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秘密は曖昧な微笑みで⑵
しおりを挟む「ちょっ、そんなに怒ることないだろう。言われ慣れてそうだし。そもそも魔法士だろう。地位があること自体っ」
「それ以上その汚い口を開けるな!」
ボッ
魔法陣から上がった炎が話していた騎士団員へ向かっていく。
誰かの生唾を飲み込む音がする。
視界の隅にはバシュロ卿が二人の間に入ろうと向かっていこうとする姿が見える。
「(残念だけど、多分それじゃあ間に合わないよ。)」
パンッ
「はい、そこまで。」
周囲を包んでいた炎の熱気が一瞬にして消え去る。
誰もが今目の前で起こったことに理解が追い付かなかった。
魔法陣だけでなく、魔法陣から放たれた炎までもが一瞬で消えてしまったのだ。何事もなかったかのように。
「ハッ」
息が詰まったように、狙われていた騎士が息を吐いたのが聞こえる。
「こら、アーシア。魔法は人に向けて撃つものじゃないだろう?」
「団長!…でもこいつが団長を侮辱して。」
「でもじゃない。私たちは対人相手の仕事をしているわけではないんだから。ほら、ちゃんと謝って。」
「……………」
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