【完結】引きこもり陰キャの僕が美形に転生したら

救済⑸

「まぁ、舞台ですの。」

なんて令嬢はテンションが上がっているが、絶対普通の舞台なんかじゃないし、無事に終わることもないと思うんだけど…

先程まで僕を怖い目に合わせていた人だけど、これからのことを考えると哀れに思えてくる。

兵に引きずられて部屋を出ていく令嬢を見送って、リアンに視線を戻すとこちらを見ていて目が合う。
さっきまでのリアンの姿を見ていたせいか、ビクッと肩が跳ねてしまうのは許してほしい。

「ディ、遅れてすまない。守ると言っておきながら…」

今にも消え入りそうな声でそういうリアンは、先ほどまでの姿とは対照的に映る。

「大丈夫、です。その…みんな助けてくださりありがとうございます。僕、前にちゃんと相談するって言ったのに、また一人で行動してみんなに迷惑かけて…ごめんなさい…」

今回は僕が自分で招いたことだ。アレクが着いて来てくれようとしたのを断ったのは僕だし、リアンだって前日に気をつけろって言ってくれてた。なのに、呑気に考えてたから…

パンっ

この場の空気を変えるようにユーりお兄さまが手を叩く。

「その話はあとだよ。ディ、まずは服どうにかしないと。それにみんなも他にやることあるでしょう。」

いつもふわふわして可愛いユーリお兄さまがカッコよく見える。

そうだ、今はパーティーの時間のはず。生徒会役員の中でも役職持ちが勢ぞろいしているし、生徒に人気なアダム先生もいるし、会場を納めないとだよね。