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1.異世界のモブ、牢から逃げる
1-4.モブ、ショックを受ける
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外では日が落ちたのか、段々気温が下がってくる。
オレはショックで何も考えられず、壁際でじっとうずくまっていたけれど、時間が経つと普通に腹は減ってくる。
寒い。腹減った。食事はいつ貰えるんだろう。
どうせ処刑されるとしても、空腹は嫌だ。死ぬ前に温かいご飯が食べたいな……。
ボーッと頭の中で死ぬ前に食べたいものベスト3を考えていると、遠くで扉の開く音がして硬い靴の踵が石畳を叩く音が聞こえてきた。暗い廊下の角から松明の揺れる光が漏れ出し、次第に近づいてくる。
やった! ごはんかな!?
オレは立ち上がって柵の前まで走ったが、やって来たのは完全武装した衛兵二人組だった。
「カレル・フリジェリオ、来い!」
二人の内、年を取った方の衛兵が柵の前でそう呼んだ。カレルがゆっくりと立ち上がり、抵抗する様子もなく衛兵の方へ歩いて行く。
「さっさと来い」
鍵の外された格子戸から素直に外に出たカレルは、両手を腰の後ろで拘束され、両脇を衛兵に固められて廊下を歩かされていく。オレは不安な気持ちで松明の火が見えなくなるまで見送った。
牢の中で一人になると、ますます寒さとひもじさが切実になってくる。
何とか外に出られないかと、オレは換気口に近寄り、何度も角度を変えて必死で外を覗いた。薄闇の中、少し離れた場所に石造りの東屋があり、その向こうに湖があるのがボンヤリと見えている。
オレは必死でゲーム内の初期マップを思い出す。
確か大聖堂の西側に修道会の館があって、その裏手に湖があったはずだ。他の三方は城壁に囲まれていたように思うから、多分この牢の窓は湖に面している。
湖の東屋にはボートが繋いであるはずだ。ボートでエッチなイベントが起きたから、これは確実に覚えてる。
つまり、ここから出てボートさえ奪えれば、湖を渡って逃げられる!
しかし、ここから出られないのが問題なんだよな。空気穴から手を伸ばしてみても、草の茂みに指先が触れるだけ。地面を掘れないかと爪を立てたけど、薄い土の下は岩盤になっているようだった。
オレが穴の前で無駄な努力をしていると、外から吹き込んでくる空気に爽やかに甘い香りが混じった。近くに花でも咲いているのだろうかと目を凝らすと、東屋に立つ白いドレス姿が見えた。
フィオレラだ!
オレは穴に顔をめり込ませる勢いで観察する。
しばらくすると主人公の騎士も姿を見せ、二人は親密そうな様子で話し始めた。
オレは牢に入れられたけど、主役二人のドラマはゲーム通りに進行してるみたいだ。
ゲームでは、ここで二人の過去話が入ってくる。
実は二人は孤児で、赤ん坊の時に修道院に拾われ、ずっと一緒に育ってきたのだ。騎士はフィオレラが「願いの聖女」になることを良く思っていない。
願いの聖女は生涯独身を貫かなければいけないからだ。
幼い頃、二人で幸せになろうと誓い合ったのに、フィオレラはいつの間にか「みんなの幸せのために」聖女になることを決めてしまった。騎士はそのことで酷く傷ついている。
「フィオレラ、僕は君を諦めたくない。僕の願いは、君を自由にすることだ」
風向きの具合か、騎士の言葉がはっきりと聞こえてきた。あー、そうそう、それでトゥルーエンドでは二人で自由にハッピーになるんだよな。
「……私にはここでやるべき事があるの……分かって……」
フィオレラは騎士の胸元にそっと手を当てて俯く。月の光に純白のドレスが輝いて綺麗だ。騎士はフィオレラのほっそりした身体を抱きしめ、そして小さな顎に手をかけて顔を上向かせ、キスをした。
「ん……だめ、人に見られたら……」
甘さを増した声が囁く。
「誰も来ないよ。ここは僕と君だけの神聖な場所だ……」
オレは鼻息を荒くしながら空気穴に顔をめり込ませた。
ゲームならここからエッチなイベントが始まるのだ!
PCの画面上で見た時も最高だったけど、三次元フルボイス効果音付きとなると興奮度は段違いだ。
必死で目を凝らすと、二人が東屋のベンチに倒れ込んだのが見えた。
柱が邪魔で肝心な所が見えないけど、時々聞こえてくる声とか音がリアルでヤバい。のぞき見の臨場感で想像をかき立てられる分、直接見るよりエッチかも……
オレはハアハア息を荒くしながら、癖のようにいつも通り股間に手をやった。散々オカズにしたシーンだから、見たら反射でそういう気分になってしまうのだ。
丁度良く一人きりだし、こんな美味しいオカズを目の前にして楽しまない手は無い。
手をズボンのウェストから差し入れようとして、ややこしいベルトがある事に気がつく。ファンタジーの衣装メンドクセエな。手探りでベルトを外すと、ウェストにゴムが入っていないズボンはストンと膝まで下がったが、パンツのウェストも紐だ。女の子のコルセットの紐を外すのは萌えだけど、男のパンツに紐が付いてても誰も嬉しくねえ!
東屋の方は盛り上がっているらしく、喘ぎ声が段々激しくなってきている。目を凝らすと柱の陰で白い脚が揺れているのがチラリと見えた。興奮でどうにかなりそうだ。
オレはようやく解いた紐の隙間から股間に手を差し入れ……
「ハァハァ……は……は? あれ???」
予想を裏切る感触に首を傾げた。
何 も な い 。
いや、そんなはずはない。ちょっと小さいだけなんだよな?
それかちょっと位置が下の方にあるとか?
オレはパンツの中で掌を動かし、あるはずのモノを探す。
まず、ヘソはある。
ヨシ、ならもうちょい下。毛はある。すげー少ないけど、一応生えてる。生えてるって事は、オレの身体は大人って事だ。
なら、その下に……
オレは緊張で震えながら慎重に指を滑らせる。
が、しかし、肝心なものは。
やはり、ない。
いつもならそこにあるはずのオレの相棒、オレの分身、いつでもヤル気満々だけど本番で実力を発揮したことは今まで一度も無いオレのおちんちんが、
ない。
「え? え? え?? なんで……何で!?」
まさか、この世界のオレは女なのか!?
オレは半ばパニックになって、そのまま太腿の間を探る。女の子はここに割れ目があってえっちな穴があるんだよな!?
必死で穴、穴と指で探る。
あ っ た !
穴だ!
……って、コレは尻の穴っ!
「う、うそだろーーーー!!!!」
何回触ってみてもオレの股の間には何も無く、大小の排泄用の穴が開いているだけだった。
オレはショックで何も考えられず、壁際でじっとうずくまっていたけれど、時間が経つと普通に腹は減ってくる。
寒い。腹減った。食事はいつ貰えるんだろう。
どうせ処刑されるとしても、空腹は嫌だ。死ぬ前に温かいご飯が食べたいな……。
ボーッと頭の中で死ぬ前に食べたいものベスト3を考えていると、遠くで扉の開く音がして硬い靴の踵が石畳を叩く音が聞こえてきた。暗い廊下の角から松明の揺れる光が漏れ出し、次第に近づいてくる。
やった! ごはんかな!?
オレは立ち上がって柵の前まで走ったが、やって来たのは完全武装した衛兵二人組だった。
「カレル・フリジェリオ、来い!」
二人の内、年を取った方の衛兵が柵の前でそう呼んだ。カレルがゆっくりと立ち上がり、抵抗する様子もなく衛兵の方へ歩いて行く。
「さっさと来い」
鍵の外された格子戸から素直に外に出たカレルは、両手を腰の後ろで拘束され、両脇を衛兵に固められて廊下を歩かされていく。オレは不安な気持ちで松明の火が見えなくなるまで見送った。
牢の中で一人になると、ますます寒さとひもじさが切実になってくる。
何とか外に出られないかと、オレは換気口に近寄り、何度も角度を変えて必死で外を覗いた。薄闇の中、少し離れた場所に石造りの東屋があり、その向こうに湖があるのがボンヤリと見えている。
オレは必死でゲーム内の初期マップを思い出す。
確か大聖堂の西側に修道会の館があって、その裏手に湖があったはずだ。他の三方は城壁に囲まれていたように思うから、多分この牢の窓は湖に面している。
湖の東屋にはボートが繋いであるはずだ。ボートでエッチなイベントが起きたから、これは確実に覚えてる。
つまり、ここから出てボートさえ奪えれば、湖を渡って逃げられる!
しかし、ここから出られないのが問題なんだよな。空気穴から手を伸ばしてみても、草の茂みに指先が触れるだけ。地面を掘れないかと爪を立てたけど、薄い土の下は岩盤になっているようだった。
オレが穴の前で無駄な努力をしていると、外から吹き込んでくる空気に爽やかに甘い香りが混じった。近くに花でも咲いているのだろうかと目を凝らすと、東屋に立つ白いドレス姿が見えた。
フィオレラだ!
オレは穴に顔をめり込ませる勢いで観察する。
しばらくすると主人公の騎士も姿を見せ、二人は親密そうな様子で話し始めた。
オレは牢に入れられたけど、主役二人のドラマはゲーム通りに進行してるみたいだ。
ゲームでは、ここで二人の過去話が入ってくる。
実は二人は孤児で、赤ん坊の時に修道院に拾われ、ずっと一緒に育ってきたのだ。騎士はフィオレラが「願いの聖女」になることを良く思っていない。
願いの聖女は生涯独身を貫かなければいけないからだ。
幼い頃、二人で幸せになろうと誓い合ったのに、フィオレラはいつの間にか「みんなの幸せのために」聖女になることを決めてしまった。騎士はそのことで酷く傷ついている。
「フィオレラ、僕は君を諦めたくない。僕の願いは、君を自由にすることだ」
風向きの具合か、騎士の言葉がはっきりと聞こえてきた。あー、そうそう、それでトゥルーエンドでは二人で自由にハッピーになるんだよな。
「……私にはここでやるべき事があるの……分かって……」
フィオレラは騎士の胸元にそっと手を当てて俯く。月の光に純白のドレスが輝いて綺麗だ。騎士はフィオレラのほっそりした身体を抱きしめ、そして小さな顎に手をかけて顔を上向かせ、キスをした。
「ん……だめ、人に見られたら……」
甘さを増した声が囁く。
「誰も来ないよ。ここは僕と君だけの神聖な場所だ……」
オレは鼻息を荒くしながら空気穴に顔をめり込ませた。
ゲームならここからエッチなイベントが始まるのだ!
PCの画面上で見た時も最高だったけど、三次元フルボイス効果音付きとなると興奮度は段違いだ。
必死で目を凝らすと、二人が東屋のベンチに倒れ込んだのが見えた。
柱が邪魔で肝心な所が見えないけど、時々聞こえてくる声とか音がリアルでヤバい。のぞき見の臨場感で想像をかき立てられる分、直接見るよりエッチかも……
オレはハアハア息を荒くしながら、癖のようにいつも通り股間に手をやった。散々オカズにしたシーンだから、見たら反射でそういう気分になってしまうのだ。
丁度良く一人きりだし、こんな美味しいオカズを目の前にして楽しまない手は無い。
手をズボンのウェストから差し入れようとして、ややこしいベルトがある事に気がつく。ファンタジーの衣装メンドクセエな。手探りでベルトを外すと、ウェストにゴムが入っていないズボンはストンと膝まで下がったが、パンツのウェストも紐だ。女の子のコルセットの紐を外すのは萌えだけど、男のパンツに紐が付いてても誰も嬉しくねえ!
東屋の方は盛り上がっているらしく、喘ぎ声が段々激しくなってきている。目を凝らすと柱の陰で白い脚が揺れているのがチラリと見えた。興奮でどうにかなりそうだ。
オレはようやく解いた紐の隙間から股間に手を差し入れ……
「ハァハァ……は……は? あれ???」
予想を裏切る感触に首を傾げた。
何 も な い 。
いや、そんなはずはない。ちょっと小さいだけなんだよな?
それかちょっと位置が下の方にあるとか?
オレはパンツの中で掌を動かし、あるはずのモノを探す。
まず、ヘソはある。
ヨシ、ならもうちょい下。毛はある。すげー少ないけど、一応生えてる。生えてるって事は、オレの身体は大人って事だ。
なら、その下に……
オレは緊張で震えながら慎重に指を滑らせる。
が、しかし、肝心なものは。
やはり、ない。
いつもならそこにあるはずのオレの相棒、オレの分身、いつでもヤル気満々だけど本番で実力を発揮したことは今まで一度も無いオレのおちんちんが、
ない。
「え? え? え?? なんで……何で!?」
まさか、この世界のオレは女なのか!?
オレは半ばパニックになって、そのまま太腿の間を探る。女の子はここに割れ目があってえっちな穴があるんだよな!?
必死で穴、穴と指で探る。
あ っ た !
穴だ!
……って、コレは尻の穴っ!
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何回触ってみてもオレの股の間には何も無く、大小の排泄用の穴が開いているだけだった。
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