無自覚魔法士団長は今日も美しい

気遣いの揶揄い⑴

聖女様の儀式当日。神聖な儀式のため神殿側の協力もあり、儀式は帝都の神殿で行われることになった。
あの会議の日からバシュロ卿には会っていない。殿下やドニスにも。つまり、私の身体の平穏は保たれている。
今の状況が普通だと分かっているが、どうしてか胸がざわざわする。不快感とまではいかないけど、いやな感じがする。うん、言葉にするのが難しい。

でも、その理由が分からない私にはどうすることもできず、知らないふりをする毎日だ。とりあえず聖女様の儀式が終われば戻るだろう。色々と。

「本日の２２時を過ぎた頃より儀式が始まります。聖女様のお力が魔物たちにどのような影響を及ぼすか不明なため、我々魔法士団と騎士団総出で帝都全体を警備することになりました。なお、騎士団長は儀式のため不在の代わりに近衛騎士団長が代打で騎士団の指揮をとります。皆油断せず、ケガのないよう気を引き締めてかかるように。」

「「「はい！」」」

前回の合同任務がここで役立つとは思わなかった。

帝都全体の警備は移動に時間がかかるため魔法士団が複数人の騎士団員を連れてそれぞれの持ち場まで移動することになっている。

相も変わらずギスギスはしているが、顔見知り程度にまでになっている今では前回と比べて雰囲気が違う。気がする。合同任務の大人の事情とはこんな時のためにあるのかな？