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危ない勘違い⑵
しおりを挟むコンッコンッコンッ
「どうぞ。」
「失礼します。」
「ベル!待ってたよ!」
そう待ってた!
「シガン様!なんとお美しい…それでいてカッコよくもあらせられて…私はパーティーが心配です。」
ベルが俺と目を合わすな否や、口早にそう言った。いつも表情こそ硬いが、穏やかに話すベルにしては珍しい。それが心底面白くて、同時にそれだけ俺の今の姿が影響させているのかと良い解釈をしてまう。
「どうしたの?ベル。そんなに褒めても何も出ないよ?」
だからクスクス笑いながらそう言うと、ベルも楽しそうに表情を緩めてこちらを見ている。
「(あぁ、幸せだな。)」
こんな柔らかい空気がずっと続けばいいのに。そう思うほどに、この世界で俺とベルしかいないような感覚になる。
「シガン様、お茶とお菓子と……あの、つまらないものなのですが誕生日プレゼントを用意致しました。是非受け取って頂けると嬉しいのですが…」
こちらを見ていたベルがそう言って前に出したのは、キレイにラッピングされた小包。
「え…」
これってプレゼント?
「僕に?本当に?良いの?」
夢のようで何度も確認してしまう。
「もちろんです。本当は当日にと思ったのですが、今日たくさんの方からもらわれると思うと、先に渡しておきたくなって…なので、お言葉は当日に。」
「ありがとう!ずっごく嬉しいよ!宝物だよ!」
本当にすっごく嬉しい。中身が何でもベルからの贈り物だと思うと、それだけで何ものにも代えがたい宝物になる。だから、心からのお礼を込めて精一杯の笑顔で感謝の言葉を伝える。
「(……言葉が出ない。どんな言葉でも目の前のシガンたんを言い表すには陳腐に思える。)喜んでいただけて嬉しく思います。」
サラッとそう言ったベルに抱き着きたくなったのは内緒。
ちなみにベルからのプレゼントは腕時計だった。
そっか、これから二人で時を刻もうってことか。
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