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第1章
返事 団長
しおりを挟む次の日の休憩時間、私は団長のところに来ていた。
「ナーシィ、よく来たね。今お茶と菓子を用意するからそこのソファーにでも腰かけといて。」
「はい、ありがとうございます。」
用意してくれている様子を盗み見る。水色の長い髪を横にたらし、同じ色の瞳が伏せている様子は神秘的だ。ほんと、綺麗な横顔。
「あの、団長っ!」
「ストップ。そうか、今日は返事をしに来てくれたんだね。フフフ、いっぱい考えてくれたみたいだね。ありがとう。」
「あ、いえ、そんな。あの、団長、ごめんなさい。私…その好きな人がいて…」
「うん。でも、俺は好きだよ。今まで伝えられなかった分言い続ける。」
「え、そ、それは…」
「フフッ、そんな困った顔しないで。困らせたいわけじゃない。君には幸せになってもらいたいんだ。それは俺の役目じゃなかったみたいだけど…ただ、好きな人がいるからって諦める理由にはならないよね。」
団長はそう言うと楽しそうに笑った。
悲しくないのかな?
「悲しくないのか、って思った?フフッ、顔に書いてるよ。そりゃ、悲しいよ。失恋だし。でも同時に嬉しくもあるんだ。ナーシィが自分の意思を持って行動してくれたことが。」
ハッとした。確かに私は流されるがまま生きてきた。だって私には選ぶ権利などないのだと思っていたから。
「団長…ほんとにありがとうございます。団長と出会えてよかった。これからもよろしくお願いします。」
「あぁ、よろしく。これからは気持ちを前面に出していくから覚悟しておいてね。」
「え‶、はい…」
何か吹っ切れたような団長にたじたじになる私だった。
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