無自覚魔法士団長は今日も美しい

優しいブラウンの瞳⑶

「ふふふ、そんなに心配しないでください。もうあのような無様な姿はお見せしません。私もまだまだ鍛錬が足りていませんでした。」

「鍛錬ってもう十分すぎるくらいだと…っていうか、そういう問題じゃなくて…うーん、やっぱりクレールはクレールだな。」

「？」

「うん、ちょっと安心したよ。」

よく分からないけど褒められているわけではないことは分かる。

「ほら、もう寝よう。」

そう言って私の手を引いて、ギュっと抱きしめられる。そのままベッドに倒れこむように二人で寝転ぶ。

「はぁ～もう本当に心臓止まるかと思ったんだからな。召喚の時もだが、倒れた時なんて殿下やギスランは駆け寄れるかもしれないが、俺は容態を聞くことすらできなくて、気が気じゃなかったんだ。」

こちらを見つめるブラウンの瞳は不安げに揺れている。

なら、どうしてみんなの前では厳しいことを言うのか、なんて無粋な質問はしない。

ドニスがみんなの前で罵倒をするようになってから、私を不憫に思ったのか皇宮で魔法士に対してキツイ当たりをする人は目に見えて減ったのだ。それで無意識のうちに恥ずかしい勘違いをしてしまっていたんだけど…
ドニスのあの行動は、私たち魔法士のことを考えてくれた上での行動だと思う。本当はこんなにも優しい人だから。

「ご心配をおかけしました。」