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第1章
心配されてる?
しおりを挟むロイはそう呟きながら令嬢を室外へ放り出す。ドア付近で待機していた部下へ王城から出し、出禁にするよう指示を出すとドアを閉める。
「ロイよ、すまんな。」
私のおっさんの様な謝罪は、処理してくれているロイには届かず代わりにサーシスの耳に入る。
「ナーシィ、いつもいつもなんで無茶ばっかりするのかな。」
私がおっさんなのはいつものことだと言わんばかりの呆れた視線で見てくる。そう言いながら、身体の力が抜けた私の身体を支えてくれてるサーシスはツンデレなんだな。
「私毒物あまり効かないから気にしないで。それに、結果として、証人がいた方がやりやすいでしょ?」
「そうだとしても、俺だって毒の耐性をつける訓練は受けている。」
「それじゃあ、私たちが護衛についた意味がないじゃないですか。」
私の正論に、立場的に何も言えなくなってしまったサーシスは眉を下げて辛そうな表情で私の頬に触れる。まるで大事なものに触れるかのごとくソッと優しく。
私はその感覚がくすぐったくてサーシスの手に自分の手を添えると、少し強めにスリスリする。
「う゛ぅ…」
上からカエルが押しつぶされたような声が聞こえ、見上げると耳を真っ赤に染めたサーシスがいた。どうしたんだろう?サーシスは媚薬飲んでないよね?
「ん?殿下?どうかしましたか?」
「い、いや何でもない。」
「おい、ナーシィ大丈夫か?」
「ロイ、後処理任せてすまんね。媚薬自体は大丈夫。もうすぐ身体も動いてくると思う。」
「そうだがそういうわけじゃない。取りあえず医務室に行くぞ。」
ロイはそう言って私を抱きかかえる。
わぁ、お姫様抱っこされるの初めて。…なんか恥ずかしくない?
「あ、おい待て。俺が連れて行こう。」
「殿下、陛下に呼ばれています。ドアの外に護衛がいますので一緒に陛下の執務室まで行くようお願いします。今回
のことはもう報告しています。それでは。」
呼び止めたサーシスを一刀両断。
それに今は仕事中なため私たちはサーシスに対して敬語を使うため余計に冷たさが増す。
「殿下、私は大丈夫です。これでも最強魔導士らしいので他の人が作った媚薬なんて効きません。」
「それもあるが、一番の心配はそれじゃない。でも、ナーシィだもんな…」
サーシスの声が小さくて聞こえなかったが、ロイがもう部屋を出ようとしていたので聞けなかった。
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