【完結】俺は遠慮します。

試作品です

「お前…また何かやらかしたのか。」

俺の優雅な昼食時、徹のこの一言で尊がむせ始めるまでは。

「っ！ヴェッホ、ゴホゴホッ！ヴォッホン。なんで俺が何かした前提なんだよ！」

きったねぇ。

「きったねぇなぁ。栄人へのこの豪華な昼食はお礼がお詫びだろ？」

この男…中々鋭い。

「べ、べっつにぃ？何もしてないし？いつもネタにして申し訳ないなって思っただけだし。」

それに比べて、こいつ。嘘つけねぇな。目泳ぎまくってるし。

「そういうことにしといてやるよ。栄人は言うつもりないみたいだし。」

ご名答。まぁわざわざ言うことでもないし。

「さ、早く食べて教室戻ろうぜ。昼から文化祭の準備だろ？」

俺の一言で話題を変える。徹は腑に落ちてない感じだったけど気にしない。尊は動揺してるけど、俺だって多少は動揺したんだからな。普段変態なだけの尊があんなに上手いとか知らなかったし…中々に気持ちよかっゴホン…何でもないです。

さっ、午後からも適当に頑張ろう。

「じゃあ当日キャスト組は衣装合わせした後、看板作ってくれ。その後は内装な。」

「はーい」

昨日の淫らな姿は何処へやら、委員長がかっちりした感じで皆に指示をだす。

「一応試作の衣装を作って来たのですが…サイズ合わせをして、お直ししますね。」

裁縫部の可愛い子が衣装を手渡してくれる。

正直売り物クオリティでびっくり。素人の作品じゃないぐらいしっかりしている。ってかこれが試作？完成品じゃなくて？

「すっごいね！全然試作に見えないし、本当に売ってる服みたい！」

本心のままに感想を述べると裁縫部の子たちが顔を真っ赤にしてお礼を言ってくる。お礼を言いたいのは俺の方なんだけどな…

「出たよ、天然たらし。」

尊が何か言っているがスルーを決め込み、更衣室へ行って衣装に着替える。
身体にフィットして着心地が良い。オーダーメイドってこういう感じなんだろうなって思った。

「っ！うっわ…ヤバッ…」

尊が俺を見た開高第一がこれ。衣装似合ってないのかな？

黒シャツに黒の上下スーツ。所々にキラキラのストーンなどが入っており、シンプルだけど目立つしカッコいい。

尊も似たようなスーツだけどスーツが白色で尊っぽく若干の爽やかさ？みたいなのが残っている。逆に妖しい雰囲気に見えなくもないが…

徹はグレイのスーツで銀髪と相まって似合っている。

一緒に教室へ戻ると……

「キャー――！！！」
「先生！モブＡが鼻血を出して倒れました！」
「先生！モブＢが立ったまま気絶してます！」
「先生――――！！先生が目開けたまま気絶してる！！」

教室中が大騒ぎ。

「うるせぇ…」

「徹ちゃんや～まぁまぁそう言わず！俺たちがカッコよすぎるからいけないんだよ！」

「徹こいつ殴っていいか？」

「いや、栄人。栄人の手を汚す必要はない。俺がぼこぼこにする。」

「ちょっと！俺の人権は！？」