【完結】俺は遠慮します。

抹茶らて

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悠希先輩⑴

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お風呂を済ませた俺たちは、食事の時間だ。3部屋に分かれたが、一つの部屋でご飯を食べるとのことで、会計と瑠季の部屋に来ている。俺の部屋もそうだったけど、とても2人部屋には見えないぐらい広いんだよな。和室と洋室の混合になっており、ご飯を食べるのは畳の部屋だけど奥にはベッドやソファーがあり、寝るのはそっちだ。

「もう栄人はこのままここにいてよ!それで僕と一緒に寝よ?ね?」

物凄い美少年が誘惑してくるが俺は屈しない。女神様と同じ部屋なのだから。
そんなことより目の前のご飯だ。目の前で食べて?と俺に訴えてくる料理たちを遠慮なくいただく。

「栄人これも美味いぞ、食うか?」
「こちらも美味しいですよ、ほらあ―ん。」
「栄人クン、こっち向いて~!あーん!」
「栄人、これ美味いから一緒に食うか?」
「みんなしてズルい!あっ栄人!僕にあーんして?」

みんなして俺に美味しい物を進めてくれるから俺はお腹いっぱい。瑠季はなぜか欲しがってたけど…
そんなこんなで楽しいご飯の時間も終わり、それぞれの部屋へ帰る。最後まで瑠季が駄々を捏ねてたけど何とか戻ってこれた。

「悠希先輩!俺お菓子持ってきたんですよ。一緒に食べませんか?」

そう、俺は旅行だなんて聞かされてなかったから着替えてとかはなくて、借りてるんだけど、お菓子だけはちゃんとあるんだなこれが!

隣同士に並んでソファーに座ってお菓子を開ける。
正直悠希先輩と二人になると何を話していいのか分からなくなる。この前の海でのこともあってちょっと緊張する。

「栄人君は…」

「ひゃい!」

いきなり名前を呼ばれて間抜けな返事をする俺…絶対様子おかしいなって思われたよな…

「ふふふ、そんなに緊張しないでください。別に取って食ったりしませんよ。」

そう穏やかな表情で言った悠希先輩はやっぱりなんだかいつもと違う。

「先輩も緊張してるんですか?家に帰ってきて…」

「っえ?」

自分でも何言ってんだって思ったけど、悠希先輩も驚いた顔でこちらを見ている。
いや、なんとなく思ってたことが口に出ちゃった感じ?聞くつもりはなかったんだけど…

「ご、ごめんなさい。その、あの…なんかなんとなく、悠希先輩の表情が強張ってるなぁなんて思って…」

考えるそぶりをしている先輩になんて言ったらいいのかわからずしどろもどろに言葉を連ねる。

「栄人君は気づいたんですね。」

悠希先輩はそう一言だけ話すと、少し陰った表情で視線を下げる。




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