無自覚魔法士団長は今日も美しい

人形のように美しい君は⑶

報告のために立ち寄った陛下の執務室。


今代の皇帝陛下は民のことを大層気にかけており、隣国でも明主と名高い。

特に以前拾ったとされる魔法士のことはかなり気にかけていることで有名だ。

『そろそろかの。』

『えっ？』

陛下の声でに反応したかのように執務室の机、陛下の前の床に魔法陣が浮かび上がる。
白く、神々しいほどの光を集めたかと思うと人型を形どって…

『丁度、だな。クレールよ。待っていたぞ。』

『クレール＝レー、陛下の御命令より参上いたしました。』





見たこともないほどの美しい人だと思った。




表情がなく、人間ではなく人形と言われた方がしっくりくる。

着ているローブも、髪も肌も全てが白く、透き通っている。水晶のような瞳は光がなく、どこか遠くを見つめているようだ。目を離すと消えてしまいそうなほど儚いとはこの者のためにある言葉だと思った。