【完結】総受け主人公のはずの推しに外堀を埋められた！？

外堀は完全に埋まってしまっている⑴

そんなこんなで俺とシガンたんの心が通じ合った数日後、俺はあいた口が塞がらなくなっている。

「本日はお集まり頂きありがとうございます。私、サムソン＝シガンはソノア＝ベルデと婚約することを発表いたします。」

サムソン家が催すパーティーとあって、かなりの貴族が集められている。これだけの貴族を集めるには何カ月も前から招待所を作成し、送っておく必要がある。

そして、その貴族たちの前でシガンたんが堂々と宣言した内容に俺の口は塞がらない。

貴族の中には、ハンカチを噛むような古典的な悔しがり方をする令嬢や涙を流して崩れ落ちる令嬢の姿も見られる。
そもそも、このパーティー自体がシガンたんの婚約発表の為に用意していたもののようでどこまで決められていたのか…一番気になるのはソノア子爵家が潔く承諾をしていたこと。いくら実家には帰ってなかったとは言え、本人が知らないことを前もって承諾しているとかある？

それにいつから決まっていたのか知りたい気もするけど、知らない方が良いことだと思う、うん、手回しが早すぎる。

「(外堀を埋められてる、いやもう完全に埋まってしまっているんだけど…もし、俺がシガンたんとのお付き合いをお断りしていたらどうしてたんだろう…)」

なんて思ってしまう。

「ベル！俺のスピーチ見てた？」

「見ておりました。…カッコよかったです。」

気持を自覚してからというもの、カッコいいとか簡単に言えなくなってしまったのが困りどころだ。