無自覚魔法士団長は今日も美しい

人形のように美しい君は⑵

『魔法士団、ですか。』

『あぁ、魔法士が集まってきたのに加え、騎士団では不可能なことも魔法士では可能だからな。常人では成しえないことを魔法士は可能にする。それに先代はもういない。いつまでも先代のやり方に囚われて、鎖でつないでおくだけではあの子らにも酷だろう。働いて、賃金を貰う。そんな普通の生活をさせてやりたくてな。』

『しかし、魔法士団を作るとなると国民への体裁は』

『新しいことを始めるには何事も最初は受け入れられないものだ。そもそも、魔法士が忌み嫌われているのは魔法士を羨んだ者たち、つまり先帝達の仕業。魔力をもって生まれただけで何の罪もない存在なのだ。にもかかわらず嫉妬にかられた者達のせいで魔法士たちが息苦しい世の中になってしまったのは皇族、すなわち私の責任でもある。』

『陛下のせいでは。』

『とにかく、だ。魔法士団長は宮廷で働く中では最年少であり、魔法士ということにコンプレックスを持っている。優しくしてやるんだぞ。』

『お心のままに。』