は腕の一振りでそれを払い除け、敵の突き出した槍を機敏に避けて首元に噛みついた。
ゴリッ! と嫌な音が響き、衛兵は声を上げる暇も無く絶命する。
続いて現れたもう一人の衛兵も、熊は前足の一薙ぎで倒してしまい、恐ろしい声で吼えた。
地下牢内の悪臭は二人分の死体から流れた血の臭いで覆い隠され、オレは目の前で繰り広げられた一瞬の惨劇に言葉も無いまま腰を抜かした。
『何をしている、早く来い!』
熊が萌葱色の瞳で振り返って怒鳴る。瞳の色だけが、カレルと全く同じだった。
オレは腰を抜かしたまま四つん這いで熊の方へと向かう。熊はイライラとした様子で再び唸り声を上げ、こっちに向かってきたかと思うと、血に濡れた鋭い牙の並んだ口を開けた。
───食われる!
オレは両手で頭を抱えて丸くなったが、噛みつかれる痛みはやってこず、ただチュニックの背中を咥えられて振り回され、宙へ放り投げられた。オレの身体が石の床にたたきつけられる前に、熊が器用に背中で受け止める。
『振り落とされないように掴まってろ』
言われた通り熊の首に両手を回して抱きつくと、熊は再び四肢を地面につけて全速力で駆け出した。
換気窓から差し込んだ光に目元を照らされ、オレはハッと気付いて顔を上げた。
カレルが心配で眠れないと思ったけれど、いつの間にか意識が飛んでたみたいだ。硬く冷たい床で膝を抱えて座ったままだったから、体中が強ばっている。首を動かしただけで背骨がメキメキと音を立てた。
昨夜は倒れていたはずのカレルがいないことに気付いて慌てて牢の中を見回すと、男は立ち上がって壁際に寄り、用心深そうに空気穴から外を覗いていた。
「良かった……死んでなかった」
思わず漏らすと、カレルはオレを振り向き苦笑した。髭と髪で半ば以上隠れた顔は、思ったよりも元気そうだ。
「言っただろう。あの程度では死なない。しかし薬草は助かった。あれが無ければ今日一日は立ち上がれないところだった。礼を言う」
「そんな……役に立てて良かったよ」
丁寧に頭を下げられて、オレはくすぐったくなって頭を掻いた。
「しかし、オレは特別丈夫な身体だからあの程度では死なないが、お前はそうじゃないだろう。尋問を切り抜ける手は考えたのか」
そう問いかけられ、全身の血の気が引いた。
目の前のいかにも屈強そうな大男ですら、一日立ち上がれなくなるような拷問を、自分が受けたら確実に一発で死ねる。でも、無実を主張したところで通る見込みはないだろう。
「ここから逃げるしか……」
そう呟いてみたが、どうやって逃げるかは見当も付かない。
「逃げる気ならば、協力する」
低く抑えたカレルの声に、オレは驚いて跳び上がった。
「牢を見張る兵は二人だ。あいつらはオレが回復しているとは思っていないだろうから、油断しているだろう。おまけに今日は命願祭の初日だ。大聖堂には多くの人が集まる。騎士団も衛兵もそちらにかかりきりになっているはずだ。今日ならば、牢から出るだけなら何とかなる。オレが何とかする」
カレルの目が朝日を跳ね返し、ギラギラと輝いている。
「アキオ、お前はここで働いていたんだろう。大聖堂の敷地から逃げる道の一つや二つ、覚えていないのか」
「逃げる道……」
オレはじっと目を閉じてゲーム内の地図を頭の中に思い描いた。
「えっと……この牢は北の湖に面してる。湖には祭りの最後に使うためのボートがあるんだ。湖は神聖視されてるから、騎士団は水に入るのをためらうはずだよ。その隙に沖まで出てしまえば、なんとかなるかも……」
「それは確かか」
「うん。地上で逃げても、馬に乗った騎士団から逃げるのは難しいよ。湖が一番可能性があると思う」
オレが言うと、カレルは瞳を輝かせて力強く頷いた。
「分かった。お前に賭けよう。これ以上ここにいても得られるものはない」
「でもどうやって牢を破るんだよ?」
鉄格子と南京錠を見てオレが言うと、カレルは不敵に笑い
「下がってろ」
と片手でオレを壁際に避けさせて前に出た。
スウ……と大きく息を吸う音が聞こえ、オレの前に立つ男の身体が倍ほどに膨れ上がる。
「えっ!?」
驚くオレの目の前でカレルは片手を振り上げ、金属の鍵の付いた格子戸を一撃で破壊した。
バキバキ、メキッ!
すごい音を立てて格子戸が通路に向かって外れ、鉄で出来た錠前が石の床に落ちて甲高い派手な音が響く。
「何だ!? 何があった!?」
すぐに廊下の向こうで衛兵の声がして、こちらへ向かってくる足音が聞こえた。
『やはり二人だな……舐められたもんだ』
グルルと獰猛な唸り声の間に愉快そうな太い声が混じる。オレは信じられない思いで前に立つ生き物を見つめた。
それはさっきまでのカレルではなく、どう見ても熊だった。
後ろ足で立ち上がると天井に頭がつくほどの大きな黒い熊。
前足一本がオレの胴くらいの太さで、その掌の先には稲刈り鎌みたいな鋭い爪が付いている。
衛兵が廊下の角を曲がって姿を見せた途端、カレルだった熊は恐ろしい咆吼を上げ、そちらへ向かって四つ足で突進した。衛兵は咄嗟に持っていた松明を投げつけてきたが、熊は腕の一振りでそれを払い除け、敵の突き出した槍を機敏に避けて首元に噛みついた。
ゴリッ! と嫌な音が響き、衛兵は声を上げる暇も無く絶命する。
続いて現れたもう一人の衛兵も、熊は前足の一薙ぎで倒してしまい、恐ろしい声で吼えた。
地下牢内の悪臭は二人分の死体から流れた血の臭いで覆い隠され、オレは目の前で繰り広げられた一瞬の惨劇に言葉も無いまま腰を抜かした。
『何をしている、早く来い!』
熊が萌葱色の瞳で振り返って怒鳴る。瞳の色だけが、カレルと全く同じだった。
オレは腰を抜かしたまま四つん這いで熊の方へと向かう。熊はイライラとした様子で再び唸り声を上げ、こっちに向かってきたかと思うと、血に濡れた鋭い牙の並んだ口を開けた。
───食われる!
オレは両手で頭を抱えて丸くなったが、噛みつかれる痛みはやってこず、ただチュニックの背中を咥えられて振り回され、宙へ放り投げられた。オレの身体が石の床にたたきつけられる前に、熊が器用に背中で受け止める。
『振り落とされないように掴まってろ』
言われた通り熊の首に両手を回して抱きつくと、熊は再び四肢を地面につけて全速力で駆け出した。
91
♥続編「翼の統べる国」毎週金曜20時前後と火曜20時前後に投稿中♥
応援して頂けましたら幸いです!
加筆修正完全版「エロゲ世界のモブに転生したオレの一生のお願い!」はAmazon Kindle(Unlimited対象)でもお読み頂けます!書き下ろし多数ありますので、どうぞよろしく~
上巻 ・ 下巻 ・ 番外編
紙の文庫本上下巻
◆ユーザー登録無しで反応を送れるフォームもあります。選択式なのでお気軽に~。
感想用Googleフォーム
◆二次もやってます
◇二次創作(BL)
ピクブラ
◇二次創作(健全・オリジナルBL)
Pixiv
応援して頂けましたら幸いです!
加筆修正完全版「エロゲ世界のモブに転生したオレの一生のお願い!」はAmazon Kindle(Unlimited対象)でもお読み頂けます!書き下ろし多数ありますので、どうぞよろしく~
上巻 ・ 下巻 ・ 番外編
紙の文庫本上下巻
◆ユーザー登録無しで反応を送れるフォームもあります。選択式なのでお気軽に~。
感想用Googleフォーム
◆二次もやってます
◇二次創作(BL)
ピクブラ
◇二次創作(健全・オリジナルBL)
Pixiv
お気に入りに追加
520
あなたにおすすめの小説
精霊の港 飛ばされたリーマン、体格のいい男たちに囲まれる
風見鶏ーKazamidoriー
BL
秋津ミナトは、うだつのあがらないサラリーマン。これといった特徴もなく、体力の衰えを感じてスポーツジムへ通うお年ごろ。
ある日帰り道で奇妙な精霊と出会い、追いかけた先は見たこともない場所。湊(ミナト)の前へ現れたのは黄金色にかがやく瞳をした美しい男だった。ロマス帝国という古代ローマに似た巨大な国が支配する世界で妖精に出会い、帝国の片鱗に触れてさらにはドラゴンまで、サラリーマンだった湊の人生は激変し異なる世界の動乱へ巻きこまれてゆく物語。
※この物語に登場する人物、名、団体、場所はすべてフィクションです。
『異世界庭付き一戸建て』を相続した仲良し兄妹は今までの不幸にサヨナラしてスローライフを満喫できる、はず?
釈 余白(しやく)
ファンタジー
HOT 1位!ファンタジー 3位! ありがとうございます!
父親が不慮の事故で死亡したことで最後の肉親を失い残された高校生の小村雷人(こむら らいと)と小学生の真琴(まこと)の兄妹が聞かされたのは、父が家を担保に金を借りていたという絶望の事実だった。慣れ親しんだ自宅から早々の退去が必要となった二人は家の中で金目の物を探す。
その結果見つかったのは、僅かな現金に空の預金通帳といくつかの宝飾品、そして家の権利書と見知らぬ文字で書かれた書類くらいだった。謎の書類には祖父のサインが記されていたが内容は読めず、頼みの綱は挟まれていた弁護士の名刺だけだ。
最後の希望とも言える名刺の電話番号へ連絡した二人は、やってきた弁護士から契約書の内容を聞かされ唖然とする。それは祖父が遺産として残した『異世界トラス』にある土地と建物を孫へ渡すというものだった。もちろん現地へ行かなければ遺産は受け取れないが。兄妹には他に頼れるものがなく、思い切って異世界へと赴き新生活をスタートさせるのだった。
その他、多数投稿しています!
https://www.alphapolis.co.jp/author/detail/398438394

聖女の兄で、すみません!
たっぷりチョコ
BL
聖女として呼ばれた妹の代わりに異世界に召喚されてしまった、古河大矢(こがだいや)。
三ヶ月経たないと元の場所に還れないと言われ、素直に待つことに。
そんな暇してる大矢に興味を持った次期国王となる第一王子が話しかけてきて・・・。
BL。ラブコメ異世界ファンタジー。
【短編】乙女ゲームの攻略対象者に転生した俺の、意外な結末。
桜月夜
BL
前世で妹がハマってた乙女ゲームに転生したイリウスは、自分が前世の記憶を思い出したことを幼馴染みで専属騎士のディールに打ち明けた。そこから、なぜか婚約者に対する恋愛感情の有無を聞かれ……。
思い付いた話を一気に書いたので、不自然な箇所があるかもしれませんが、広い心でお読みください。
学院のモブ役だったはずの青年溺愛物語
紅林
BL
『桜田門学院高等学校』
日本中の超金持ちの子息子女が通うこの学校は東京都内に位置する野球ドーム五個分の土地が学院としてなる巨大学園だ
しかし生徒数は300人程の少人数の学院だ
そんな学院でモブとして役割を果たすはずだった青年の物語である

ブレスレットが運んできたもの
mahiro
BL
第一王子が15歳を迎える日、お祝いとは別に未来の妃を探すことを目的としたパーティーが開催することが発表された。
そのパーティーには身分関係なく未婚である女性や歳の近い女性全員に招待状が配られたのだという。
血の繋がりはないが訳あって一緒に住むことになった妹ーーーミシェルも例外ではなく招待されていた。
これまた俺ーーーアレットとは血の繋がりのない兄ーーーベルナールは妹大好きなだけあって大いに喜んでいたのだと思う。
俺はといえば会場のウェイターが足りないため人材募集が貼り出されていたので応募してみたらたまたま通った。
そして迎えた当日、グラスを片付けるため会場から出た所、廊下のすみに光輝く何かを発見し………?
すべてを奪われた英雄は、
さいはて旅行社
BL
アスア王国の英雄ザット・ノーレンは仲間たちにすべてを奪われた。
隣国の神聖国グルシアの魔物大量発生でダンジョンに潜りラスボスの魔物も討伐できたが、そこで仲間に裏切られ黒い短剣で刺されてしまう。
それでも生き延びてダンジョンから生還したザット・ノーレンは神聖国グルシアで、王子と呼ばれる少年とその世話役のヴィンセントに出会う。
すべてを奪われた英雄が、自分や仲間だった者、これから出会う人々に向き合っていく物語。

マリオネットが、糸を断つ時。
せんぷう
BL
異世界に転生したが、かなり不遇な第二の人生待ったなし。
オレの前世は地球は日本国、先進国の裕福な場所に産まれたおかげで何不自由なく育った。確かその終わりは何かの事故だった気がするが、よく覚えていない。若くして死んだはずが……気付けばそこはビックリ、異世界だった。
第二生は前世とは正反対。魔法というとんでもない歴史によって構築され、貧富の差がアホみたいに激しい世界。オレを産んだせいで母は体調を崩して亡くなったらしくその後は孤児院にいたが、あまりに酷い暮らしに嫌気がさして逃亡。スラムで前世では絶対やらなかったような悪さもしながら、なんとか生きていた。
そんな暮らしの終わりは、とある富裕層らしき連中の騒ぎに関わってしまったこと。不敬罪でとっ捕まらないために背を向けて逃げ出したオレに、彼はこう叫んだ。
『待て、そこの下民っ!! そうだ、そこの少し小綺麗な黒い容姿の、お前だお前!』
金髪縦ロールにド派手な紫色の服。装飾品をジャラジャラと身に付け、靴なんて全然汚れてないし擦り減ってもいない。まさにお貴族様……そう、貴族やら王族がこの世界にも存在した。
『貴様のような虫ケラ、本来なら僕に背を向けるなどと斬首ものだ。しかし、僕は寛大だ!!
許す。喜べ、貴様を今日から王族である僕の傍に置いてやろう!』
そいつはバカだった。しかし、なんと王族でもあった。
王族という権力を振り翳し、盾にするヤバい奴。嫌味ったらしい口調に人をすぐにバカにする。気に入らない奴は全員斬首。
『ぼ、僕に向かってなんたる失礼な態度っ……!! 今すぐ首をっ』
『殿下ったら大変です、向こうで殿下のお好きな竜種が飛んでいた気がします。すぐに外に出て見に行きませんとー』
『なにっ!? 本当か、タタラ! こうしては居られぬ、すぐに連れて行け!』
しかし、オレは彼に拾われた。
どんなに嫌な奴でも、どんなに周りに嫌われていっても、彼はどうしようもない恩人だった。だからせめて多少の恩を返してから逃げ出そうと思っていたのに、事態はどんどん最悪な展開を迎えて行く。
気に入らなければ即断罪。意中の騎士に全く好かれずよく暴走するバカ王子。果ては王都にまで及ぶ危険。命の危機など日常的に!
しかし、一緒にいればいるほど惹かれてしまう気持ちは……ただの忠誠心なのか?
スラム出身、第十一王子の守護魔導師。
これは運命によってもたらされた出会い。唯一の魔法を駆使しながら、タタラは今日も今日とてワガママ王子の手綱を引きながら平凡な生活に焦がれている。
※BL作品
恋愛要素は前半皆無。戦闘描写等多数。健全すぎる、健全すぎて怪しいけどこれはBLです。
.
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる