無自覚魔法士団長は今日も美しい

聖女の力⑶

自分のことではないけど、召喚した以上他人事には思えなくて思わずムキになってしまった。

あらゆる方向から考えていかなといけない二人に向かって失礼なことを言ってしまったと今更ながらに後悔する。
この二人は自分たちの立場から私以上にたくさんのことが見えているのだろう。皇族の威厳や帝国民の心、目に見えない事も守らないといけない立場なのだから。

「あ、その…ごめんなさい。お二人は色々考えた上でのことなのに…」

感情的で発言してしまって、自分が無知で視野が狭いと公言しているようなものじゃないか。
恥ずかしくて顔を上げられない。

「クレール。顔を上げて。すまない。クレールに言われるまで大切なことを見落としていたことに気づかなかったよ。ありがとう。確かに、聖女も被害者だ。私たちが守らなければいけないね。」

「えぇ、聖女様は責任もって神殿が保護します。クレール卿、ありがとうございます。」

怒られることはあっても感謝されることはない、のに。どうして二人ともそんな顔で見つめるの。