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言葉にならない⑵
しおりを挟む「予定がなくて街を散策していたのですが、ディディエ様にお会いできるなんて。自室に籠らなくてよかったです。」
「(なんと!同じことを考えているなんて!これって運命というやつでは!?)」
いいこと続きで考えが飛躍しているが、現実は違っていてもそう考えるだけで幸せなのだから僕の勘違いなのは気づかないふりをする。
それから数時間に渡ったアダム先生とのお話は、昔の家庭教師をしていた時に戻ったみたいで楽しかった。
「アダム先生とこんなにお話をすることができてとっても嬉しかったです。前に戻ったみたいで懐かしさも感じました。」
あの時を思い出すかのように言葉にする。
「私もです。ディディエ様とお話する時間は時間も忘れてしまうほどです。長く引き留めてしまい申し訳ありません。」
「そんなっ、僕いっぱいお話してしまったからです。」
「それは…ふふふ、私たち同じことを考えておりますね。そろそろ日が暮れてきましたし、戻りましょうか。」
「はい。」
宿泊先へ戻る帰り道。
談笑していたとき、ふとアダム先生の纏う空気が変わる。隣り合って歩いていたが、今は真剣な表情向かい合う。
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