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攻め要員⑵
しおりを挟む『年齢的に話題に出るであろう婚約者についてですが、私は幼い頃から思いを寄せている人がいます故、お断りしております。まだ告白もできていない状況ですので、どうか温かく見守って頂けると幸いです。』
まだ7歳だったか?まだ未成年の坊主に出来る精一杯の牽制なのだろう。それでも公爵家の次期当主と名高いサムソン=シガンが言う言葉には、それだけの重みがあった。
誰が見ても分かるほどに好意を前面に出していた坊主の好きな人は、瞬く間に社交界の噂となった。
当の本人たちは気にする様子もなく、変わらないように見えたが…
あの二人の距離感が変わったのはそれからすぐだった。あれだけ授業以外は一緒にいたのに、一緒にいることの方が珍しくなったのは。
それから社交界での噂は自然と風化してしまったが、それで終わる坊主ではなかった。
自分が近くにいない、つまりは直接牽制出来ない代わりに遠回しにベルデに群がる輩を潰していったのだ。可愛い顔してやることえげつないと思っていたが、全然可愛くなくなったのだから納得だ。
さすがサムソン家の力と言うかなんというか…そうとも知らないベルデはとんだ猫かぶりと婚約してしまった。
「(まぁ、あの表情が出るのなら幸せなんだろうが…)」
釈然としない。
「クソッ、ベルデさんと仲が良かったのは僕なのに!」
「まぁまぁ、さすがシガンと言うべきだろう。ふっ、でもあの護衛騎士ほどの実力を皇宮に入れられないのは惜しいな。」
目の前で話しているのは皇子、いや皇太子になったのか。ラージリア=オーフェンとエディ=パティエンス。こいつら揃いも揃って俺のクラスじゃねぇか。
まったく、俺も人このことは言えないがあのキレイな顔の騎士に心酔してるんだな。あの善人の皮被った悪魔に捕らわれてしまったのだから滑稽だ。
それでもなお、欲しているのも……
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