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代案⑴
しおりを挟む終わりの見えない話し合いは数週間に及んだ。
誰かが挙手をするわけでもなく、聖女様もあれ以降誰かを指名するわけでもなく、平行線の話合いが続いている。
これでは聖女召喚の儀を行った意味がない。カズマ様にもわざわざ知らぬ土地に来てもらっているのに…
心細いだろうに、そんな素振りを一切見せずに明るく振舞っている聖女様の姿を見るとやるせない気持ちになる。
「僕はいいんですけど、この国は大丈夫なんですか?何日もこんな話合いだけで終わってしまって。聖女の力が必要だから僕をよんだんじゃ…」
聖女様からのごもっともな意見に、場の空気は静けさを帯びる。
『年々増えている魔物の出現率、また魔物による被害や死亡例の増加は著しく、目を瞑っていられないのも現実です。わが国で最後に聖女がおられたのは数百年も前のことです。取り返しのつかない事態になる前に聖女を召喚し、未然に防ぐべく陛下は提案されたのです。』
いつぞやの宰相さんの言葉を思い出す。
そう、私が聖女召喚の儀を行った意味。
この話し合いをしている時間でも魔物に脅かされている帝国民はいるのだ。
「それでは、やはりクレール卿が適任なのでは?」
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