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秘密は曖昧な微笑みで⑴
しおりを挟む鼓舞したはいいものの、自分の気持ちを切り替えるのはそう簡単ではない。
「それでは魔法士一人に対して騎士団員は3人つけ。目的地に着くまでは魔法士たちの言うことをしっかりと聞くように。次元の中に取り残されても知らないぞ。」
「はい!」
テキパキと進めていくバシュロ卿を見ては身体が火照りそうになるのを氷の魔法を使って納める。(魔法の無駄遣い)
「目的地は公爵領。私が先に行って場所を送るから適宜こっちへおいで。」
公爵領へ行ったことのない魔法士は多い。転移魔法を基本行ったことのある場所しか転移できない。しかし、例外として他の魔法士より座標を貰うことで転移することができるのだ。
「魔法士同士では座標を送りあうことができるのか。」
「いえ、自身がいる場所を送ることができるのは現時点で団長だけでしょう。この広い世界で正確に位置の情報を送る精密な魔力操作は私たちには到底できません。」
「そうか。腐っても団長ということか。」
「…それは、我々への侮辱か?」
仲良く話しているのかと思っていたら、一人の団員の足元に魔法陣が浮かぶ。もちろん転移魔法の魔法陣ではない。
「侮辱って…別にそこまでではない。ただ、あの綺麗な顔を使ったと言われても不思議ではないだろう。」
「それを侮辱と言うのだ!」
爆発しそうな団員の魔法陣からチリチリと火花が上がると共に、周囲に熱気が広がる。
「ちょっ、そんなに怒ることないだろう。言われ慣れてそうだし。そもそも魔法士だろう。地位があること自体っ」
「それ以上その汚い口を開けるな!」
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