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私たちのペースで…ね?
しおりを挟む「みんなにちゃんと伝えられたんだね。」
「はい!そうじゃないと、リアンにもみんなにも誠実じゃないと思って。」
「(まだ油断はできなさそうだが…まぁディの気持ちが私に向いているのならそこまで警戒することはないか。)ディは真面目だね。それで、そんな真面目なディはいつになったら私に対して敬語を解いてくれるんだい?」
「へっ?」
「敬語。婚約者になったのにいつまでたっても敬語のままだから、なんだか距離を感じて…」
休日の昼下がり、晴れてリアンの婚約者になった僕は休日のたびに皇宮を訪れていた。
そこでアレクやアダム先生とのことをリアンに報告している時、思いもよらぬ展開に間抜けた返事をしてしまう。
憂いを帯びた表情で見つめられると何でもイエスと答えてしまいそうになるから困る。
「敬語、ですか…」
「敬語です。確かに私は年上だよ?でもいつまでも婚約者に敬語は…寂しいな。」
「うっ」
寂しいだなんて、可愛いって思ってしまった。
敬語を外すことはそこまで難しいことではない。のだけれど、改めてお願いをされると照れくさいのだ。
「あ、あのリアン?」
「ん?」
にこやかに返事をするリアンの瞳はキラキラしていて期待しているのが分かる。
「じょ、徐々にでもいいで…いい、かな。」
「ふふふ、もちろん!私たちのペースで…ね?」
その含みのある微笑み戸惑うも、触れないでおくことにする。
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