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攻防戦
しおりを挟む「僕食べ終わったので、失礼します。」
生まれて初めての早食いをしてお腹が悲鳴を上げている気がするけど、気のせいにしておく。
一刻も早くその場を離れたくて、せっかくの朝ご飯を飲み物のように飲み込んだ。
「ディ!?」
そんな僕を見て驚きの声を上げるアレクを置いてその場を離れるとしよう。
「(ごめん、アレク。君の犠牲は決して忘れないよ…)」
後ろ髪ひかれる思いで席を立つ。
「そう急がなくてもいいだろう。何か用事があるのか?」
いつも通りの穏やかな声で話しかけられる。リアンに。
「えっ?あ、図書館で勉強をしようと思いまして。それにいつまでもお邪魔でしょうし。僕は失礼いたしますね。」
なぜ引き留める!僕なんか放っておいて!こんな気まずい中にいたくないんだよ…
「邪魔だなんてとんでもございませんわ。むしろ私たちが邪魔をしてしまっていますよね。申し訳ございませんわ。」
なんて謝られたら、また腰を下ろすしかない。
こんな攻防を続けて数回、やっと食べ終わったらしいアレクが味方に付いて抜け出すことができた。
あの状況で味わって優雅に食べていたアレクはある意味才能だと思う。
「それで?ディは図書館に行くのか?」
「ううん、あれはただあの場を離れたくて言っただけだよ。何にも予定なんてない!」
「そうか。なら付き合ってくれないか?」
そういってアレクはニヤリと笑った。
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