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俺にジューンブライドは荷が重い⑶
しおりを挟む「あぁ、本当に。俺のお嫁さんになってほしい。」
そう言いながら、俺の前に膝まづいて左手の薬指にキスを落とすのは輝樹先輩。めちゃくちゃロマンチストだ。
「俺 、栄人クン以外考えられない。俺を本気にさせた責任とってね。」
いつもはお茶らけてる会計が輝樹先輩を押しのけて、真剣な面持ちでそう言われると何故がドキッとする。
「皆さん抜け駆けは感心しませんね。私こそどれだけ栄人くんに恋い焦がれたか…」
そう言って俺の巻かれた髪を一束すくい、キスを落とす。一応カツラなんだけど、髪へのキスは愛おしさを表していると言われているはず。女神は意味を分かってしているのか…どちらにしろ心臓がうるさくなる。
次から次へと出て来る生徒会メンバーに俺の頭がついていかない。撮影と事など頭の端に追いやってしまっている。
「んっ…」
「みんなしてこんなに好意を見せられると俺も黙って見て居られないんだが…」
目の前にいた女神に意識がいって、いきなり後ろから首にキスを落とされて変な声が出てしまった。
「旬祢さん…」
首へのキスは確か……執着心。
「よそ見ばかりじゃ、僕も黙ってないよ。」
後ろを振り向いて首へのキスの相手を確かめようとして視線を逸らすと頬に温かい感覚が走る。
瑠季があざとい上目遣いでキスを落とす。頬は確か、親愛。瑠季らしいと頬が緩む。
っていうかどうしてみんなしてキスをしたがるの?それより撮影なんじゃ…
「俺ばかりのけ者にされるのは、そろそろ我慢の限界だ。」
そんな強気な発言をしつつ、俺の鼻をガブリと噛むのは宗也。行動のわりに、本人が知ってか知らずか、鼻へのキスは大切にしたいって意味があるから、何だか癒される。
でも、いつもの可愛い宗也からは想像できないくらい、瞳に熱を持っていて…うつりそうだ。
「…すまないが、今日ばかりは俺も我慢できそうもない。栄人が可愛すぎるかだら。」
さっきまでその場に直立して動かなかった会長が俺の手を取ってみんなから引きはがすと、向かい合って見つめ合っていたと思ったら…
そのまま唇にキスが降って来る。
「ボソッ)撮影なのが残念だ。」
…それっ、どういう意味ですか!?
そんなこと聞けるわけもなく、いつの間にやら写真は撮られていたらしい。
そう、言われてみれば皆してタキシードを着て、髪もきっちりセットをしている。
さっきのは撮影の一環なのか…
って、撮影ならわざわざ本当にキスしなくてもいいのでは?
そう思ってみんなの方を見ると、みんなして熱い視線を向けられているように感じて、ぐるりと視線を逸らす。
「(しまった、あからさますぎたかな。でも、なんか恥ずかしくて見られない。)」
とてつもない経験をした俺は、しばらくみんなと目を合わせられず徹や尊から変な目で見られるのだった
**************
拙作をお読み頂きありがとうございます!
新年度が始まり新しい環境に疲れが溜まる時期ではないでしょうか…そして6月は梅雨の季節…
私は雨が意外と好きなのですが、湿気で髪の毛がうねるのは何とも言い難いストレスですよね…
そんな6月にはジューンブライドという素晴らしいイベントがあります!今回はどうしても栄人にウエディングドレスを着て貰いたい、と言う私の勝手な性癖でこの作品での番外編となりました✨
いつも拙作を読んでくださる方々への感謝を込めて…少しでも皆様の楽しみになれたら嬉しいです(〃´∪`〃)
抹茶らて
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抹茶らて