無自覚魔法士団長は今日も美しい

クレール＝レーの私情⑴

魔法が使える者は少なく、その強大な力から怖がられ、忌み嫌われている。


魔法士であることが国にバレると帝国の皇帝陛下の下僕として雇われ、魔法士団の一員として働かざるを得なくなる。

魔法士団は基本的に陛下の命令は絶対であり、帝国に縛り付けられているのだ。
かく言う私もそのうちの一人であり、その魔法士団の団長にまでなって早3年…

魔法士には皇族に反抗できないよう首輪(マジックアイテム)がされており、反抗しようとすると魔力を吸われる仕組みになっている。ちなみに魔法士からして魔力は生命力と遜色なく、奪われると命の危険に陥ってしまうため必然的に従わざるを得なくなるのだ。

って言っても今代の皇帝陛下が即位されてからは暴力を振るわれたり、拷問されたりとかはないし、お金ももらえているため私はまぁまぁ快適な生活だと思っているのだけれど…






「クレールよ、公爵家の領地にて魔物が発生した。直ちに急行し、抹消せよ。」

「御意。」

ただ、人使いが荒いことを除けば。

昨日隣町の魔物の討伐から帰ってきたばかりだと言うのに、今日また公爵領へ赴けと。
分かっている。魔法士に人権なんてないことくらい。まだ賃金をもらえているだけ有難いことなのだ。

ま、私はお金が貰えるだけ幸せだから気にしないんだけどね！

魔法士団は少数精鋭で育った環境が過酷なことからか、変人が多い。多分私もそのうちの一人に入っているんだろう…