上 下
97 / 149

添い寝

しおりを挟む



「あ、俺は会長と同じ部屋なんですね。」

「あぁ、ジャンケンで勝ったからな。」

「え?」

「いやっ、何でもない…」

なんか聞こえた気がしたが気のせいかな?

「さ、荷物を片付けたら食堂へ行こう。」

「はい。」

会長と話しながら部屋に入ると、しっかりとした部屋のつくりに驚く。え、ベッドなんだ…しかも二つ並んでるし。って、いやいやいや普通だよな。うん、俺何考えてんだろ。危ない危ない学園に染まってきてるわ。

「片付け終わったか?そろそろ食堂行こうか。」

「あ、はい!」

そして、食事を済ませてお風呂の時間。班で固まって隊浴場へ行く。決められた時間に3-4班が固まって入る感じを取っている。まぁ人数多いしね。

「あ、栄人君がいるー!一緒に入ろう!」

「残念、栄人クンは俺の班なんです~」

「でも、時間一緒だもん。僕も栄人君と入る!」

瑠季のいる班もいて、会計と瑠季がいつもながらに言い合いをしているけど、俺は気にせず入る。



俺が気になるのはただ一つ!海のときも思ったけど、皆体格良すぎる!知らない人もシックスパックを持っていて、ずりぃ。

まぁ仕方ないよ。俺筋肉つきにくい体質だし、ちょっとぐらいは筋肉あるからいいもん。明らかに、腕の太さとか肩幅が違うかもしれないけど、人は体格じゃないしね。中身だから……

「ねぇ、栄人君の部屋行ってもいい?」

「え、俺も行きたい!会長ばっかりずるいもん!」

人は中身とは言ったけど、見せつけて頂けないでもらえます?そんな俺の心情はいざ知らず、瑠季と会計は浴槽に浸かっている俺のところまで来るとその肉体美を見せつけてくる。くそう!!

「…折角生徒会の皆様と一緒の時間だと思ったのに…なんであいつばっかり…」



俺たちの知らない所で、徐々に積もった真っ黒な感情はやがて、思いもよらない行動へと人をいざなう。










「気持ちよかったな、お風呂。たまには大勢で入るのも悪くない。」

「そうですね、それじゃあ明日も早いですしもう寝ましょうか。」

お風呂から帰って来た俺と会長は、そう言ってそれぞれのベッドに入ったのに……

「……一緒に寝てくれないのか?」

シュンとした様子でそう言いながらこちらを見る会長。え、1人で寝れますよね?だってもう17歳……

「この前眠れなかったら添い寝してくれるって言った。」

「うぐっ」

それを言われたらぐうの音も出ない。あの時は会長が本当に疲れてそうだからちょっとでも元気出してほしいなぁと思って…そもそも冗談のつもりで言ったけど、まさか本気に捉えられているとは…言ってしまったのは自分だからしかないけど…

それよりその可愛い感じは何ですか?キャラ変?絶対的攻めの雰囲気だしておいて、こういう時ちょっと甘えたっぽくなるとか…はぁ~ギャップ萌え!分かってらっしゃる。

「じゃ、じゃあ添い寝しましょう。」

「あぁ!さぁ、こっちへ。」

なんか上手く誘導された感じが否めないけど、まぁ会長が嬉しそうにしてるしこういうのもいっか。

「…………………………」

会長寝たかな?

「………………………………………」

寝れない。なんか色々気になって寝れない!俺のイビキうるさかったらどうしようとか、寝相で会長殴っちゃったらどうしようとか考えてたら眠れないんだけど!

「ん~」

 ビクッ

会長の声がして飛び跳ねる。起こして、ないよね?

 ギュっ

「え……」

もぞもぞした会長がそのまま俺に絡みついて…まぁ所謂バックハグですね、はい。その体勢のまま寝ちゃうって言うね。

背中には会長の温かい体温とゆっくりと心地のいい鼓動が聞こえる。俺の身体に回っている腕はガッチリしてて、なんかいい匂いするし…寝息が耳元で聞こえてゾワゾワする。




「こんなんもっと寝れないじゃん…会長のばかぁ…」





しおりを挟む
感想 6

あなたにおすすめの小説

学院のモブ役だったはずの青年溺愛物語

紅林
BL
『桜田門学院高等学校』 日本中の超金持ちの子息子女が通うこの学校は東京都内に位置する野球ドーム五個分の土地が学院としてなる巨大学園だ しかし生徒数は300人程の少人数の学院だ そんな学院でモブとして役割を果たすはずだった青年の物語である

モテる兄貴を持つと……(三人称改訂版)

夏目碧央
BL
 兄、海斗(かいと)と同じ高校に入学した城崎岳斗(きのさきやまと)は、兄がモテるがゆえに様々な苦難に遭う。だが、カッコよくて優しい兄を実は自慢に思っている。兄は弟が大好きで、少々過保護気味。  ある日、岳斗は両親の血液型と自分の血液型がおかしい事に気づく。海斗は「覚えてないのか?」と驚いた様子。岳斗は何を忘れているのか?一体どんな秘密が?

なんか金髪超絶美形の御曹司を抱くことになったんだが

なずとず
BL
タイトル通りの軽いノリの話です 酔った勢いで知らないハーフと将来を約束してしまった勇気君視点のお話になります 攻 井之上 勇気 まだまだ若手のサラリーマン 元ヤンの過去を隠しているが、酒が入ると本性が出てしまうらしい でも翌朝には完全に記憶がない 受 牧野・ハロルド・エリス 天才・イケメン・天然ボケなカタコトハーフの御曹司 金髪ロング、勇気より背が高い 勇気にベタ惚れの仔犬ちゃん ユウキにオヨメサンにしてもらいたい 同作者作品の「一夜の関係」の登場人物も絡んできます

家事代行サービスにdomの溺愛は必要ありません!

灯璃
BL
家事代行サービスで働く鏑木(かぶらぎ) 慧(けい)はある日、高級マンションの一室に仕事に向かった。だが、住人の男性は入る事すら拒否し、何故かなかなか中に入れてくれない。 何度かの押し問答の後、なんとか慧は中に入れてもらえる事になった。だが、男性からは冷たくオレの部屋には入るなと言われてしまう。 仕方ないと気にせず仕事をし、気が重いまま次の日も訪れると、昨日とは打って変わって男性、秋水(しゅうすい) 龍士郎(りゅうしろう)は慧の料理を褒めた。 思ったより悪い人ではないのかもと慧が思った時、彼がdom、支配する側の人間だという事に気づいてしまう。subである慧は彼と一定の距離を置こうとするがーー。 みたいな、ゆるいdom/subユニバース。ふんわり過ぎてdom/subユニバースにする必要あったのかとか疑問に思ってはいけない。 ※完結しました!ありがとうございました!

平凡ハイスペックのマイペース少年!〜王道学園風〜

ミクリ21
BL
竜城 梓という平凡な見た目のハイスペック高校生の話です。 王道学園物が元ネタで、とにかくコメディに走る物語を心掛けています! ※作者の遊び心を詰め込んだ作品になります。 ※現在連載中止中で、途中までしかないです。

元執着ヤンデレ夫だったので警戒しています。

くまだった
BL
 新入生の歓迎会で壇上に立つアーサー アグレンを見た時に、記憶がざっと戻った。  金髪金目のこの才色兼備の男はおれの元執着ヤンデレ夫だ。絶対この男とは関わらない!とおれは決めた。 貴族金髪金目 元執着ヤンデレ夫 先輩攻め→→→茶髪黒目童顔平凡受け ムーンさんで先行投稿してます。 感想頂けたら嬉しいです!

王道学園のモブ

四季織
BL
王道学園に転生した俺が出会ったのは、寡黙書記の先輩だった。 私立白鳳学園。山の上のこの学園は、政財界、文化界を担う子息達が通う超名門校で、特に、有名なのは生徒会だった。 そう、俺、小坂威(おさかたける)は王道学園BLゲームの世界に転生してしまったんだ。もちろんゲームに登場しない、名前も見た目も平凡なモブとして。

ボクに構わないで

睡蓮
BL
病み気味の美少年、水無月真白は伯父が運営している全寮制の男子校に転入した。 あまり目立ちたくないという気持ちとは裏腹に、どんどん問題に巻き込まれてしまう。 でも、楽しかった。今までにないほどに… あいつが来るまでは… -------------------------------------------------------------------------------------- 1個目と同じく非王道学園ものです。 初心者なので結構おかしくなってしまうと思いますが…暖かく見守ってくれると嬉しいです。

処理中です...