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パーティー終演⑵
しおりを挟む振り返れば濃い一日だったと思う。
シガンたんが湯あみをして、就寝の準備をしている間にお疲れ様も兼ねてハーブティーを淹れる。本当は護衛騎士がそんなことしないんだろうけど、寮での生活で執事のような真似事がすっかり染付いてしまったみたいだ。
誕生日本人がパーティーを主催しないといけないとは、つくづく貴族社会は理解できそうにない。
「ベル?」
「シガン様、今日は疲れましたでしょう。ハーブティーを淹れました。お休み前によろしければ…」
「っ!良いの?ありがとう!」
ぱあぁぁぁと表情を綻ばせたシガンたんは一口口に含むとほっと一息つく。
「美味しい、やっと休めたって感じだよ。」
「本当にお疲れ様でした。誕生日当日はゆっくりしましょうね。」
「うん。」
「何か食べたい物はありますか?当日に準備しておきますが…」
「んん~ベルの手作りが食べたい!何でもいいんだけど…」
…はぁ~なんでそんなに可愛いこと言うのかなぁ!!オジサン心がキュンキュンして寿命縮んじゃう!(当人もまだ子どもです)
「ふふ、分かりました。腕によりをかけてご用意いたします。」
それからしばらくした後、あくびが止まらなくなったシガンたんを寝台に誘導し寝息が聞こえてきたことを確認する。
慌ただしかった一日が終わる。
ふとシガンたんから出された宿題について思い出す。
言葉の、意味…
『年齢的に話題に出るであろう婚約者についてですが、私は幼い頃から思いを寄せている人がいます故、お断りしております。まだ告白もできていない状況ですので、どうか温かく見守って頂けると幸いです。それでは、本日のパーティーごゆるりと楽しんで頂けたらと思います。』
シガンたんが幼い頃から思いを寄せている人…
俺はシガンたんが生まれたときから隣で見て来た。それでも今までシガンたんが思いを寄せている人がいるなんて知らなかった。
その事実に、心臓が嫌な音を立ててズキズキ痛んでくる。
「(一番近くにいると思って、知らなかったから落ち込んでいるのか?それとも親元を離れる子供に親離れ出来ていない親の気持ちか?)」
色んなことを想定するもそのどれもにしっくりくることがなく、思考を放棄する。
「今日は頭が回らない。取りあえず、寝よう。」
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