無自覚魔法士団長は今日も美しい

美しい人には(モブサイド)⑵

序盤も序盤のところで大量の魔物と遭遇することになる。

「うわぁ！」
「おい！大丈夫か！」
「そっち行ったぞ！聖女様のところにはいかないよう、何としてでも止めろ！」

洞窟という狭い範囲で、複数人のチームで動いて魔物を倒していく。

聖女様のお力もあり、いつもより身体が軽く感じる。それになぜか魔物の攻撃は俺たちに当たらない。確かに爪で引っかかれたり、蹴られたりしているはずなのに。

「あ、やべっ！魔物が！」

近くにいた一人が声を上げる。その視線の先には取り逃がした蜂型の飛行できる魔物が聖女様に向かっている。

ボウッ

慌てる俺たちをよそに、魔法士団長は飛んできた魔物を見ることもなく、表情を変えずに跡形もなく燃やしてしまう。

「す、すげぇ…」

「一瞬だ…」

多分皆の頭の中に浮かんだであろう

「(あれ、俺たちがお荷物なんじゃ…魔法士団長だけでは討伐できるんじゃ…)」

なんてことは気づかなかったふりをする。

かなり時間はかかったが誰も大けがをすることなく殲滅することが出来た。これも団長や聖女様と魔法士団長のお陰だ。聖女様の潜在能力を割り増しする力もすごいけど、この人数にシールドを張る魔法士団長のお力には脱帽する。
多分俺たちが足を引っ張っているけど、何も言わずただフォローに回ってくださっていることに誰も口にしないが感謝の念しかない。