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第1章

好きな子 ロイサイド

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夜、寮の裏でナーシィと会う約束したため向かうとナーシィが先に来ていた。月明かりに照らされて、儚げに夜空を見上げる彼女はとてもキレイで俺は言葉が出なかった。
だが、彼女がここにいる事実が嬉しくて顔がにやける。

「何1人で笑っているんだ。俺のことでも考えていたのか?」

夜空を見上げたままクスッと笑った彼女にやっと出た言葉は揶揄うような言葉で、また否定されるんだろうなと考えていた。しかし、彼女から返って来た言葉は思いのよらないものだった。

「そうだよ、ロイのこと考えてた。この夜空がロイみたいにキレイだなって思って。」

「おまっ、それは反則だろ。」

いつもと違う素直な物言いが直にクリーンヒットする。顔が赤くなるのが止められない。

「え、ロイさんや。もしかして照れているのかい?」

「うるせぇ。何ニヤニヤしてるんだ。」

俺の顔が赤くなったのが見えたのか、彼女は楽しそうに顔を緩ませながらこちらに近づいてくる。その反応も表情も、何もかもが愛おしくて思わず引き寄せキスをした。

突然のことに驚いたのか顔を赤くした彼女はプイッと顔を背けた。その行動すら可愛くておかしくなる。
でも、もっと顔が見たくて意地悪をする。

「ダーメ。顔見せて?」

「ヤダ、恥ずかしい。見ないで」

「大丈夫、ナーシィはどんな顔でも可愛い。ほら、こっち向いて?」

ナーシィはチラリとこちらを見ると顔を真っ赤にして抗議する。

「っ~~~!!そ、そんな目で見られたらこっちまでとろけそう!」

あぁ、可愛いなぁ。

「フッ、なに、俺そんな甘そうな目してる?まぁナーシィの前だしな。仕方ない。」

「あ、あのそろそろ離してほし…」

「ダメ、もう少しこのまま。」

さりげなくキスの後から抱きしめていた。やっと思いを伝えたんだ。もう我慢したくない。

「あのね、真剣な話するから一回離して?」

「…分かった。」

ナーシィがあまりにも真剣な顔で言うからしぶしぶ離れる。

「あのね、隣国の時からずっと真剣に考えたの。好きとか恋愛したことなかったから…分からなくて。でも、昨日ロイに好きな人とずっと一緒に居たくなる、き、キスしたくなるって聞いて頭には一人しか思い浮かばなかったの。ロイ、私ロイが好き、なんだと思う。」

「フハッ、思うってなんだよ。思うって。」

だんだん語尾が小さくたどたどしくなっていくナーシィが可愛くて、ナーシィが俺のことを好きだと言ってくれたこと嬉しくて顔が緩むのを感じる。

「いや、だってまだ考えてちょっとしかたってないんだもん。でも、キスするのはロイじゃなきゃ嫌なの。それにロイとずっと一緒に生きていきたい。それじゃダメ…かな?」

「ダメなわけない。俺がどんなに待ったことか。あぁ、ずっと一緒にいよう。ナーシィ、愛してる。」

そう、ダメなわけがない。その言葉で十分気持ちが伝わっているよ、ナーシィ。

「私も、愛してる。」

そうしてどちらからともなくキスをする。



好きな子と思いが通じ合うことがこんなにも幸せな気持ちになるなんて知らなかった。
ナーシィ、俺の気持ちに応えてくれてありがとう。俺を好きになってくれてありがとう。

今までよく頑張って一人で耐えてきたな。これからは俺と悲しいことも楽しいことも一緒に…



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