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この世界は…
しおりを挟むソノア子爵家次男、ソノア=ベルデ。それが今の俺の名前。そして……
「ベル~どうしよう。僕がお茶会に参加なんて…」
この可愛らしい男の子、サムソン公爵家嫡男サムソン=シガン。くりくりした銀髪にパッチリした真ん丸お目めは青く輝いおり、守ってあげたくなるような庇護欲を掻き立てられる。このお方は俺が護衛騎士としてお仕えする、いわばご主人様だ。
そして、俺の描いた主人公でもある。
『僕は総受けなんかじゃない!』
これは俺が前世で執筆していた作品であり、このシガン様が主人公兼総受けとなるBL小説の題名なのだ。
そう俺は腐男子の血が騒ぎ過ぎて趣味としてWEB小説を投稿していたのだ。うん、今思い返すといい思い出だな。
ってことは置いておいて…子爵家の俺がなんで公爵家の方を護衛できるかと言うと、ご都合主義だからだ。身分の低い貴族の騎士を傍に置きたかっただけなのだが、その攻め要員に転生してしまったのだ。
俺は攻めではなく、この可愛いご主人様を精一杯愛でようと心に決めているのだが…そうもいかないのが物語の強制力。
「ベル~聞いてる?」
「聞いております。シガン様でしたら大丈夫です。何かありましたら、必ず私がお守りいたします。」
「///そういうことじゃなくて!僕人見知りしちゃうし、僕とお話しても面白くなんてないもん。」
「少なくとも私はシガン様とお話しすることはとても楽しゅうございますが。」
「うッ!ぼ、僕もベルとお話する子は楽しいけど…ってそうじゃなーい!」
こんな感じでしがない護衛騎士のはずの俺はご主人様とすっかり仲良くなってしまっているのだ。
「ベル、絶対ぜーーーったいに僕の近くから離れないでね?」
「もちろんです。私はシガン様の護衛騎士ですから。まぁ、お茶会中は難しいですけど。」
「そんな現実的なことを言わないでよ!」
それもかなり信頼されていると豪語している。
シガン推しの俺からしたらこの上なく幸せなことではあるが…ここまま攻め要員一直線な気がするのは、俺の気のせいであってほしい。
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