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すれ違い

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舞い上がった風に包まれて舞い降りてきたのは20にも満たない男の子だった。
その容姿は真っ黒な髪と瞳をしており、言い伝え通りの聖女の容姿をしている。

「え?何ここ。どこ?」

酷く混乱している様子の聖女に声をかける。

「ここはギリア帝国。そして私は貴方様を召喚いたしました魔法士団団長クレール=レーと申します。いきなりのことで困惑しているかと思いますが、貴方様は我が帝国の聖女として召喚されました。」

「へ?聖女?僕男なんですけど。それにやりかけのゲームが…って…えええええぇぇぇぇ!」

普通に話していたのにいきなり声を上げるものだからびっくりした。まぁいきなり知らない土地に連れてこられて普通でいるのも難しいよね。

「ど、どうかされましたか?」

「あ、えっと、クレールさん?」

「はい。」

「僕って元の世界に帰ることはできるんですかね?」

「…誠に申し訳ありませんが、聖女召喚の儀では一方通行ですので難しいかと。我々帝国の問題で本当に申し訳ありませんが」

「ならよかったです!」

「えっ?」

私の聞き間違いだろうか。元の世界に戻れないと聞いて聖女様は良かったと?どうして…

「(ハッ、聖女様も元の世界では過酷な環境下で生きておられたのかな…でしたらこの世界での暮らしは何とか良いものにしてもらえるよう取り合わなくては!)」

「(ここってBLゲーム『乱れた愛の楽園』の世界じゃない?生粋のゲイの僕がこの世界に召喚されたってことは、全力で楽しめってことだよね!?日本と違ってイケメンばっかりだし、最高じゃん♪)」

我々を見て心配かけまいと気丈に振舞っているのか、視線が合ってもニコリと微笑まれる。せめて、この世界での気軽に話せる相談相手になれたら…






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