【完結】総受け主人公のはずの推しに外堀を埋められた！？

危ない勘違い⑴

今日は俺の誕生日パーティー当日。いつものように起こしに来てくれるベル。

「シガン様、おはようございます！本日はパーティーですよ。支度が必要なので起きてください。」

「んー、あとちょっと……ね、る…」

眠たいし、たかがパーティーしかも夜のパーティーにそんなに早くから起きる必要性を感じず、二度寝の体勢に入る。そんな俺に、

「シガン様、本日の主役ですよ。カッコいい姿を見せてくださいませ。」

耳元でボソリと中性的な声が聞こえる。思い人の。
ガバッ！と聞こえてきそうな勢いで起き上がる。

「ベル！どこでそんなこと覚えてきて…いや、ベルだしな…天然ものか…」

そうだ、ベルだもん。何も考えずに天然で言ったんだ。それはそれで怖いけど。

「ほら、早く用意しませんとパーティーに間に合わなくなりますよ。」

世間一般的なお母さんの様に促され、部屋に入って来たメイドたちに色々と整えられていく。

「私は後ほどまた参ります。」

そう残してベルは部屋を出て行ってしまった。
それからはメイドが数人がかりで衣装、髪型、メイクを施していく。本当は何もしてほしくないけど、ベルがカッコいい俺を見たいって言ってたし、我慢して過ごす。

途中で軽食を用意され、片手間でつまんで食事を済ます。

「(はぁ…早くベルに会いたい。あの柔らかな雰囲気に包まれたい。)」

そう思って数時間、支度を終えた俺は自分ではそんなに変わったようには見えないけど…ベルはなんて言ってくれるだろうか。惚れ直してくれるかな…(※まだ一回も惚れてはないです)

コンッコンッコンッ

そう考えていると、来訪の合図がなる。